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太宰治『人間失格』(No Longer Human by Osamu Dazai), 第二の手記 (4)

第 二 の 手記 (4)

好きだった から な のです。 自分 に は 、その 人 たち が 、気 に いって いた から な のです。 しかし 、それ は 必ずしも 、マルクス に 依って 結ばれた 親愛 感 で は 無かった のです。

非合法。 自分 に は 、それ が 幽 か に 楽しかった のです。 むしろ 、居心地 が よかった のです。 世の中 の 合法 と いう もの の ほう が 、かえって おそろしく 、(それ に は 、底 知れ ず 強い もの が 予感 せられます )その からくり が 不可解で 、とても その 窓 の 無い 、底冷え の する 部屋 に は 坐って おら れ ず 、外 は 非合法の 海 であって も 、それ に 飛び込んで 泳いで 、やがて 死に 到 る ほう が 、自分 に は 、いっそ 気楽 の ようでした。

日 蔭 者 ひかげ も の 、と いう 言葉 が あります。 人間 の 世に 於 いて 、みじめな 、敗者 、悪徳 者 を 指差して いう 言葉 の ようです が 、自分 は 、自分 を 生れた 時 から の 日 蔭 者 の ような 気 が して いて 、世間 から 、あれ は 日 蔭 者 だ と 指差されて いる 程 の ひと と 逢う と 、自分 は 、必ず 、優しい 心 に なる のです。 そうして 、その 自分 の 「優しい 心 」は 、自身 で うっとり する くらい 優しい 心 でした。

また 、犯人 意識 、と いう 言葉 も あります。 自分 は 、この 人間 の 世の中 に 於 いて 、一生 その 意識 に 苦しめられ ながら も 、しかし 、それ は 自分 の 糟糠 そうこう の 妻 の 如き 好 伴侶 はんりょ で 、そい つと 二 人きり で 侘 わびしく 遊び たわむれて いる と いう の も 、自分 の 生きて いる 姿勢 の 一 つ だった かも 知れ ない し 、また 、俗に 、脛 すね に 傷 持つ 身 、と いう 言葉 も ある ようです が 、その 傷 は 、自分 の 赤ん坊 の 時 から 、自然に 片方 の 脛 に あらわれて 、長ずる に 及んで 治癒 する どころ か 、いよいよ 深く なる ばかりで 、骨 に まで 達し 、夜 々 の 痛 苦 は 千変万化 の 地獄 と は 言い ながら 、しかし 、(これ は 、たいへん 奇妙な 言い 方 です けど )その 傷 は 、次第に 自分 の 血肉 より も 親しく なり 、その 傷 の 痛み は 、すなわち 傷 の 生きて いる 感情 、または 愛情 の 囁 ささやき の ように さえ 思わ れる 、そんな 男 に とって 、れいの 地下 運動 の グルウプ の 雰囲気 が 、へんに 安心で 、居心地 が よく 、つまり 、その 運動 の 本来 の 目的 より も 、その 運動 の 肌 が 、自分 に 合った 感じ な のでした。 堀木 の 場合 は 、ただ もう 阿 呆 の ひやかし で 、いち ど 自分 を 紹介 し に その 会合 へ 行った きり で 、マルキシスト は 、生産 面 の 研究 と 同時に 、消費 面 の 視察 も 必要だ など と 下手な 洒落 しゃれ を 言って 、その 会合 に は 寄りつか ず 、とかく 自分 を 、その 消費 面 の 視察 の ほう に ばかり 誘い た がる のでした。 思えば 、当時 は 、さまざまの 型 の マルキシスト が いた もの です。 堀木 の ように 、虚栄 の モダニティ から 、それ を 自称 する 者 も あり 、また 自分 の ように 、ただ 非合法の 匂い が 気 に いって 、そこ に 坐り 込んで いる 者 も あり 、もしも これら の 実体 が 、マルキシズム の 真 の 信奉 者 に 見破ら れたら 、堀木 も 自分 も 、烈 火 の 如く 怒ら れ 、卑劣なる 裏 切 者 と して 、たちどころに 追い払わ れた 事 でしょう。 しかし 、自分 も 、また 、堀木 で さえ も 、なかなか 除名 の 処分 に 遭わ ず 、殊に も 自分 は 、その 非合法の 世界 に 於 いて は 、合法 の 紳士 たち の 世界 に 於 ける より も 、かえって のびのび と 、所 謂 「健康 」に 振舞う 事 が 出来ました ので 、見込み の ある 「同志 」と して 、噴き出し たく なる ほど 過度に 秘密 めかした 、さまざまの 用事 を たのま れる ほど に なった のです。 また 、事実 、自分 は 、そんな 用事 を いち ども 断った こと は 無く 、平気で なんでも 引受け 、へんに ぎくしゃく して 、犬 (同志 は 、ポリス を そう 呼んで いました )に あやしま れ 不審 訊問 じんもん など を 受けて しくじる ような 事 も 無かった し 、笑い ながら 、また 、ひと を 笑わ せ ながら 、その あぶない (その 運動 の 連中 は 、一大事 の 如く 緊張 し 、探偵 小説 の 下手な 真似 みたいな 事 まで して 、極度の 警戒 を 用い 、そうして 自分 に たのむ 仕事 は 、まことに 、あっけにとられる くらい 、つまらない もの でした が 、それ でも 、彼等 は 、その 用事 を 、さかんに 、あぶな がって 力んで いる のでした )と 、彼等 の 称する 仕事 を 、とにかく 正確に やってのけて いました。 自分 の その 当時 の 気持 と して は 、党員 に なって 捕えられ 、た とい 終身 、刑務所 で 暮す ように なった と して も 、平気だった のです。 世の中 の 人間 の 「実 生活 」と いう もの を 恐怖 し ながら 、毎夜 の 不眠 の 地獄 で 呻 うめいて いる より は 、いっそ 牢屋 ろうや の ほう が 、楽 かも 知れ ない と さえ 考えて いました。

父 は 、桜木 町 の 別荘 で は 、来客 やら 外出 やら 、同じ 家 に いて も 、三 日 も 四 日 も 自分 と 顔 を 合せる 事 が 無い ほど でした が 、しかし 、どうにも 、父 が けむった く 、おそろしく 、この 家 を 出て 、どこ か 下宿 でも 、と 考え ながら も それ を 言い 出せ ず に いた 矢先 に 、父 が その 家 を 売払う つもり らしい と いう 事 を 別荘 番 の 老 爺 ろうや から 聞きました。

父 の 議員 の 任期 も そろそろ 満期 に 近づき 、いろいろ 理由 の あった 事 に 違い ありません が 、もう これ きり 選挙 に 出る 意志 も 無い 様子 で 、それ に 、故郷 に 一 棟 、隠居 所 など 建てたり して 、東京 に 未練 も 無い らしく 、たかが 、高等 学校 の 一 生徒 に 過ぎ ない 自分 の ため に 、邸宅 と 召使い を 提供 して 置く の も 、むだな 事 だ と でも 考えた の か 、(父 の 心 も また 、世間 の 人 たち の 気持ち と 同様に 、自分 に は よく わかりません )とにかく 、その 家 は 、間も無く 人手 に わたり 、自分 は 、本郷 森川 町 の 仙遊 館 と いう 古い 下宿 の 、薄暗い 部屋 に 引越 して 、そうして 、たちまち 金 に 困りました。

それ まで 、父 から 月々 、きまった 額 の 小遣い を 手渡さ れ 、それ は もう 、二 、三 日 で 無くなって も 、しかし 、煙草 も 、酒 も 、チイズ も 、くだもの も 、いつでも 家 に あった し 、本 や 文房具 や その他 、服装 に 関する もの など 一切 、いつでも 、近所 の 店 から 所 謂 「ツケ 」で 求められた し 、堀木 に お そば か 天丼 など を ごちそう して も 、父 の ひいき の 町 内 の 店 だったら 、自分 は 黙って その 店 を 出て も かまわ なかった のでした。

それ が 急に 、下宿 の ひと り 住い に なり 、何もかも 、月々 の 定額 の 送金 で 間に合わ せ なければ なら なく なって 、自分 は 、まごつきました。 送金 は 、やはり 、二 、三 日 で 消えて しまい 、自分 は 慄然 りつぜんと し 、心細 さ の ため に 狂う ように なり 、父 、兄 、姉 など へ 交互に お 金 を 頼む 電報 と 、イサイフミ の 手紙 (その 手紙 に 於 いて 訴えて いる 事情 は 、ことごとく 、お 道化 の 虚構 でした。 人 に もの を 頼む のに 、まず 、その 人 を 笑わ せる の が 上 策 と 考えて いた のです )を 連発 する 一方 、また 、堀木 に 教えられ 、せっせと 質屋 が よい を はじめ 、それ でも 、いつも お 金 に 不自由 を して いました。

所詮 、自分 に は 、何の 縁故 も 無い 下宿 に 、ひと り で 「生活 」して 行く 能力 が 無かった のです。 自分 は 、下宿 の その 部屋 に 、ひと り で じっと して いる の が 、おそろしく 、いまにも 誰 か に 襲わ れ 、一撃 せられる ような 気 が して 来て 、街 に 飛び出して は 、れいの 運動 の 手伝い を したり 、或いは 堀木 と 一緒に 安い 酒 を 飲み 廻ったり して 、ほとんど 学業 も 、また 画 の 勉強 も 放棄 し 、高等 学校 へ 入学 して 、二 年 目 の 十一 月 、自分 より 年上 の 有 夫 の 婦人 と 情 死 事件 など を 起し 、自分 の 身の上 は 、一変 しました。

学校 は 欠席 する し 、学科 の 勉強 も 、すこしも し なかった のに 、それ でも 、妙に 試験 の 答案 に 要領 の いい ところ が ある ようで 、どうやら それ まで は 、故郷 の 肉親 を あざむき 通して 来た のです が 、しかし 、もう そろそろ 、出席 日数 の 不足 など 、学校 の ほう から 内密に 故郷 の 父 へ 報告 が 行って いる らしく 、父 の 代理 と して 長兄 が 、いかめしい 文章 の 長い 手紙 を 、自分 に 寄こす ように なって いた のでした。 けれども 、それ より も 、自分 の 直接の 苦痛 は 、金 の 無い 事 と 、それ から 、れいの 運動 の 用事 が 、とても 遊び半分の 気持 で は 出来 ない くらい 、はげしく 、いそがしく なって 来た 事 でした。 中央 地区 と 言った か 、何 地区 と 言った か 、とにかく 本郷 、小石川 、下谷 、神田 、あの 辺 の 学校 全部 の 、マルクス 学生 の 行動 隊 々 長 と いう もの に 、自分 は なって いた のでした。 武装 蜂起 ほうき 、と 聞き 、小さい ナイフ を 買い (いま 思えば 、それ は 鉛筆 を けずる に も 足りない 、きゃしゃな ナイフ でした )それ を 、レンコオト の ポケット に いれ 、あちこち 飛び 廻って 、所 謂 いわゆる 「聯絡 れんらく 」を つける のでした。 お 酒 を 飲んで 、ぐっすり 眠りたい 、しかし 、お 金 が ありません。 しかも 、P (党 の 事 を 、そういう 隠語 で 呼んで いた と 記憶 して います が 、或いは 、違って いる かも 知れません )の ほう から は 、次々 と 息 を つく ひま も 無い くらい 、用事 の 依頼 が まいります。 自分 の 病弱の からだ で は 、とても 勤まり そう も 無くなりました。 もともと 、非合法の 興味 だけ から 、その グルウプ の 手伝い を して いた のです し 、こんなに 、それ こそ 冗談 から 駒 が 出た ように 、いやに いそがしく なって 来る と 、自分 は 、ひそかに P の ひと たち に 、それ は お 門 かど ちがい でしょう 、あなた たち の 直系 の もの たち に やら せたら どう です か 、と いう ような いまいましい 感 を 抱く の を 禁ずる 事 が 出来 ず 、逃げました。 逃げて 、さすが に 、いい 気持 は せ ず 、死ぬ 事 に しました。

その頃 、自分 に 特別の 好意 を 寄せて いる 女 が 、三 人 いました。 ひとり は 、自分 の 下宿 して いる 仙遊 館 の 娘 でした。 この 娘 は 、自分 が れいの 運動 の 手伝い で へとへとに なって 帰り 、ごはん も 食べ ず に 寝て しまって から 、必ず 用 箋 ようせ ん と 万年筆 を 持って 自分 の 部屋 に やって 来て、

「ごめんなさい。 下 で は 、妹 や 弟 が うるさくて 、ゆっくり 手紙 も 書け ない のです」

と 言って 、何やら 自分 の 机 に 向って 一 時間 以上 も 書いて いる のです。

自分 も また 、知らん振り を して 寝て おれば いい のに 、いかにも その 娘 が 何 か 自分 に 言って もらい た げ の 様子 な ので 、れい の 受け身の 奉仕 の 精神 を 発揮 して 、実に 一言 も 口 を きき たく ない 気持 な のだ けれども 、くたくたに 疲れ切って いる から だ に 、ウム と 気合い を かけて 腹這 はらばい に なり 、煙草 を 吸い、

「女 から 来た ラヴ ・レター で 、風呂 を わかして は いった 男 が ある そうです よ」

「あら 、いやだ。 あなた でしょう?

「ミルク を わかして 飲んだ 事 は ある んです」

「光栄だ わ 、飲んで よ」

早く この ひと 、帰ら ねえ か なあ 、手紙 だ なんて 、見えすいて いる のに。 へ へ の の も へ じ でも 書いて いる の に 違いない んです。

「見せて よ」

と 死んで も 見 たく ない 思い で そう 言えば 、あら 、いや よ 、あら 、いや よ 、と 言って 、その うれし がる 事 、ひどく みっともなく 、興 が 覚める ばかりな のです。 そこ で 自分 は 、用事 でも 言いつけて やれ 、と 思う んです。

「すまない けど ね 、電車 通り の 薬屋 に 行って 、カルモチン を 買って 来て くれ ない? あんまり 疲れ すぎて 、顔 が ほてって 、かえって 眠れ ない んだ。 すまない ね。 お 金 は、……」

「いい わ よ 、お 金 なんか」

よろこんで 立ちます。 用 を 言いつける と いう の は 、決して 女 を しょげ させる 事 で は なく 、かえって 女 は 、男 に 用事 を たのま れる と 喜ぶ もの だ と いう 事 も 、自分 は ちゃんと 知っている のでした。

もう ひと り は 、女子 高等 師範 の 文科 生 の 所 謂 「同志 」でした。 この ひと と は 、れいの 運動 の 用事 で 、いやで も 毎日 、顔 を 合せ なければ なら なかった のです。 打ち合せ が すんで から も 、その 女 は 、いつまでも 自分 に ついて 歩いて 、そうして 、やたらに 自分 に 、もの を 買って くれる のでした。

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第 二 の 手記 (4) だい|ふた||しゅき Konten aus zweiter Hand (4) Second hand notes (4) Cuentas de segunda mano (4) Comptes d'occasion (4) 두 번째 수기 (4) Contas em segunda mão (4) 第二注 (4) 第二注 (4)

好きだった から な のです。 すきだった||| 曾經喜歡||| It was because I liked them. 自分 に は 、その 人 たち が 、気 に いって いた から な のです。 じぶん||||じん|||き|||||| |||||||liking||liked|||| For me, it was because those people were likable. しかし 、それ は 必ずしも 、マルクス に 依って 結ばれた 親愛 感 で は 無かった のです。 |||かならずしも|||よって|むすばれた|しんあい|かん|||なかった| |||||||connected|affection||||| However, it was not necessarily a fondness formed by relying on Marx. 然而,那並不一定是因為馬克思而結下的親密感。

非合法。 ひごうほう illegal 非法。 自分 に は 、それ が 幽 か に 楽しかった のです。 じぶん|||||ゆう|||たのしかった| |||||幽暗|||很快樂| |||||subtly|||| For me, it was faintly enjoyable. 對我來說,那是微微愉快的。 むしろ 、居心地 が よかった のです。 |いごこち||| |舒適感||| |comfort||| In fact, I felt right at home. 反而,讓人感到很舒適。 世の中 の 合法 と いう もの の ほう が 、かえって おそろしく 、(それ に は 、底 知れ ず 強い もの が 予感 せられます )その からくり が 不可解で 、とても その 窓 の 無い 、底冷え の する 部屋 に は 坐って おら れ ず 、外 は 非合法の 海 であって も 、それ に 飛び込んで 泳いで 、やがて 死に 到 る ほう が 、自分 に は 、いっそ 気楽 の ようでした。 よのなか||ごうほう||||||||||||そこ|しれ||つよい|||よかん|せら れ ます||||ふかかいで|||まど||ない|そこびえ|||へや|||すわって||||がい||ひごうほうの|うみ|||||とびこんで|およいで||しに|とう||||じぶん||||きらく|| |||||||||||||||||||||||機關||||||||冰冷的底部|||||||||||||||||||||||||||||乾脆|輕鬆自在|| ||legal|||||||||||||||||||predicted||||incomprehensible||||||chilly||||||||||||illegal|||||||||||||||||rather|carefree|| The things that are legal in the world are rather terrifying (there is something immeasurably strong about them), and their mechanism is so mysterious that I would not be sitting in that windowless, freezing room. Even though it was an illegal sea outside, it seemed more comfortable to jump into it, swim, and eventually die. 世間的合法事物,反而讓人感到可怕,(在那裡,似乎預感到有某種深不可測的力量),它的奧秘無法理解,讓人根本無法坐在沒有窗戶的、透骨的冷房裡;外面的非法之海,即便如此,潛入並游泳,最終走向死亡,對我來說,似乎更輕鬆自在。

日 蔭 者 ひかげ も の 、と いう 言葉 が あります。 ひ|おん|もの||||||ことば||あり ます |||陰影||||||| |shade||shade||||||| There is a term for this: a person in the shadows. 有一句話叫做日蔭者。 人間 の 世に 於 いて 、みじめな 、敗者 、悪徳 者 を 指差して いう 言葉 の ようです が 、自分 は 、自分 を 生れた 時 から の 日 蔭 者 の ような 気 が して いて 、世間 から 、あれ は 日 蔭 者 だ と 指差されて いる 程 の ひと と 逢う と 、自分 は 、必ず 、優しい 心 に なる のです。 にんげん||よに|お|||はいしゃ|あくとく|もの||ゆびさして||ことば||||じぶん||じぶん||うまれた|じ|||ひ|おん|もの|||き||||せけん||||ひ|おん|もの|||ゆびささ れて||ほど||||あう||じぶん||かならず|やさしい|こころ||| |||||可憐的|||||指著||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| |||at||miserable|loser|wicked person|||pointing at||||||||||||||||||||||||||||||||pointed at||extent||||meet||||||||| In the world of humans, it seems to be a word used to point to miserable, losers, and vices, but I feel like I've been in the shadows since the day I was born, and I've been told by the world that When I meet a person who is pointed out to be a shady person, I am sure to become kind hearted. 在人間的世界中,似乎有一種話語是用來指責可憐的、失敗者和惡徒,但我卻覺得自己從出生起就像一個日陰者,當遇到那些被世人指指點點說他們是日陰者的人時,我必定會心生善意。 そうして 、その 自分 の 「優しい 心 」は 、自身 で うっとり する くらい 優しい 心 でした。 ||じぶん||やさしい|こころ||じしん|||||やさしい|こころ| |||||||自己||陶醉||||| |||||||||entranced||||| And my own "kind heart" was so kind that I was fascinated by myself. 而且,自己那顆「善良的心」是讓自己陶醉到不行的善良心。

また 、犯人 意識 、と いう 言葉 も あります。 |はんにん|いしき|||ことば||あり ます There is also the word criminal consciousness. 另外,還有「犯人意識」這個詞。 自分 は 、この 人間 の 世の中 に 於 いて 、一生 その 意識 に 苦しめられ ながら も 、しかし 、それ は 自分 の 糟糠 そうこう の 妻 の 如き 好 伴侶 はんりょ で 、そい つと 二 人きり で 侘 わびしく 遊び たわむれて いる と いう の も 、自分 の 生きて いる 姿勢 の 一 つ だった かも 知れ ない し 、また 、俗に 、脛 すね に 傷 持つ 身 、と いう 言葉 も ある ようです が 、その 傷 は 、自分 の 赤ん坊 の 時 から 、自然に 片方 の 脛 に あらわれて 、長ずる に 及んで 治癒 する どころ か 、いよいよ 深く なる ばかりで 、骨 に まで 達し 、夜 々 の 痛 苦 は 千変万化 の 地獄 と は 言い ながら 、しかし 、(これ は 、たいへん 奇妙な 言い 方 です けど )その 傷 は 、次第に 自分 の 血肉 より も 親しく なり 、その 傷 の 痛み は 、すなわち 傷 の 生きて いる 感情 、または 愛情 の 囁 ささやき の ように さえ 思わ れる 、そんな 男 に とって 、れいの 地下 運動 の グルウプ の 雰囲気 が 、へんに 安心で 、居心地 が よく 、つまり 、その 運動 の 本来 の 目的 より も 、その 運動 の 肌 が 、自分 に 合った 感じ な のでした。 じぶん|||にんげん||よのなか||お||いっしょう||いしき||くるしめ られ||||||じぶん||かすぬか|そう こう||つま||ごとき|よしみ|はんりょ|||||ふた|ひときり||た||あそび|||||||じぶん||いきて||しせい||ひと||||しれ||||ぞくに|すね|||きず|もつ|み|||ことば||||||きず||じぶん||あかんぼう||じ||しぜんに|かたほう||すね|||ちょうずる||およんで|ちゆ|||||ふかく|||こつ|||たっし|よ|||つう|く||せんぺんばんか||じごく|||いい||||||きみょうな|いい|かた||||きず||しだいに|じぶん||けつにく|||したしく|||きず||いたみ|||きず||いきて||かんじょう||あいじょう||ささや|||||おもわ|||おとこ||||ちか|うんどう||||ふんいき|||あんしんで|いごこち|||||うんどう||ほんらい||もくてき||||うんどう||はだ||じぶん||あった|かんじ|| |||||||||一生||||受苦||||||||糟糠||||||||||||||||||嬉戲|||||||||||||||||||||小腿||||||||||||||||||||||||||||長大|||治癒||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||也就是||||||||||低語||||||||||||||小組|||||||||||||||||||||||||||| |||||||||||||tormented by||||||||chaff|one's wife||||like||companion|partner|||||just the two||loneliness|lonely||playing||||||||||posture||||||||||commonly|shin|||||body|||||||||||||baby|||||one||shin|||grow||reaching|healing||||||||bone|||reached|||||||ever-changing||hell||||||||||||||||||||flesh|||||||||||||||||||whisper|whisper||||||||||||||group|||||strangely安心|sense of comfort|||||||||||||||||||||| In this world of human beings, I have been tormented by this consciousness for my whole life, but still, it was like a good companion, like my wife, and perhaps playing bitterly alone with her was one of the postures of my living. Also, there seems to be a saying about a person with scars on the shins, but that scar appeared naturally on one of my shins since my infancy, and rather than healing as time went on, it only deepened until it reached the bone. The pain at night is like a hell of a thousand changes, yet (this is a rather strange way of putting it) that scar has gradually become more intimate than my own flesh and blood, and the pain of that scar is perceived as the living feeling of the scar, or even like the whispers of affection. For such a man, the atmosphere of the underground movement groups feels strangely reassuring and comfortable, meaning that the essence of the movement feels compatible with me more than its original purpose. 堀木 の 場合 は 、ただ もう 阿 呆 の ひやかし で 、いち ど 自分 を 紹介 し に その 会合 へ 行った きり で 、マルキシスト は 、生産 面 の 研究 と 同時に 、消費 面 の 視察 も 必要だ など と 下手な 洒落 しゃれ を 言って 、その 会合 に は 寄りつか ず 、とかく 自分 を 、その 消費 面 の 視察 の ほう に ばかり 誘い た がる のでした。 ほりき||ばあい||||おもね|ぼけ||||||じぶん||しょうかい||||かいごう||おこなった|||||せいさん|おもて||けんきゅう||どうじに|しょうひ|おもて||しさつ||ひつようだ|||へたな|しゃれ|||いって||かいごう|||よりつか|||じぶん|||しょうひ|おもて||しさつ|||||さそい||| ||||||||||||||||||||||||馬克思主義者||||||||||||||||||||||會議|||不參加||總是||||||||||||||| |||||||||mockery||||||||||meeting|||||Marxist||||||||consumption|||inspection|||||poor|witty remark|bad joke|||||||did not approach||generally|||||||inspection|||||||| In the case of Horiki, it was just a foolish joke. He went to that meeting once to introduce himself and just said some poor humor about how, as Marxists, it is necessary to study the production side as well as the consumption side, and he had no interest in attending that meeting afterward. He always tried to lead me toward observing the consumption side. 堀木的情況,無非是阿呆的嘲諷,只是曾經去過一次自我介紹的會議。馬克思主義者卻說著低劣的玩笑,聲稱生產面的研究同時需要消費面的視察,結果卻不參加會議,反而總是引誘自己偏向消費面的視察。 思えば 、当時 は 、さまざまの 型 の マルキシスト が いた もの です。 おもえば|とうじ|||かた|||||| ||||型||馬克思主義|||| ||||||Marxist|||| Looking back, there were many types of Marxists at that time. 回想起來,當時有各式各樣的馬克思主義者。 堀木 の ように 、虚栄 の モダニティ から 、それ を 自称 する 者 も あり 、また 自分 の ように 、ただ 非合法の 匂い が 気 に いって 、そこ に 坐り 込んで いる 者 も あり 、もしも これら の 実体 が 、マルキシズム の 真 の 信奉 者 に 見破ら れたら 、堀木 も 自分 も 、烈 火 の 如く 怒ら れ 、卑劣なる 裏 切 者 と して 、たちどころに 追い払わ れた 事 でしょう。 ほりき|||きょえい||||||じしょう||もの||||じぶん||||ひごうほうの|におい||き|||||すわり|こんで||もの||||これ ら||じったい||||まこと||しんぽう|もの||みやぶら||ほりき||じぶん||れつ|ひ||ごとく|いから||ひれつなる|うら|せつ|もの||||おいはらわ||こと| |||||現代性||||||||||||||非法的|||||||||||||||||||馬克思主義|||||||||||||烈火||||||卑劣的||||||立刻|驅逐||| |||vanity||modernity||||self-proclaimed||||||||||||||||||sitting|||||||||reality||Marxism||||devotion|||seen through||||||||||||despicable||||||immediately|driven away||| Just like Horiki, there are those who self-proclaim their modernity driven by vanity, and there are also those like myself who simply enjoy the scent of illegality and settle into it. If these entities were to be seen through by true believers of Marxism, both Horiki and I would surely be scolded like a raging fire and quickly driven away as despicable traitors. 像堀木這樣,從虛榮的現代性中,自稱為馬克思主義者的人,也有像我這樣,單純對非法的氣息感興趣,扎根於那裡的人。如果這些實體被真正的馬克思主義信奉者看穿的話,堀木和我也將遭到如烈火般的憤怒,立即被作為卑鄙的背叛者驅逐。 しかし 、自分 も 、また 、堀木 で さえ も 、なかなか 除名 の 処分 に 遭わ ず 、殊に も 自分 は 、その 非合法の 世界 に 於 いて は 、合法 の 紳士 たち の 世界 に 於 ける より も 、かえって のびのび と 、所 謂 「健康 」に 振舞う 事 が 出来ました ので 、見込み の ある 「同志 」と して 、噴き出し たく なる ほど 過度に 秘密 めかした 、さまざまの 用事 を たのま れる ほど に なった のです。 |じぶん|||ほりき|||||じょめい||しょぶん||あわ||ことに||じぶん|||ひごうほうの|せかい||お|||ごうほう||しんし|||せかい||お|||||||しょ|い|けんこう||ふるまう|こと||でき ました||みこみ|||どうし|||ふきだし||||かどに|ひみつ|||ようじ||||||| |||也|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||行為|||||||||||||||過度地||神秘的||||||||| |||||||||expulsion||||be subjected||especially||||||||at|||||gentleman||||||||||freely||||||behave|||||||||||burst forth||||excessively||made secret||||requested||||| However, I and even Horiki have not faced expulsion, and particularly for myself, in that world of illegality, I actually found it easier to behave somewhat freely and ‘healthily’ compared to the world of lawful gentlemen, which led to being asked excessively for various overly secretive matters as a promising ‘comrade’ to the point where I wanted to burst out laughing. 然而,包括我在內,即便是堀木也很難遭到除名的處分,尤其是我在那個非法的世界裡,反而比在合法紳士們的世界裡,更能自由自在地、所謂的「健康」地行為,因此作為有潛力的「同志」,我開始受到過度神秘化的各種請托,甚至讓我忍不住想要噴出來。 また 、事実 、自分 は 、そんな 用事 を いち ども 断った こと は 無く 、平気で なんでも 引受け 、へんに ぎくしゃく して 、犬 (同志 は 、ポリス を そう 呼んで いました )に あやしま れ 不審 訊問 じんもん など を 受けて しくじる ような 事 も 無かった し 、笑い ながら 、また 、ひと を 笑わ せ ながら 、その あぶない (その 運動 の 連中 は 、一大事 の 如く 緊張 し 、探偵 小説 の 下手な 真似 みたいな 事 まで して 、極度の 警戒 を 用い 、そうして 自分 に たのむ 仕事 は 、まことに 、あっけにとられる くらい 、つまらない もの でした が 、それ でも 、彼等 は 、その 用事 を 、さかんに 、あぶな がって 力んで いる のでした )と 、彼等 の 称する 仕事 を 、とにかく 正確に やってのけて いました。 |じじつ|じぶん|||ようじ||||たった|||なく|へいきで||ひきうけ||||いぬ|どうし|||||よんで|い ました||||ふしん|じんもん||||うけて|||こと||なかった||わらい|||||わらわ||||||うんどう||れんちゅう||いちだいじ||ごとく|きんちょう||たんてい|しょうせつ||へたな|まね||こと|||きょくどの|けいかい||もちい||じぶん|||しごと|||||||||||かれら|||ようじ|||||りきんで||||かれら||しょうする|しごと|||せいかくに||い ました |||||||||||||||||笨拙|||同志||||||||懷疑||||||||失敗||||||||||||||||||||||||||||||||||||||用事|||||||實在||||||||||||||熱衷地||||||||||||||完成| |||||||||refused||||||taking on||awkward|||||police||||||suspicious of||suspicious|suspicious inquiry|interrogation||||failed||||||||||||||||||||||||||detective|||||||||extreme|||||||to entrust||||taken aback|||||||||||||actively|dangerous||straining||||they||they called|||||pulled off| In fact, I have never once refused such requests, comfortably accepting anything, and did not have any mishaps such as being suspiciously questioned by the police (whom comrades referred to as dogs). While laughing and making others laugh, I accurately completed the so-called dangerous jobs (the members of that movement were tense as if it were a major crisis, doing things like bad imitations of detective novels, staying on high alert, and the tasks entrusted to me were truly shockingly trivial (however, they were overly tense and concerned about these tasks)). 而且事實上,我從來沒有拒絕過這樣的請托,心安理得地接受任何事情,反而有些變得笨拙,偶爾被狗(同志們稱警察為狗)懷疑,被詢問不明的事情,也沒有失敗過,同時還能笑著,並讓他人發笑,雖然那危險的(那運動的夥伴們緊張得像是發生了大事,甚至還模仿拙劣的偵探小說,保持極度的警惕,然後我接受的工作,卻實在簡單得讓人驚訝),不過他們還是對那些請求充滿警覺和緊張。 自分 の その 当時 の 気持 と して は 、党員 に なって 捕えられ 、た とい 終身 、刑務所 で 暮す ように なった と して も 、平気だった のです。 じぶん|||とうじ||きもち||||とういん|||とらえ られ|||しゅうしん|けいむしょ||くらす||||||へいきだった| ||||||||||||被捕獲||||監獄||||||||| |||||||||party member|||captured|||life|prison||live||||||fine with it| At that time, I felt that even if I became a party member and got arrested, and even if I had to live in prison for life, I would be fine with it. 對於我當時的心情來說,即使成為黨員被捕,即便是終身在監獄裡生活,我也不在乎。 世の中 の 人間 の 「実 生活 」と いう もの を 恐怖 し ながら 、毎夜 の 不眠 の 地獄 で 呻 うめいて いる より は 、いっそ 牢屋 ろうや の ほう が 、楽 かも 知れ ない と さえ 考えて いました。 よのなか||にんげん||み|せいかつ|||||きょうふ|||まいよ||ふみん||じごく||うめ||||||ろうや|||||がく||しれ||||かんがえて|い ました ||||||||||||||||||||呻吟||||不如||||||||||||| |||||||||||||every night||sleeplessness||||groan|moaning||||rather|prison|prison||||||||||| I even thought that it might be easier to be in jail than to be moaning in the hell of sleepless nights, fearing the 'real lives' of people in the world.

父 は 、桜木 町 の 別荘 で は 、来客 やら 外出 やら 、同じ 家 に いて も 、三 日 も 四 日 も 自分 と 顔 を 合せる 事 が 無い ほど でした が 、しかし 、どうにも 、父 が けむった く 、おそろしく 、この 家 を 出て 、どこ か 下宿 でも 、と 考え ながら も それ を 言い 出せ ず に いた 矢先 に 、父 が その 家 を 売払う つもり らしい と いう 事 を 別荘 番 の 老 爺 ろうや から 聞きました。 ちち||さくらぎ|まち||べっそう|||らいきゃく||がいしゅつ||おなじ|いえ||||みっ|ひ||よっ|ひ||じぶん||かお||あわせる|こと||ない||||||ちち||||||いえ||でて|||げしゅく|||かんがえ|||||いい|だせ||||やさき||ちち|||いえ||うりはらう|||||こと||べっそう|ばん||ろう|じい|||きき ました |||||||||||||||||||||||||||||||||||無論|||煙霧瀰|||||||||寄宿|||||||||||||正當此時||||||||||||||||||||| |||||||||||||||||||||||||||meet|||||||||||fuming||terribly|||||||boarding house|||||||||||||just before|||||||sell off|||||||||||old man|old man|| My father, at his villa in Sakuragi-cho, was so busy with visitors and outings that even though we lived in the same house, there were times we didn't face each other for three or four days. However, I couldn't help but think my father was bothersome and terrifying, and while I considered moving out to a boarding house, I couldn't voice it. Just then, I heard from the old caretaker of the villa that my father seemed to be planning to sell the house. 父親在櫻木町的別墅中,來客和外出,雖然同在一棟房子裡,卻有三四天都無法見到他一面。不過,我一直在考慮著父親的冷淡和恐怖,想要離開這個家,去下宿,但卻又說不出口。就在這樣的時候,我從別墅看守的老爺爺那得知,父親似乎打算把這房子賣掉。

父 の 議員 の 任期 も そろそろ 満期 に 近づき 、いろいろ 理由 の あった 事 に 違い ありません が 、もう これ きり 選挙 に 出る 意志 も 無い 様子 で 、それ に 、故郷 に 一 棟 、隠居 所 など 建てたり して 、東京 に 未練 も 無い らしく 、たかが 、高等 学校 の 一 生徒 に 過ぎ ない 自分 の ため に 、邸宅 と 召使い を 提供 して 置く の も 、むだな 事 だ と でも 考えた の か 、(父 の 心 も また 、世間 の 人 たち の 気持ち と 同様に 、自分 に は よく わかりません )とにかく 、その 家 は 、間も無く 人手 に わたり 、自分 は 、本郷 森川 町 の 仙遊 館 と いう 古い 下宿 の 、薄暗い 部屋 に 引越 して 、そうして 、たちまち 金 に 困りました。 ちち||ぎいん||にんき|||まんき||ちかづき||りゆう|||こと||ちがい|あり ませ ん|||||せんきょ||でる|いし||ない|ようす||||こきょう||ひと|むね|いんきょ|しょ||たてたり||とうきょう||みれん||ない|||こうとう|がっこう||ひと|せいと||すぎ||じぶん||||ていたく||めしつかい||ていきょう||おく||||こと||||かんがえた|||ちち||こころ|||せけん||じん|||きもち||どうように|じぶん||||わかり ませ ん|||いえ||まもなく|ひとで|||じぶん||ほんごう|もりかわ|まち||せんゆう|かん|||ふるい|げしゅく||うすぐらい|へや||ひっこし||||きむ||こまり ました |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||留戀||||不過|||||||||||||宅邸||僕的家僕||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||立刻||| ||member||term|||expiration|||||||||||||||||||||||||||||retirement home|||built||||lingering attachment||||just|||||||||||||mansion||servant|||||||wasted||||||||||||||||||||||||||||||soon|another's hands|||||Hongou|Morikawa|||Senyu|||||boarding house|||||moved|||in no time|||had trouble My father's term as a politician is approaching its end, and for various reasons, he seems to have no intention of running for election again. Furthermore, it seems he has no lingering attachment to Tokyo, having built a retirement home in his hometown. Perhaps he thought that it would be a waste to provide a mansion and servants for someone who is just a high school student like me. (My father's feelings, much like those of people in the world, are difficult for me to understand.) In any case, that house will soon be taken over by someone else, and I will move to a dim room in an old boarding house called Senyuukan in Hongou Morikawa-cho, and before I knew it, I found myself in a financial bind. 父親的議員任期也快到期,雖然一定有各種理由,但他似乎不再打算參加選舉。而且,他在故鄉建了一座隱居所,似乎對東京已經沒有眷戀。或許是覺得為一個不過是高中的學生的我,提供宅邸和僕人是浪費的吧。(父親的心情我也無法理解,就像世間的人的心情一樣。)總之,那棟房子不久後將轉手,而我則搬到了本鄉森川町的一家叫仙遊館的古老下宿,並迅速陷入了金錢困境。

それ まで 、父 から 月々 、きまった 額 の 小遣い を 手渡さ れ 、それ は もう 、二 、三 日 で 無くなって も 、しかし 、煙草 も 、酒 も 、チイズ も 、くだもの も 、いつでも 家 に あった し 、本 や 文房具 や その他 、服装 に 関する もの など 一切 、いつでも 、近所 の 店 から 所 謂 「ツケ 」で 求められた し 、堀木 に お そば か 天丼 など を ごちそう して も 、父 の ひいき の 町 内 の 店 だったら 、自分 は 黙って その 店 を 出て も かまわ なかった のでした。 ||ちち||つきづき||がく||こづかい||てわたさ|||||ふた|みっ|ひ||なくなって|||たばこ||さけ|||||||いえ||||ほん||ぶんぼうぐ||そのほか|ふくそう||かんする|||いっさい||きんじょ||てん||しょ|い|つけ||もとめ られた||ほりき|||||てんどん||||||ちち||||まち|うち||てん||じぶん||だまって||てん||でて|||| |||||固定的|金額||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||偏愛|||||||||默默地|||||||| ||||monthly|fixed|amount||allowance||||||||||||||||||cheese||fruit|||||||||stationery|||clothing|||||||||||||tab||requested|||||soba||tendon||||||||favor||||||||||||||||| Until then, my father would hand me a fixed amount of pocket money every month. Even if it was gone within two or three days, we always had cigarettes, alcohol, cheese, and fruit at home, and I could always get books, stationery, or anything related to clothing on credit from nearby stores. Even if I treated myself to soba or tempura at a store favored by my father’s connections in the neighborhood, I could quietly leave the store without worry. 在此之前,父親每個月都會給我固定數額的零用錢,雖然通常兩三天就花光了,但家裡總是有煙、酒、奶酪和水果等,書籍、文具及其他與服裝相關的東西,隨時都能夠在附近的店以「賒帳」的方式購買。如果在堀木那裡請我吃蕎麥麵或天丼,只要是父親偏愛的那家店,我便會默默地從店裡走出去,也毫無所謂。

それ が 急に 、下宿 の ひと り 住い に なり 、何もかも 、月々 の 定額 の 送金 で 間に合わ せ なければ なら なく なって 、自分 は 、まごつきました。 ||きゅうに|げしゅく||||すまい|||なにもかも|つきづき||ていがく||そうきん||まにあわ||||||じぶん||まごつき ました |||||||||||||||||||||||||手忙腳亂 |||boarding house||||residence|||everything|monthly||fixed amount||money transfer||||||||||flustered But suddenly, I became a resident of the boarding house, and I had to manage everything on a monthly fixed allowance, which left me bewildered. 那突然之間,我成為了寄宿的獨居者,所有一切都必須依賴每月的固定匯款來維持生活,讓我感到非常困惑。 送金 は 、やはり 、二 、三 日 で 消えて しまい 、自分 は 慄然 りつぜんと し 、心細 さ の ため に 狂う ように なり 、父 、兄 、姉 など へ 交互に お 金 を 頼む 電報 と 、イサイフミ の 手紙 (その 手紙 に 於 いて 訴えて いる 事情 は 、ことごとく 、お 道化 の 虚構 でした。 そうきん|||ふた|みっ|ひ||きえて||じぶん||りつぜん|||こころぼそ|||||くるう|||ちち|あに|あね|||こうごに||きむ||たのむ|でんぽう||||てがみ||てがみ||お||うったえて||じじょう||||どうけ||きょこう| ||||||||||||||||||||||||||||||||||伊佐伊文||||||||||||全都是||||| remittance|||||||||||suddenly|suddenly alarmed||helplessness|||||go mad||||||||alternately|||||telegram||Isaifumi||||||at||complaining||||all||||fiction| The remittance, as expected, disappeared in just two or three days, leaving me in a state of shock. I became frantic out of despair, alternating between sending telegrams to my father, brother, and sister, asking for money, and writing letters to Isai Fumi. (The circumstances I was pleading about in those letters were entirely based on a farce of my own making.) 匯款果然只維持了二、三天就消失不見,我感到驚恐,因為心中的不安而變得瘋狂,於是反覆地向父親、哥哥、姐姐等人請求金錢的電報,以及寫給伊賽夫米的信(那信中所訴說的情況,全部都是自欺欺人的虛構)。 人 に もの を 頼む のに 、まず 、その 人 を 笑わ せる の が 上 策 と 考えて いた のです )を 連発 する 一方 、また 、堀木 に 教えられ 、せっせと 質屋 が よい を はじめ 、それ でも 、いつも お 金 に 不自由 を して いました。 じん||||たのむ||||じん||わらわ||||うえ|さく||かんがえて||||れんぱつ||いっぽう||ほりき||おしえ られ||しちや|||||||||きむ||ふじゆう|||い ました ||||||||||||||||||||||||||||勤奮地|當舖|||||||||||||| |||||||||||||||||||||repeatedly|||||||diligently|pawnshop|||||||||||||| When asking someone for something, I believed that making that person laugh was the best strategy, while continuously relying on teachings from Horiki, and diligently starting to frequent pawnshops, yet I still found myself constantly struggling for money. 我認為請求他人幫忙時,首先要讓那個人發笑才是上策(因此我不斷地重複這種自嘲的方式),同時又受到堀木的啟發,開始勤奮地向當鋪借助,但即使如此,我仍然常常缺錢。

所詮 、自分 に は 、何の 縁故 も 無い 下宿 に 、ひと り で 「生活 」して 行く 能力 が 無かった のです。 しょせん|じぶん|||なんの|えんこ||ない|げしゅく|||||せいかつ||いく|のうりょく||なかった| |||||關聯|||||||||||||| after all|||||connections|||||||||||||| In the end, I lacked the ability to live alone in a boarding house with no connections. 所詮,我是一個與下宿毫無關聯的人,無法獨自「生活」下去。 自分 は 、下宿 の その 部屋 に 、ひと り で じっと して いる の が 、おそろしく 、いまにも 誰 か に 襲わ れ 、一撃 せられる ような 気 が して 来て 、街 に 飛び出して は 、れいの 運動 の 手伝い を したり 、或いは 堀木 と 一緒に 安い 酒 を 飲み 廻ったり して 、ほとんど 学業 も 、また 画 の 勉強 も 放棄 し 、高等 学校 へ 入学 して 、二 年 目 の 十一 月 、自分 より 年上 の 有 夫 の 婦人 と 情 死 事件 など を 起し 、自分 の 身の上 は 、一変 しました。 じぶん||げしゅく|||へや||||||||||||だれ|||おそわ||いちげき|せら れる||き|||きて|がい||とびだして|||うんどう||てつだい|||あるいは|ほりき||いっしょに|やすい|さけ||のみ|まわったり|||がくぎょう|||が||べんきょう||ほうき||こうとう|がっこう||にゅうがく||ふた|とし|め||じゅういち|つき|じぶん||としうえ||ゆう|おっと||ふじん||じょう|し|じけん|||おこし|じぶん||みのうえ||いっぺん|し ました ||||||||||||||||||||襲擊||一擊|||||||||||||||||||||||||||||||畫||||||||||||||||||||||||||||||||||||一變| ||||||||||||||||at any moment||||attacked||a blow|||||||||||||||||||||||||drank around|||studies|||||||abandon||||||||||||||||||||married woman|||||||caused|||one's circumstances||completely| I felt an overwhelming fear of being alone in that room of the boarding house, as if I would be attacked by someone at any moment. This prompted me to run out into the street, assist with the usual activities, or drink cheap alcohol with Horiki, nearly abandoning my studies and art. After entering high school, in the second year in November, I became involved in a love affair with a married woman older than me, which completely changed my circumstances. 我在下宿的那個房間裡獨自待著,感到相當恐懼,似乎隨時會被某人襲擊,甚至會受到重創,於是我跳出街頭,幫助運動,或是和堀木一起喝便宜酒,幾乎放棄了學業,也放棄了畫的學習,進入高中後,二年級的十一月,和比自己年長的已婚婦女產生情感糾葛,自己的身世完全改變了。

学校 は 欠席 する し 、学科 の 勉強 も 、すこしも し なかった のに 、それ でも 、妙に 試験 の 答案 に 要領 の いい ところ が ある ようで 、どうやら それ まで は 、故郷 の 肉親 を あざむき 通して 来た のです が 、しかし 、もう そろそろ 、出席 日数 の 不足 など 、学校 の ほう から 内密に 故郷 の 父 へ 報告 が 行って いる らしく 、父 の 代理 と して 長兄 が 、いかめしい 文章 の 長い 手紙 を 、自分 に 寄こす ように なって いた のでした。 がっこう||けっせき|||がっか||べんきょう||||||||みょうに|しけん||とうあん||ようりょう|||||||||||こきょう||にくしん|||とおして|きた||||||しゅっせき|にっすう||ふそく||がっこう||||ないみつに|こきょう||ちち||ほうこく||おこなって|||ちち||だいり|||ちょうけい|||ぶんしょう||ながい|てがみ||じぶん||よこす|||| |||||||||一點也||||||||||||||||||似乎||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||嚴肅的|||||||||||| |(topic marker)|absence|||department||||not at all|||||||||exam paper||ability||||||||||||||||||||||||attendance days||||||||confidentially||||||||||||representative|||eldest brother||severe||||||||send to|||| He didn't go to school and didn't study hard at all, but even so, he seemed to be very good at answering exams, and until then, he had deceived his relatives back home. However, it seems that the school is about to send a secret report to his father in his hometown about the lack of attendance and other issues, and on behalf of his father, the eldest brother writes a long, stern letter to himself. I was supposed to drop by. 儘管缺席了學校,也沒有學習任何課程,但奇怪的是,考試的答案中似乎有些機靈的地方,總的來說,直到那時為止,似乎一直在欺騙故鄉的親人,但現在看來,缺席的日數似乎已經被學校偷偷地向故鄉的父親報告了,於是父親的代理長兄開始寄給我一封長篇的正式信件。 けれども 、それ より も 、自分 の 直接の 苦痛 は 、金 の 無い 事 と 、それ から 、れいの 運動 の 用事 が 、とても 遊び半分の 気持 で は 出来 ない くらい 、はげしく 、いそがしく なって 来た 事 でした。 ||||じぶん||ちょくせつの|くつう||きむ||ない|こと|||||うんどう||ようじ|||あそびはんぶんの|きもち|||でき||||||きた|こと| ||||||直接的|痛苦|||||||||||||||遊玩心態|||||||激烈地|忙碌地|||| ||||||direct|pain|||||||||||||||half-hearted|||||||intensely|very busy|||| However, my immediate pain was more about having no money, and then the tasks related to those movements became so intense and busy that I couldn't approach them with a half-hearted attitude. 然而,直接的痛苦是缺錢,然後,與那個運動有關的事情,變得非常忙碌,以至於根本無法以玩樂的心情來進行。 中央 地区 と 言った か 、何 地区 と 言った か 、とにかく 本郷 、小石川 、下谷 、神田 、あの 辺 の 学校 全部 の 、マルクス 学生 の 行動 隊 々 長 と いう もの に 、自分 は なって いた のでした。 ちゅうおう|ちく||いった||なん|ちく||いった|||ほんごう|こいしかわ|したや|しんでん||ほとり||がっこう|ぜんぶ|||がくせい||こうどう|たい||ちょう|||||じぶん|||| |||||||||||Bongo|Koishikawa|Shitaya||||||||||||squad||||||||||| I was the leader of the Marxist student action group from all the schools around Hongo, Koishikawa, Shitaya, Kanda — whether you call it the central district or some other district. 至於是中央地區還是什麼地區,總之在本鄉、小石川、下谷、神田,那一帶的所有學校中,我成為了馬克思主義學生的行動隊隊長。 武装 蜂起 ほうき 、と 聞き 、小さい ナイフ を 買い (いま 思えば 、それ は 鉛筆 を けずる に も 足りない 、きゃしゃな ナイフ でした )それ を 、レンコオト の ポケット に いれ 、あちこち 飛び 廻って 、所 謂 いわゆる 「聯絡 れんらく 」を つける のでした。 ぶそう|ほうき|||きき|ちいさい|ないふ||かい||おもえば|||えんぴつ|||||たりない||ないふ||||||ぽけっと||||とび|まわって|しょ|い||れんらく|||| |||||||||||||||||||纖細的|||||聯絡||||||||||||||| armed|uprising|uprising|||||||||||pencil||sharpen||||delicate|||||pocket|||||||||||contact|contact||| Upon hearing about the armed uprising, I bought a small knife (looking back now, it was a fragile knife, barely enough to sharpen a pencil), put it in my pocket, and flew around here and there to make what is called a 'contact.' 聽說是武裝起義,我買了一把小刀(現在回想起來,那把刀連削鉛筆都不夠用,是非常脆弱的刀),把它放進小口袋裡,四處飛跑,進行所謂的「聯絡」。 お 酒 を 飲んで 、ぐっすり 眠りたい 、しかし 、お 金 が ありません。 |さけ||のんで||ねむり たい|||きむ||あり ませ ん ||||soundly|want to sleep||||| しかも 、P (党 の 事 を 、そういう 隠語 で 呼んで いた と 記憶 して います が 、或いは 、違って いる かも 知れません )の ほう から は 、次々 と 息 を つく ひま も 無い くらい 、用事 の 依頼 が まいります。 |p|とう||こと|||いんご||よんで|||きおく||い ます||あるいは|ちがって|||しれ ませ ん|||||つぎつぎ||いき|||||ない||ようじ||いらい||まいり ます ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||來 |party||||||code|||||||||||||||||||||||||||||request|| What's more, P (I remember that he used to call the party something of a slang term, but I may be wrong) was so busy with business that he didn't even have time to catch his breath. I have a request. 而且,我記得那個「P」(是指黨的事情,以這種隱語來稱呼,也許我記錯了)這邊有接連不斷的要求,連喘口氣的空間都沒有。 自分 の 病弱の からだ で は 、とても 勤まり そう も 無くなりました。 じぶん||びょうじゃくの|||||つとまり|||なくなり ました |||||||能夠工作||| ||sickly|||||could not work|||has disappeared With my weak body, I could hardly work. 以我這個病弱的身體,實在是無法再繼續下去了。 もともと 、非合法の 興味 だけ から 、その グルウプ の 手伝い を して いた のです し 、こんなに 、それ こそ 冗談 から 駒 が 出た ように 、いやに いそがしく なって 来る と 、自分 は 、ひそかに P の ひと たち に 、それ は お 門 かど ちがい でしょう 、あなた たち の 直系 の もの たち に やら せたら どう です か 、と いう ような いまいましい 感 を 抱く の を 禁ずる 事 が 出来 ず 、逃げました。 |ひごうほうの|きょうみ||||||てつだい|||||||||じょうだん||こま||でた|||||くる||じぶん|||p||||||||もん|||||||ちょっけい||||||||||||||かん||いだく|||きんずる|こと||でき||にげ ました |||||||||||||||||||駒||||||||||||||||||||門||||||||||||||||||||不快的感||||||禁止||||| |||||||||||||||||||piece||||||||||||||||||||gate|premises||||||direct line|||||by|if you let|||||||resentful feeling||||||could not refrain|||||ran away Originally, I was just helping out at the group out of an illegal interest, and when I started to get so busy that it seemed like a pawn came out of a joke, I secretly became a member of P. I couldn't help myself from harboring a vexing feeling like, "That's wrong, why don't you let your direct descendants do it?", so I ran away. 本來只是因為對非法的興趣,才幫那個團體的忙,但隨著事務變得如此忙碌,彷彿真的是開玩笑一般,心中不禁暗想對於P的人們說,這可是冤屈啊,不如讓你們的直系成員來處理一下如何,我無法克制這種惱人的感覺,於是便逃跑了。 逃げて 、さすが に 、いい 気持 は せ ず 、死ぬ 事 に しました。 にげて||||きもち||||しぬ|こと||し ました I ran away, and as expected, I didn't feel good and decided to die. 逃跑吧,果然,心情不好,決定要死。

その頃 、自分 に 特別の 好意 を 寄せて いる 女 が 、三 人 いました。 そのころ|じぶん||とくべつの|こうい||よせて||おんな||みっ|じん|い ました ||||special affection||showing affection|||||| At that time, there were three women who had a special crush on him. 那個時候,對我抱有特別好感的女孩子有三個。 ひとり は 、自分 の 下宿 して いる 仙遊 館 の 娘 でした。 ||じぶん||げしゅく|||せんゆう|かん||むすめ| ||||boarding house|||hermitage|||| 其中一個是住在我下宿的仙遊館的女兒。 この 娘 は 、自分 が れいの 運動 の 手伝い で へとへとに なって 帰り 、ごはん も 食べ ず に 寝て しまって から 、必ず 用 箋 ようせ ん と 万年筆 を 持って 自分 の 部屋 に やって 来て、 |むすめ||じぶん|||うんどう||てつだい||||かえり|||たべ|||ねて|||かならず|よう|せん||||まんねんひつ||もって|じぶん||へや|||きて ||||||||||筋疲力盡||||||||||||||用紙|||鋼筆|||||||| ||||||||||exhausted|||||||||||||writing paper|prescription|||Fountain pen|||||||| After she came home exhausted from helping Rei with her exercise and fell asleep without eating, she always came to her room with a writing pad and a fountain pen.

「ごめんなさい。 下 で は 、妹 や 弟 が うるさくて 、ゆっくり 手紙 も 書け ない のです」 した|||いもうと||おとうと||||てがみ||かけ|| |||||||noisy|||||| Downstairs, my younger sister and brother are so noisy that I can't even write a letter slowly."

と 言って 、何やら 自分 の 机 に 向って 一 時間 以上 も 書いて いる のです。 |いって|なにやら|じぶん||つくえ||むかい って|ひと|じかん|いじょう||かいて|| |||||桌子||||||||| Saying that, he sat at his desk and wrote for over an hour. 我說過,似乎正對著自己的桌子寫了一個多小時。

自分 も また 、知らん振り を して 寝て おれば いい のに 、いかにも その 娘 が 何 か 自分 に 言って もらい た げ の 様子 な ので 、れい の 受け身の 奉仕 の 精神 を 発揮 して 、実に 一言 も 口 を きき たく ない 気持 な のだ けれども 、くたくたに 疲れ切って いる から だ に 、ウム と 気合い を かけて 腹這 はらばい に なり 、煙草 を 吸い、 じぶん|||しらんふり|||ねて||||||むすめ||なん||じぶん||いって|||||ようす|||||うけみの|ほうし||せいしん||はっき||じつに|いちげん||くち|||||きもち|||||つかれきって|||||||きあい|||はらばい||||たばこ||すい ||||||||||||||||||||||||||||被動的|奉仕||精神||||||||||||||||筋疲力竭||||||||氣合||||趴著||||| ||||||||||||||||||||||||||||passive|service||spirit||||||||||||||||exhausted|exhausted|||||um||with determination|||lying on one's stomach|lying on stomach|||||smoking I, too, should have just pretended not to notice and slept, but it seemed as if the girl was trying to tell me something, so I displayed my passive spirit of service and didn't even say a word. I didn't want to talk to him, but I was exhausted and exhausted. 自己也可以裝作不知道就睡著,但是,這女孩看起來像是想要我說些什麼,於是不由自主地發揮了那種被動奉獻的精神,實在是不想說一句話,然而,由於疲憊不堪,勉強地「嗯」了一聲,趴在桌子上,抽著煙。

「女 から 来た ラヴ ・レター で 、風呂 を わかして は いった 男 が ある そうです よ」 おんな||きた||れたー||ふろ|||||おとこ|||そう です| ||||||||煮沸||||||| |||love|||||boiled||||||| "I heard that there is a man who boiled a bath with a love letter from a woman." 聽說曾經有個男的收到了來自女人的情書,還為此去準備澡堂呢。

「あら 、いやだ。 「哦,真是的。 あなた でしょう? 是你吧?

「ミルク を わかして 飲んだ 事 は ある んです」 みるく|||のんだ|こと||| 牛奶||||||| ||heated||||| "I have boiled milk and drank it." 「我曾經喝過加熱的牛奶」

「光栄だ わ 、飲んで よ」 こうえいだ||のんで| honored||| 「真榮幸,快喝吧」

早く この ひと 、帰ら ねえ か なあ 、手紙 だ なんて 、見えすいて いる のに。 はやく|||かえら||||てがみ|||みえすいて|| ||||||||||太明顯了|| ||||||||||obviously|| I wonder if this person will come home soon, even though I can see the letter. 這個人怎麼還不回去呢,明明是邀請信,看得出來啊。 へ へ の の も へ じ でも 書いて いる の に 違いない んです。 ||||||||かいて||||ちがいない| locative particle||||||||||||| I'm sure it's written in both hehe and hehe. 雖然我寫著嘿嘿之類的,但這應該沒有錯。

「見せて よ」 みせて| "show me" 「讓我看看」

と 死んで も 見 たく ない 思い で そう 言えば 、あら 、いや よ 、あら 、いや よ 、と 言って 、その うれし がる 事 、ひどく みっともなく 、興 が 覚める ばかりな のです。 |しんで||み|||おもい|||いえば||||||||いって||||こと|||きょう||さめる|| |||||||||||||||||||||||可恥的||||| |||||||||||||||||||||||embarrassingly|interest||lost|| I say that with a feeling that I don't want to see it even if I die. 如果這樣說是出於死也不想見的想法,那麼啊,真讓人不想啊,啊,真讓人不想啊,這樣的說法讓人感到高興,真是相當失態,讓人完全提不起興致。 そこ で 自分 は 、用事 でも 言いつけて やれ 、と 思う んです。 ||じぶん||ようじ||いいつけて|||おもう| ||||||告訴|||| ||||||tell|||| So, I thought, I should ask him to do some business for me. 所以我在想,能不能拜託你去辦點事。

「すまない けど ね 、電車 通り の 薬屋 に 行って 、カルモチン を 買って 来て くれ ない? |||でんしゃ|とおり||くすりや||おこなって|||かって|きて|| |||||||||||買||| ||||||drugstore|||Calmothin||||| "I'm sorry, but could you go to the pharmacy on Densha-dori and buy me Carmotine? 「抱歉,不過你能去電車旁的藥局,幫我買點卡爾莫汀嗎? あんまり 疲れ すぎて 、顔 が ほてって 、かえって 眠れ ない んだ。 |つかれ||かお||||ねむれ|| |||||發熱||睡不著|| |||||flushed|||| I'm too tired, my face is flushed, and I can't sleep because of that. 我太累了,臉發熱,反而睡不著。 すまない ね。 I'm sorry. お 金 は、……」 |きむ| As for the money,...

「いい わ よ 、お 金 なんか」 ||||きむ| No, I don't need the money.

よろこんで 立ちます。 |たち ます |will stand I will gladly stand up. 用 を 言いつける と いう の は 、決して 女 を しょげ させる 事 で は なく 、かえって 女 は 、男 に 用事 を たのま れる と 喜ぶ もの だ と いう 事 も 、自分 は ちゃんと 知っている のでした。 よう||いいつける|||||けっして|おんな|||さ せる|こと|||||おんな||おとこ||ようじ|||||よろこぶ|||||こと||じぶん|||しっている| 用||告訴||||||||沮喪||||||||||||||||||||||||||| ||to ask||||||||discouraged||||||||||||||||||||||||||| To say 'please' is by no means to make a woman feel down; rather, a woman is actually pleased when a man asks her for a favor, and I know this very well. 用的要求並不會讓女性感到沮喪,相反地,女性會因為被男性要求做事而感到高興,我自己也清楚這一點。

もう ひと り は 、女子 高等 師範 の 文科 生 の 所 謂 「同志 」でした。 ||||じょし|こうとう|しはん||もんか|せい||しょ|い|どうし| ||||||instructor||literature|||||| The other person was what is called a 'comrade' from the women's high normal school. 另一位是女子高等師範的文科生,所謂的「同志」。 この ひと と は 、れいの 運動 の 用事 で 、いやで も 毎日 、顔 を 合せ なければ なら なかった のです。 |||||うんどう||ようじ||||まいにち|かお||あわせ|||| ||||||||||也|||||||| I had to see this person every day because of my athletic errands. 與這位人士因為運動的事務,哪怕不情願,也必須每天見面。 打ち合せ が すんで から も 、その 女 は 、いつまでも 自分 に ついて 歩いて 、そうして 、やたらに 自分 に 、もの を 買って くれる のでした。 うちあわせ||||||おんな|||じぶん|||あるいて|||じぶん||||かって|| 會議||||||||||||走||隨意地||||||| meeting||||||||||||||randomly||||||| Even after the meeting was over, the woman continued to follow me around and buy things for me. 會議結束後,那個女人還是一直跟在我身邊,並且不斷地為我買東西。