51. 小 ぐ ま さん の かん が へ ち が ひ - 村山 籌子
小 ぐ ま さん の かん が へ ち が ひ - 村山 籌子
ある 日 小 ぐ ま さん が 路 ば た で あそんで ゐま す と 、 お 猫 さんが 通り が ゝ りました 。 お 猫 さん は 、 ふところ から 赤い もの を とりだして 「 小 ぐ まさ ん 、 これ なんだか 知 つ てる ? 」 と ききました 。 小 ぐ ま さん は 一目 みて 、 それ が ほ ゝ づき だ と わかりました ので 、 「 あら 、 い ゝ の ね 。 ひと つ で いい から 下さい な 。」 とい ひました 。 「 まあ 、 ひと つ 下さい です つて 。 とても ね 、 大事な の よ 、 あげられ や し ない 。」 と お 猫 さん は い ひ ながら 、 皮 を むいて 、 ほ ゝ づき の 実 を だしました 。 それ を みる と 小 ぐ ま さん は 、 とても 欲しく なりました 。 そして 、 自分 の うち の 畑 の すみ に 、 一 本 ほ ゝ づき の 木 が ある の を 思 ひだ して 、 「 ね 、 い ゝ で せ う ? 明日 、 二 つ に して か へ す から 、 ひと つ だけ 下さい 。 うち に ほ ゝ づき の 木 が ある の 。」 とい ひました 。 お 猫 さん は 、
「 まあ 、 二 つ に して か へ して くれる の なら 一 つ あげ ませ う 。 ぢや あ 、 あした 、 きつ と ね 。」 と 指切り を して 、 ひと つ 、 くれました 。 小 ぐ ま さん は うれしくて うれしくて 、 その 晩 一晩 、 その ほ ゝ づき を 手 の なか に いれて 、 ながめたり 、 着物 を きせて お 人形 さん に したり して あそびました 。 × × ×.
その 翌日 、 早く 起きて 、 小 ぐ ま さん は 畑 に ゆきました 。 そして お 昼 ころ まで 、 あつ ち こつ ち を さがしました が 、 ほ ゝ づき の 木 の 影 も 形 も ありません 。 やつ と 見付 か つたの は 、 ほ ゝ づき の 木 に よく 似た 、 まるで 別の 木 な のでした 。 小 ぐ ま さん は 、 す つかり 考 へ ち が ひ を して 、 これ を ほ ゝ づき の 木 だ と 思 つて ゐた のです 。 小 ぐ ま さん は どんなに 心配 した こと で せ う 。 お 猫 さん が これ を きいたら どんなに おこる だ ら うか と 思 つて 、 大きい 声 を だして 泣いて を りました 。 小 ぐ ま さん の 声 が あまり 大きい ので 、 お 隣り の あひる さん が やつ てきました 。 あひる さん は 、 たづ ねました 。 「 どうした の です か 、 私 に はなして 下さい 。」
小 ぐ ま さん は 自分 の 心配 を 、 あひる さん に はなしましたら 、 あひる さん は 小 ぐ ま さん を かわい さ う に 思 つて 、 わ あわ あ 泣きました 。 二 人 の 泣き声 が あまりに 大きい ので 、 昨日 の お 猫 さん が やつ てきました 。 小 ぐ ま さん は 涙 で 目 が みえ ない ので 、 お 猫 さん だ と はしら ず 、 自分 の 心配 を す つかり はなしましたら 、 お 猫 さん は 「 かわい さ うに 、 かわい さ うに 。」 と 泣きました 。 その 声 を きいて 小 ぐ ま さん は 飛びあがる ほど おどろいて い ひました 。 「 お 猫 さん 、 ほんとに ごめんなさい 。」 お 猫 さん は 、 そこ で やつ と 、 昨日 小 ぐ ま さん に ほ ゝ づき を あげた の は 自分 だ と いふ ことに 気 が つきました 。 「 私 、 す つかり 、 そんな こと 忘れて ゐま した 。」 これ を きいて 、 小 ぐ ま さん は お 猫 さん が 、 お こつ て ゐ ない ので 、 どんなに 嬉し か つた で せ う 。 三 人 で お ひる の ごはん を たべました が 、 小 ぐ ま さん は みんな の 倍 の 倍 も 食べられました 。