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LibriVOX 04 - Japanese, (1) Natto Gassen - 納豆合戦 (Kan Kikuchi - 菊池寛)

(1) Natto Gassen - 納豆合戦 (Kan Kikuchi - 菊池寛)

一 皆さん 、 あなた 方 は 、 納豆 売 の 声 を 、 聞いた こと が あります か 。 朝 寝坊 を し ないで 、 早く から 眼 を さまして おら れる と 、 朝 の 六 時 か 七 時 頃 、 冬 ならば 、 まだ お 日 様 が 出て いない 薄暗い 時分 から 、 「 なっと 、 なっとう ! 」 と 、 あわれっぽい 節 を 付けて 、 売り に 来る 声 を 聞く でしょう 。 もっとも 、 納豆 売 は 、 田舎 に は 余り いない ようです から 、 田舎 に 住んで いる 方 は 、 まだ お 聞き に なった こと が ない かも 知れません が 、 東京 の 町 々 で は 毎朝 納豆 売 が 、 一 人 や 二 人 は 、 きっと やって 来ます 。 私 は 、 どちら か と いえば 、 寝坊 です が 、 それ でも 、 時々 朝 まだ 暗い うち に 、 床 の 中 で 、 眼 を さまして いる と 、 「 なっと 、 なっとう ! 」 と 、 いう あわれっぽい 女 の 納豆 売 の 声 を 、 よく 聞きます 。 私 は 、「 なっと 、 なっとう ! 」 と いう 声 を 聞く 度 に 、 私 が まだ 小学校 へ 行って いた 頃 に 、 納豆 売 の お 婆さん に 、 いたずら を した こと を 思い出す のです 。 それ を 、 思い出す 度 に 、 私 は 恥 しい と 思います 。 悪い こと を した もん だ と 後悔 します 。 私 は 、 今 その お 話 を しよう と 思います 。 私 が 、 まだ 十一二 の 時 、 私 の 家 は 小石川 の 武 島町 に ありました 。 そして 小石川 の 伝 通院 の そば に ある 、 礫川 学校 へ 通って いました 。 私 が 、 近所 の お 友達 四五 人 と 、 礫川 学校 へ 行く 道 で 、 毎朝 納豆 売 の 盲目の お 婆さん に 逢いました 。 もう 、 六十 を 越して いる お 婆さん でした 。 貧乏な お 婆さん と 見え 、 冬 も ボロボロ の 袷 を 重ねて 、 足袋 も はいて いない ような 、 可哀そうな 姿 を して おりました 。 そして 、 納豆 の 苞 を 、 二三十 持ち ながら 、 あわれな 声 で 、 「 なっと 、 なっとう ! 」 と 、 呼び ながら 売り 歩いて いる のです 。 杖 を 突いて 、 ヨボヨボ 歩いて いる 可哀そうな 姿 を 見る と 、 大抵 の 家 で は 買って やる ようで ありました 。 私 達 は 初め の うち は 、 この お 婆さん と 擦れ違って も 、 誰 も お 婆さん の こと など は かまいません でした が 、 ある 日 の こと です 。 私 達 の 仲間 で 、 悪戯 の 大将 と 言わ れる 豆腐 屋 の 吉 公 と いう 子 が 、 向 う から ヨボヨボ と 歩いて 来る 、 納豆 売り の お 婆さん の 姿 を 見る と 、 私 達 の 方 を 向いて 、 「 おい 、 俺 が お 婆さん に 、 いたずら を する から 、 見 ておい で 。」 と 言う のです 。 私 達 は よせば よい のに と 思いました が 、 何しろ 、 十一二 と いう 悪戯 盛り です から 、 一体 吉 公 が どんな 悪戯 を する の か 見て いたい と いう 心 持 も あって 、 だまって 吉 公 の 後 から ついて行きました 。 すると 吉 公 は お 婆さん の 傍 へ つかつか と 進んで 行って 、 「 おい 、 お 婆さん 、 納豆 を おくれ 。」 と 言いました 。 すると 、 お 婆さん は 口 を もぐもぐ さ せ ながら 、 「 一 銭 の 苞 です か 、 二 銭 の 苞 です か 。」 と 言いました 。 「 一 銭 の だい ! 」 と 吉 公 は 叱る ように 言いました 。 お 婆さん が おずおず と 一 銭 の 藁 苞 を 出し かける と 、 吉 公 は 、 「 それ は 嫌だ 。 そっち の 方 を おくれ 。」 と 、 言い ながら 、 いきなり お 婆さん の 手 の 中 に ある 二 銭 の 苞 を 、 引った くって しまいました 。 お 婆さん は 、 可哀そうに 、 眼 が 見え ない もの です から 、 一 銭 の 苞 の 代り に 、 二 銭 の 苞 を 取ら れた こと に 、 気 が 付きません 。 吉 公 から 、 一 銭 受け取る と 、 「 はい 、 有難う ございます 」 と 、 言い ながら 、 又 ヨボヨボ 向 う へ 行って しまいました 。 吉 公 は 、 お 婆さん から 取った 二 銭 の 苞 を 、 私 達 に 見せびらかし ながら 、 「 どう だい 、 一 銭 で 二 銭 の 苞 を 、 まき上げて やった よ 。」 と 、 自分 の 悪戯 を 自慢 する ように 言いました 。 一 銭 の お 金 で 、 二 銭 の 物 を 取る の は 、 悪戯 と いう より も 、 もっと いけない 悪い こと です が 、 その 頃 私 達 は 、 まだ 何の 考 も ない 子供 でした から 、 そんなに 悪い こと だ と も 思わず 、 吉 公 が うまく 二 銭 の 苞 を 、 取った こと を 、 何 か エライ こと を でも した ように 、 感心 しました 。 「 うまく やった ね 。 お 婆さん 何も 知ら ないで 、 ハイ 有難う ございます 、 と 言った ねえ 、 ハハハハ 。」 と 、 私 が 言います と 、 みんな も 声 を 揃えて 笑いました 。 が 、 吉 公 は 、 お 婆さん から 、 うまく 二 銭 の 納豆 を まき上げた と いって も 、 何も 学校 へ 持って行って 、 喰 べ る と いう の では ありません 。 学校 へ 行く と 、 吉 公 は 私 達 に 、 納豆 を 一 掴み ずつ 渡し ながら 、 「 さあ 、 これ から 、 戦 ごっこ を する のだ 。 この 納豆 が 鉄砲 丸 だ よ 。 これ の ぶっつけこ を する んだ 。」 と 、 言いました 。 私 達 は 二 組 に 別れて 、 雪合戦 を する ように 納豆 合戦 を しました 。 キャッキャッ 言い ながら 、 納豆 を 敵 に 投げました 。 そして 面白い 戦 ごっこ を しました 。 あくる 朝 、 又 私 達 は 、 学校 へ 行く 道 で 、 納豆 売 の お 婆さん に 逢いました 。 すると 、 吉 公 は 、 「 おい 、 誰 か 一 銭 持って いない か 。」 と 言いました 。 私 は 、 昨日 の 納豆 合戦 の 面白かった こと を 、 思い出しました 。 私 は 、 早速 持って いた 一 銭 を 、 吉 公 に 渡しました 。 吉 公 は 、 昨日 と 同じ ように して 、 一 銭 で 二 銭 の 納豆 を 騙して 取りました 。 その 日 も 、 学校 で 面白い 納豆 合戦 を やりました 。 二 その 翌日 です 。 私 達 は 、 又 学校 へ 行く 道 で 、 納豆 売 の お 婆さん に 逢いました 。 その 日 は 、 吉 公 ばかり で ありません 。 私 も つい 面白く なって 、 一 銭 で 二 銭 の 苞 を 騙して 取りました 。 すると 、 外 の 友達 も 、 「 俺 に も 、 一 銭 の を おくれ 。」 と 、 言い ながら 、 みんな 二 銭 の 苞 を 、 騙して 取りました 。 お 婆さん が 、 「 はい 、 有難う ございます 。」 と 、 言って いる うち に 、 お 婆さん の 手 の 中 の 二 銭 の 苞 は 、 見る 間 に 二 つ 三 つ に なって しまいました 。 その あくる 日 も 、 その あくる 日 も 、 私 達 は この お 婆さん から 、 二 銭 の 苞 を 騙して 取りました 。 人 の 良い お 婆さん も 、 家 へ 帰って 売上げ 高 を 、 勘定 して 見る と 、 お 金 が 足りない ので 、 私 達 に 騙さ れる のに 、 気 が ついた のでしょう 。 そっと 、 交番 の お 巡査 さん に 、 言いつけた と 見えます 。 お 婆さん が 、 お 巡査 さん に 言った と は 、 夢にも 知ら ない 私 達 は 、 ある 朝 、 お 婆さん に 出くわす と 、 いつも の 吉 公 が 、 「 さあ 、 今日 も 鉄砲 丸 を 買わ なきゃ なら ない ぞ 。」 と 、 言い ながら 、 お 婆さん の 傍 へ 寄る と 、 「 おい 、 お 婆さん 、 一 銭 の を 貰う ぜ 。」 と 、 言い ながら 、 何時も の ように 、 二 銭 の 苞 を 取ろう と しました 。 すると 、 丁度 その 時 です 。 急に 、 グッグッ と いう 靴 の 音 が して 、 お 巡査 さん が 、 急いで 馳 け つけて 来た か と 思う と 、 二 銭 の 苞 を 握って いる 吉 公 の 右 の 手首 を 、 グッと 握りしめました 。 「 おい 、 お前 は 、 いくら の 納豆 を 買った のだ 。」 と お 巡査 さん が 、 怖し い 声 で 聞きました 。 いくら 餓鬼 大将 の 吉 公 だ と いって 、 お 巡査 さん に 逢っちゃ 堪りません 。 蒼 く なって 、 ブルブル 顫 え ながら 、 「 一 銭 のです 、 一 銭 のです 。」 と 、 泣き声 で 言いました 。 すると 、 お 巡査 さん は 、 「 太い 奴 だ 。 これ は 二 銭 の 苞 じゃ ない か 。 この 間中 から 、 この お 婆さん が 、 納豆 を 盗ま れる 盗ま れる と 、 こぼして いた が 、 お前達 が 、 こんな 悪戯 を やって いた の か 。 さあ 、 交番 へ 来い 。」 と 、 言い ながら 、 吉 公 を 引きずって 行こう と しました 。 吉 公 は 、 おいおい 泣き出しました 。 私 達 も 、 吉 公 と 同じ 悪い こと を して いる のです から 、 みんな 蒼 く なって 、 ブルブル 顫 えて いました 。 すると 、 吉 公 は お 巡査 さん に 引きずら れ ながら 、「 私 一 人 じゃ ありません 。 みんな も した のです 。 私 一 人 じゃ ありません 。」 と 言って しまいました 。 すると お 巡査 さん は 、 恐い 眼 で 、 私 達 を 睨み ながら 、 「 じゃ 、 みんな の 名前 を 言って ご覧 。」 と 言いました 。 そう 言わ れる と 、 私 達 は もう 堪ら なく なって 、 「 わ あ ッ 。」 と 、 一ぺん に 泣き出しました 。 すると 、 傍 に じっと 立って いた 納豆 売 の お 婆さん です 。 私 達 が 、 一緒に 泣き出す 声 を 聞く と 、 急に 盲目の 眼 を 、 ショボショボ さ せた か と 思う と 、 お 巡査 さん の 方 へ 、 手さぐり に 寄り ながら 、 「 もう 、 旦那 さん 、 勘 忍 して 下さい 。 ホン の この 坊ちゃん 達 の いたずらだ 。 悪気 でした のじゃ ありません 。 いい加減 に 、 勘 忍 して あげて お 呉 ん なさい 。」 と 、 まだ 眼 を 光らして いる お 巡査 さん を なだめました 。 見る と 、 お 婆さん は 、 眼 に 一杯 涙 を 湛えて いる のです 。 お 巡査 さん は 、 お 婆さん の 言葉 を 聞く と 、 やっと 吉 公 の 手 を 離して 、 「 お 婆さん が 、 そう 言う の なら 、 勘弁 して やろう 。 もう 一 度 、 こんな こと を する と 、 承知 を し ない ぞ 。」 と 、 言い ながら 、 向 う へ 行って しまいました 。 すると 、 お 婆さん は 、 やっと 安心 した ように 、 「 さあ 、 坊ちゃん 方 、 はやく 学校 へ いらっしゃい 。 今度 から 、 もう この お 婆さん に 、 悪戯 を なさる の では ありません よ 。」 と 言いました 。 私 は 、 お 婆さん の 眼 の 見え ない 顔 を 見て いる と 穴 の 中 へ でも 、 這 入りたい ような 恥 し さ と 、 悪い こと を した と いう 後悔 と で 、 心 の 中 が 一杯に なりました 。 この こと が あって から 、 私 達 が ぷっつり と 、 この 悪戯 を 止めた の は 、 申す 迄 も ありません 。 その 上 、 餓鬼 大将 の 吉 公 さえ 、 前 より は よほど おとなしく なった ように 見えました 。 私 は 、 納豆 売 の お 婆さん に 、 恩返し の ため 何 か して やら ねば なら ない と 思いました 。 それ で その 日 学校 から 、 家 へ 帰る と 、 「 家 で は 、 納豆 を 少しも 買わ ない の 。」 と 、 お母さん に 、 ききました 。 「 お前 は 、 納豆 を 喰 べたい の かい 。」 と 、 お母さん が きき返しました 。 「 喰 べ たく は ない んだ けれど 、 可哀そうな 納豆 売 の お 婆さん が いる から 。」 と 言いました 。 「 お前 が 、 そういう 心 掛 で 買う の なら 、 時々 は 買って も いい 。 お 父 様 は 、 お 好きな 方 な のだ から 。」 と 、 お母さん は 言いました 。 それ から 、 毎朝 、 お 婆さん の 声 が 聞える と 、 お 金 を 貰って 納豆 を 買いました 。 そして 、 その お 婆さん が 、 来 なく なる 時 まで 、 私 は 大抵 毎朝 、 お 婆さん から 納豆 を 買いました 。

(1) Natto Gassen - 納豆合戦 (Kan Kikuchi - 菊池寛) natto|gassen|なっとう かっせん|kan|kikuchi|きくち ひろし (1) Natto Gassen - Natto Gassen (Kan Kikuchi - Hiroshi Kikuchi) (1) Natto Gassen - Natto Kassen (Kan Kikuchi - Hiroshi Kikuchi)

一     皆さん 、 あなた 方 は 、 納豆 売 の 声 を 、 聞いた こと が あります か 。 ひと|みなさん||かた||なっとう|う||こえ||きいた|||あり ます| Have you ever heard of natto sellers? 朝 寝坊 を し ないで 、 早く から 眼 を さまして おら れる と 、 朝 の 六 時 か 七 時 頃 、 冬 ならば 、 まだ お 日 様 が 出て いない 薄暗い 時分 から 、 「 なっと 、 なっとう ! あさ|ねぼう||||はやく||がん||||||あさ||むっ|じ||なな|じ|ころ|ふゆ||||ひ|さま||でて||うすぐらい|じぶん||な っと| If you do not sleep in the morning, and you have been awake early, you can say, "At 6 or 7 o'clock in the morning, in winter, when the sun is still out and the dim time hasn't come out yet, it's time to become! 如果您早晨没有睡过头,而在冬天早晨的大约6或7点,则从冬天还没有亮起的昏暗时刻起床,“纳豆,纳豆! 」 と 、 あわれっぽい 節 を 付けて 、 売り に 来る 声 を 聞く でしょう 。 |あわれ っぽい|せつ||つけて|うり||くる|こえ||きく| 您会听到带有可怜的条款的出售声音。 もっとも 、 納豆 売 は 、 田舎 に は 余り いない ようです から 、 田舎 に 住んで いる 方 は 、 まだ お 聞き に なった こと が ない かも 知れません が 、 東京 の 町 々 で は 毎朝 納豆 売 が 、 一 人 や 二 人 は 、 きっと やって 来ます 。 |なっとう|う||いなか|||あまり||||いなか||すんで||かた||||きき|||||||しれ ませ ん||とうきょう||まち||||まいあさ|なっとう|う||ひと|じん||ふた|じん||||き ます However, it seems that there are not many natto sales in the countryside, so people living in the countryside may not have heard of it yet, but in the towns of Tokyo, there is only one natto sale every morning. People and two will surely come. 但是,乡村中的纳豆销售者似乎并不多,所以如果您住在乡村中,您可能还没有听说过,但是在东京的城镇中,纳豆销售者每天早晨都会被卖出,一到两个人一定会来。 私 は 、 どちら か と いえば 、 寝坊 です が 、 それ でも 、 時々 朝 まだ 暗い うち に 、 床 の 中 で 、 眼 を さまして いる と 、 「 なっと 、 なっとう ! わたくし||||||ねぼう|||||ときどき|あさ||くらい|||とこ||なか||がん|||||な っと| 我倒是睡着了,但是有时候当我在地板上醒着时,有时是早晨,在黑暗中,“纳豆,纳豆! 」 と 、 いう あわれっぽい 女 の 納豆 売 の 声 を 、 よく 聞きます 。 ||あわれ っぽい|おんな||なっとう|う||こえ|||きき ます 私 は 、「 なっと 、 なっとう ! わたくし||な っと| 」 と いう 声 を 聞く 度 に 、 私 が まだ 小学校 へ 行って いた 頃 に 、 納豆 売 の お 婆さん に 、 いたずら を した こと を 思い出す のです 。 ||こえ||きく|たび||わたくし|||しょうがっこう||おこなって||ころ||なっとう|う|||ばあさん|||||||おもいだす| 每当我听到一个声音在说时,我都会记得对我祖母那年卖纳豆的祖母玩恶作剧。 それ を 、 思い出す 度 に 、 私 は 恥 しい と 思います 。 ||おもいだす|たび||わたくし||はじ|||おもい ます 每当我记住它时,我都会感到尴尬。 悪い こと を した もん だ と 後悔 します 。 わるい|||||||こうかい|し ます 很遗憾我做错了什么。 私 は 、 今 その お 話 を しよう と 思います 。 わたくし||いま|||はなし||||おもい ます 我现在要告诉你这个故事。 私 が 、 まだ 十一二 の 時 、 私 の 家 は 小石川 の 武 島町 に ありました 。 わたくし|||じゅういちに||じ|わたくし||いえ||こいしかわ||ぶ|しままち||あり ました そして 小石川 の 伝 通院 の そば に ある 、 礫川 学校 へ 通って いました 。 |こいしかわ||つたい|つういん|||||れきかわ|がっこう||かよって|い ました Then, I attended the Isekigawa School, which is located near Kodengawa's traditional hospital. 然后我去了小石川Denzuin附近的Rekisen学校。 私 が 、 近所 の お 友達 四五 人 と 、 礫川 学校 へ 行く 道 で 、 毎朝 納豆 売 の 盲目の お 婆さん に 逢いました 。 わたくし||きんじょ|||ともだち|しご|じん||れきかわ|がっこう||いく|どう||まいあさ|なっとう|う||もうもくの||ばあさん||あい ました もう 、 六十 を 越して いる お 婆さん でした 。 |ろくじゅう||こして|||ばあさん| 貧乏な お 婆さん と 見え 、 冬 も ボロボロ の 袷 を 重ねて 、 足袋 も はいて いない ような 、 可哀そうな 姿 を して おりました 。 びんぼうな||ばあさん||みえ|ふゆ||ぼろぼろ||あわせ||かさねて|たび|||||かわいそうな|すがた|||おり ました 他看起来像个可怜的祖母,即使在冬天,他的外表也可怜,堆放着破烂的裙子,没有袜子。 そして 、 納豆 の 苞 を 、 二三十 持ち ながら 、 あわれな 声 で 、 「 なっと 、 なっとう ! |なっとう||ほう||にさんじゅう|もち|||こえ||な っと| 」 と 、 呼び ながら 売り 歩いて いる のです 。 |よび||うり|あるいて|| 杖 を 突いて 、 ヨボヨボ 歩いて いる 可哀そうな 姿 を 見る と 、 大抵 の 家 で は 買って やる ようで ありました 。 つえ||ついて||あるいて||かわいそうな|すがた||みる||たいてい||いえ|||かって|||あり ました Most of the homes seemed to buy it, as I saw the poor appearance of walking with a cane in a squeaky walk. 当我看到with着拐杖走路的样子很差时,似乎大多数家庭都会买它。 私 達 は 初め の うち は 、 この お 婆さん と 擦れ違って も 、 誰 も お 婆さん の こと など は かまいません でした が 、 ある 日 の こと です 。 わたくし|さとる||はじめ||||||ばあさん||すれちがって||だれ|||ばあさん|||||かまい ませ ん||||ひ||| In the beginning, we didn't care about the old lady, even if we ran into this old lady, but one day. 一开始,我们本可以和这个祖母摩擦,没有人可以成为祖母,只有一天。 私 達 の 仲間 で 、 悪戯 の 大将 と 言わ れる 豆腐 屋 の 吉 公 と いう 子 が 、 向 う から ヨボヨボ と 歩いて 来る 、 納豆 売り の お 婆さん の 姿 を 見る と 、 私 達 の 方 を 向いて 、 「 おい 、 俺 が お 婆さん に 、 いたずら を する から 、 見 ておい で 。」 わたくし|さとる||なかま||いたずら||たいしょう||いわ||とうふ|や||きち|おおやけ|||こ||むかい|||||あるいて|くる|なっとう|うり|||ばあさん||すがた||みる||わたくし|さとる||かた||むいて||おれ|||ばあさん||||||み|| 一家叫豆腐店的吉子子(Yoshiko)据说是个调皮的将军,从另一边和Yoboyobo一起走,当他看到一个卖纳豆的老妇时,他转向我们。在我祖母那里,快来看我。” と 言う のです 。 |いう| 私 達 は よせば よい のに と 思いました が 、 何しろ 、 十一二 と いう 悪戯 盛り です から 、 一体 吉 公 が どんな 悪戯 を する の か 見て いたい と いう 心 持 も あって 、 だまって 吉 公 の 後 から ついて行きました 。 わたくし|さとる||||||おもい ました||なにしろ|じゅういちに|||いたずら|さかり|||いったい|きち|おおやけ|||いたずら|||||みて|い たい|||こころ|じ||||きち|おおやけ||あと||ついていき ました We thought we should do it, but after all, because it is a mischief of eleven and twelve, there is a heart to want to see what kind of mischief Yoshikichi is going to play. I went after the public. 我以为应该这样做,但是毕竟有很多恶作剧叫十二,所以我有一种感觉,我想知道吉祥子会做什么样的恶作剧,所以我很好。上市。 すると 吉 公 は お 婆さん の 傍 へ つかつか と 進んで 行って 、 「 おい 、 お 婆さん 、 納豆 を おくれ 。」 |きち|おおやけ|||ばあさん||そば||||すすんで|おこなって|||ばあさん|なっとう|| 然后义子走到祖母身边说:“嘿,祖母,请给我纳豆。” と 言いました 。 |いい ました すると 、 お 婆さん は 口 を もぐもぐ さ せ ながら 、 「 一 銭 の 苞 です か 、 二 銭 の 苞 です か 。」 ||ばあさん||くち||||||ひと|せん||ほう|||ふた|せん||ほう|| 然后,祖母低声说:“是一个硬币的片还是两个硬币的片?” と 言いました 。 |いい ました 「 一 銭 の だい ! ひと|せん|| "One change! 」 と 吉 公 は 叱る ように 言いました 。 |きち|おおやけ||しかる||いい ました お 婆さん が おずおず と 一 銭 の 藁 苞 を 出し かける と 、 吉 公 は 、 「 それ は 嫌だ 。 |ばあさん||||ひと|せん||わら|ほう||だし|||きち|おおやけ||||いやだ 当祖母发出少量of片时,吉子说:“我不喜欢那样。 そっち の 方 を おくれ 。」 ||かた|| 请给我一个。 ” と 、 言い ながら 、 いきなり お 婆さん の 手 の 中 に ある 二 銭 の 苞 を 、 引った くって しまいました 。 |いい||||ばあさん||て||なか|||ふた|せん||ほう||ひ った||しまい ました 我一边说着,一边突然想把两个片拉到祖母的手中。 お 婆さん は 、 可哀そうに 、 眼 が 見え ない もの です から 、 一 銭 の 苞 の 代り に 、 二 銭 の 苞 を 取ら れた こと に 、 気 が 付きません 。 |ばあさん||かわいそうに|がん||みえ|||||ひと|せん||ほう||かわり||ふた|せん||ほう||とら||||き||つき ませ ん 不幸的是,老太太是盲人,所以她没有意识到自己已经two了两而不是一one。 吉 公 から 、 一 銭 受け取る と 、 「 はい 、 有難う ございます 」 と 、 言い ながら 、 又 ヨボヨボ 向 う へ 行って しまいました 。 きち|おおやけ||ひと|せん|うけとる|||ありがたう|||いい||また||むかい|||おこなって|しまい ました 当我从吉子子收到一分钱时,他说:“是的,谢谢。”但是他又回到了另一边。 吉 公 は 、 お 婆さん から 取った 二 銭 の 苞 を 、 私 達 に 見せびらかし ながら 、 「 どう だい 、 一 銭 で 二 銭 の 苞 を 、 まき上げて やった よ 。」 きち|おおやけ|||ばあさん||とった|ふた|せん||ほう||わたくし|さとる||みせびらかし||||ひと|せん||ふた|せん||ほう||まきあげて|| と 、 自分 の 悪戯 を 自慢 する ように 言いました 。 |じぶん||いたずら||じまん|||いい ました 一 銭 の お 金 で 、 二 銭 の 物 を 取る の は 、 悪戯 と いう より も 、 もっと いけない 悪い こと です が 、 その 頃 私 達 は 、 まだ 何の 考 も ない 子供 でした から 、 そんなに 悪い こと だ と も 思わず 、 吉 公 が うまく 二 銭 の 苞 を 、 取った こと を 、 何 か エライ こと を でも した ように 、 感心 しました 。 ひと|せん|||きむ||ふた|せん||ぶつ||とる|||いたずら|||||||わるい|||||ころ|わたくし|さとる|||なんの|こう|||こども||||わるい|||||おもわず|きち|おおやけ|||ふた|せん||ほう||とった|||なん||||||||かんしん|し ました 「 うまく やった ね 。 お 婆さん 何も 知ら ないで 、 ハイ 有難う ございます 、 と 言った ねえ 、 ハハハハ 。」 |ばあさん|なにも|しら||はい|ありがたう|||いった|| と 、 私 が 言います と 、 みんな も 声 を 揃えて 笑いました 。 |わたくし||いい ます||||こえ||そろえて|わらい ました I said, everyone laughed with all their voices. が 、 吉 公 は 、 お 婆さん から 、 うまく 二 銭 の 納豆 を まき上げた と いって も 、 何も 学校 へ 持って行って 、 喰 べ る と いう の では ありません 。 |きち|おおやけ|||ばあさん|||ふた|せん||なっとう||まきあげた||||なにも|がっこう||もっていって|しょく|||||||あり ませ ん However, Yoshiko does not mean that grandmother successfully throws natto for two coins, but takes anything to school and eats it. 学校 へ 行く と 、 吉 公 は 私 達 に 、 納豆 を 一 掴み ずつ 渡し ながら 、 「 さあ 、 これ から 、 戦 ごっこ を する のだ 。 がっこう||いく||きち|おおやけ||わたくし|さとる||なっとう||ひと|つかみ||わたし|||||いくさ|||| When he went to school, Yoshiko handed us each one of the natto, saying, "Now, let's play battle." この 納豆 が 鉄砲 丸 だ よ 。 |なっとう||てっぽう|まる|| これ の ぶっつけこ を する んだ 。」 ||ぶ っ つけこ||| と 、 言いました 。 |いい ました 私 達 は 二 組 に 別れて 、 雪合戦 を する ように 納豆 合戦 を しました 。 わたくし|さとる||ふた|くみ||わかれて|ゆきがっせん||||なっとう|かっせん||し ました キャッキャッ 言い ながら 、 納豆 を 敵 に 投げました 。 |いい||なっとう||てき||なげ ました そして 面白い 戦 ごっこ を しました 。 |おもしろい|いくさ|||し ました あくる 朝 、 又 私 達 は 、 学校 へ 行く 道 で 、 納豆 売 の お 婆さん に 逢いました 。 |あさ|また|わたくし|さとる||がっこう||いく|どう||なっとう|う|||ばあさん||あい ました The next morning, on the way to school, we met an old lady who sold natto. すると 、 吉 公 は 、 「 おい 、 誰 か 一 銭 持って いない か 。」 |きち|おおやけ|||だれ||ひと|せん|もって|| と 言いました 。 |いい ました 私 は 、 昨日 の 納豆 合戦 の 面白かった こと を 、 思い出しました 。 わたくし||きのう||なっとう|かっせん||おもしろかった|||おもいだし ました 私 は 、 早速 持って いた 一 銭 を 、 吉 公 に 渡しました 。 わたくし||さっそく|もって||ひと|せん||きち|おおやけ||わたし ました 吉 公 は 、 昨日 と 同じ ように して 、 一 銭 で 二 銭 の 納豆 を 騙して 取りました 。 きち|おおやけ||きのう||おなじ|||ひと|せん||ふた|せん||なっとう||だまして|とり ました その 日 も 、 学校 で 面白い 納豆 合戦 を やりました 。 |ひ||がっこう||おもしろい|なっとう|かっせん||やり ました 二     その 翌日 です 。 ふた||よくじつ| 私 達 は 、 又 学校 へ 行く 道 で 、 納豆 売 の お 婆さん に 逢いました 。 わたくし|さとる||また|がっこう||いく|どう||なっとう|う|||ばあさん||あい ました その 日 は 、 吉 公 ばかり で ありません 。 |ひ||きち|おおやけ|||あり ませ ん That day is not all Yoshiyoshi. 私 も つい 面白く なって 、 一 銭 で 二 銭 の 苞 を 騙して 取りました 。 わたくし|||おもしろく||ひと|せん||ふた|せん||ほう||だまして|とり ました すると 、 外 の 友達 も 、 「 俺 に も 、 一 銭 の を おくれ 。」 |がい||ともだち||おれ|||ひと|せん||| と 、 言い ながら 、 みんな 二 銭 の 苞 を 、 騙して 取りました 。 |いい|||ふた|せん||ほう||だまして|とり ました お 婆さん が 、 「 はい 、 有難う ございます 。」 |ばあさん|||ありがたう| と 、 言って いる うち に 、 お 婆さん の 手 の 中 の 二 銭 の 苞 は 、 見る 間 に 二 つ 三 つ に なって しまいました 。 |いって|||||ばあさん||て||なか||ふた|せん||ほう||みる|あいだ||ふた||みっ||||しまい ました その あくる 日 も 、 その あくる 日 も 、 私 達 は この お 婆さん から 、 二 銭 の 苞 を 騙して 取りました 。 ||ひ||||ひ||わたくし|さとる||||ばあさん||ふた|せん||ほう||だまして|とり ました 人 の 良い お 婆さん も 、 家 へ 帰って 売上げ 高 を 、 勘定 して 見る と 、 お 金 が 足りない ので 、 私 達 に 騙さ れる のに 、 気 が ついた のでしょう 。 じん||よい||ばあさん||いえ||かえって|うりあげ|たか||かんじょう||みる|||きむ||たりない||わたくし|さとる||だまさ|||き||| Even when a good old woman went home and counted the sales, she was scared of the money, so it would have made her worry. そっと 、 交番 の お 巡査 さん に 、 言いつけた と 見えます 。 |こうばん|||じゅんさ|||いいつけた||みえ ます お 婆さん が 、 お 巡査 さん に 言った と は 、 夢にも 知ら ない 私 達 は 、 ある 朝 、 お 婆さん に 出くわす と 、 いつも の 吉 公 が 、 「 さあ 、 今日 も 鉄砲 丸 を 買わ なきゃ なら ない ぞ 。」 |ばあさん|||じゅんさ|||いった|||ゆめにも|しら||わたくし|さとる|||あさ||ばあさん||でくわす||||きち|おおやけ|||きょう||てっぽう|まる||かわ|||| Grandmother told the policeman, we didn't even know in a dream, one morning, when we met him, Yoshikichi always said, "Well, today I must buy a gun-maru, too." ." と 、 言い ながら 、 お 婆さん の 傍 へ 寄る と 、 「 おい 、 お 婆さん 、 一 銭 の を 貰う ぜ 。」 |いい|||ばあさん||そば||よる||||ばあさん|ひと|せん|||もらう| と 、 言い ながら 、 何時も の ように 、 二 銭 の 苞 を 取ろう と しました 。 |いい||いつも|||ふた|せん||ほう||とろう||し ました すると 、 丁度 その 時 です 。 |ちょうど||じ| 急に 、 グッグッ と いう 靴 の 音 が して 、 お 巡査 さん が 、 急いで 馳 け つけて 来た か と 思う と 、 二 銭 の 苞 を 握って いる 吉 公 の 右 の 手首 を 、 グッと 握りしめました 。 きゅうに||||くつ||おと||||じゅんさ|||いそいで|ち|||きた|||おもう||ふた|せん||ほう||にぎって||きち|おおやけ||みぎ||てくび||ぐっと|にぎりしめ ました 「 おい 、 お前 は 、 いくら の 納豆 を 買った のだ 。」 |おまえ||||なっとう||かった| と お 巡査 さん が 、 怖し い 声 で 聞きました 。 ||じゅんさ|||こわし||こえ||きき ました いくら 餓鬼 大将 の 吉 公 だ と いって 、 お 巡査 さん に 逢っちゃ 堪りません 。 |がき|たいしょう||きち|おおやけ|||||じゅんさ|||あっちゃ|たまり ませ ん 蒼 く なって 、 ブルブル 顫 え ながら 、 「 一 銭 のです 、 一 銭 のです 。」 あお|||ぶるぶる|せん|||ひと|せん||ひと|せん| と 、 泣き声 で 言いました 。 |なきごえ||いい ました すると 、 お 巡査 さん は 、 「 太い 奴 だ 。 ||じゅんさ|||ふとい|やつ| これ は 二 銭 の 苞 じゃ ない か 。 ||ふた|せん||ほう||| この 間中 から 、 この お 婆さん が 、 納豆 を 盗ま れる 盗ま れる と 、 こぼして いた が 、 お前達 が 、 こんな 悪戯 を やって いた の か 。 |まなか||||ばあさん||なっとう||ぬすま||ぬすま||||||おまえたち|||いたずら||||| さあ 、 交番 へ 来い 。」 |こうばん||こい と 、 言い ながら 、 吉 公 を 引きずって 行こう と しました 。 |いい||きち|おおやけ||ひきずって|いこう||し ました While I was saying that, I tried to drag Yoshikomi. 吉 公 は 、 おいおい 泣き出しました 。 きち|おおやけ|||なきだし ました 私 達 も 、 吉 公 と 同じ 悪い こと を して いる のです から 、 みんな 蒼 く なって 、 ブルブル 顫 えて いました 。 わたくし|さとる||きち|おおやけ||おなじ|わるい||||||||あお|||ぶるぶる|せん||い ました すると 、 吉 公 は お 巡査 さん に 引きずら れ ながら 、「 私 一 人 じゃ ありません 。 |きち|おおやけ|||じゅんさ|||ひきずら|||わたくし|ひと|じん||あり ませ ん みんな も した のです 。 私 一 人 じゃ ありません 。」 わたくし|ひと|じん||あり ませ ん と 言って しまいました 。 |いって|しまい ました すると お 巡査 さん は 、 恐い 眼 で 、 私 達 を 睨み ながら 、 「 じゃ 、 みんな の 名前 を 言って ご覧 。」 ||じゅんさ|||こわい|がん||わたくし|さとる||にらみ|||||なまえ||いって|ごらん と 言いました 。 |いい ました そう 言わ れる と 、 私 達 は もう 堪ら なく なって 、 「 わ あ ッ 。」 |いわ|||わたくし|さとる|||たまら||||| と 、 一ぺん に 泣き出しました 。 |いっぺん||なきだし ました すると 、 傍 に じっと 立って いた 納豆 売 の お 婆さん です 。 |そば|||たって||なっとう|う|||ばあさん| 私 達 が 、 一緒に 泣き出す 声 を 聞く と 、 急に 盲目の 眼 を 、 ショボショボ さ せた か と 思う と 、 お 巡査 さん の 方 へ 、 手さぐり に 寄り ながら 、 「 もう 、 旦那 さん 、 勘 忍 して 下さい 。 わたくし|さとる||いっしょに|なきだす|こえ||きく||きゅうに|もうもくの|がん|||||||おもう|||じゅんさ|||かた||てさぐり||より|||だんな||かん|おし||ください ホン の この 坊ちゃん 達 の いたずらだ 。 ほん|||ぼっちゃん|さとる|| 悪気 でした のじゃ ありません 。 わるぎ|||あり ませ ん It wasn't bad. いい加減 に 、 勘 忍 して あげて お 呉 ん なさい 。」 いいかげん||かん|おし||||くれ|| と 、 まだ 眼 を 光らして いる お 巡査 さん を なだめました 。 ||がん||ひからして|||じゅんさ|||なだめ ました I soothed the policeman who was still shining his eyes. 見る と 、 お 婆さん は 、 眼 に 一杯 涙 を 湛えて いる のです 。 みる|||ばあさん||がん||いっぱい|なみだ||たたえて|| お 巡査 さん は 、 お 婆さん の 言葉 を 聞く と 、 やっと 吉 公 の 手 を 離して 、 「 お 婆さん が 、 そう 言う の なら 、 勘弁 して やろう 。 |じゅんさ||||ばあさん||ことば||きく|||きち|おおやけ||て||はなして||ばあさん|||いう|||かんべん|| もう 一 度 、 こんな こと を する と 、 承知 を し ない ぞ 。」 |ひと|たび||||||しょうち|||| If you do something like this again, you won't know. " と 、 言い ながら 、 向 う へ 行って しまいました 。 |いい||むかい|||おこなって|しまい ました すると 、 お 婆さん は 、 やっと 安心 した ように 、 「 さあ 、 坊ちゃん 方 、 はやく 学校 へ いらっしゃい 。 ||ばあさん|||あんしん||||ぼっちゃん|かた||がっこう|| 今度 から 、 もう この お 婆さん に 、 悪戯 を なさる の では ありません よ 。」 こんど|||||ばあさん||いたずら|||||あり ませ ん| と 言いました 。 |いい ました 私 は 、 お 婆さん の 眼 の 見え ない 顔 を 見て いる と 穴 の 中 へ でも 、 這 入りたい ような 恥 し さ と 、 悪い こと を した と いう 後悔 と で 、 心 の 中 が 一杯に なりました 。 わたくし|||ばあさん||がん||みえ||かお||みて|||あな||なか|||は|はいり たい||はじ||||わるい||||||こうかい|||こころ||なか||いっぱいに|なり ました When I saw the face of my grandmother who couldn't see the eyes, even in the hole It was この こと が あって から 、 私 達 が ぷっつり と 、 この 悪戯 を 止めた の は 、 申す 迄 も ありません 。 |||||わたくし|さとる||ぷっ つ り|||いたずら||とどめた|||もうす|まで||あり ませ ん It is not until then that we were so generous that we stopped this mischief. その 上 、 餓鬼 大将 の 吉 公 さえ 、 前 より は よほど おとなしく なった ように 見えました 。 |うえ|がき|たいしょう||きち|おおやけ||ぜん|||||||みえ ました What's more, even Geki, the demon of Geki, appeared to be much quieter than before. 私 は 、 納豆 売 の お 婆さん に 、 恩返し の ため 何 か して やら ねば なら ない と 思いました 。 わたくし||なっとう|う|||ばあさん||おんがえし|||なん||||||||おもい ました それ で その 日 学校 から 、 家 へ 帰る と 、 「 家 で は 、 納豆 を 少しも 買わ ない の 。」 |||ひ|がっこう||いえ||かえる||いえ|||なっとう||すこしも|かわ|| So, when I came home from school that day, "I don't buy any natto at home." と 、 お母さん に 、 ききました 。 |お かあさん||きき ました I heard from my mother. 「 お前 は 、 納豆 を 喰 べたい の かい 。」 おまえ||なっとう||しょく|べ たい|| と 、 お母さん が きき返しました 。 |お かあさん||ききかえし ました 「 喰 べ たく は ない んだ けれど 、 可哀そうな 納豆 売 の お 婆さん が いる から 。」 しょく|||||||かわいそうな|なっとう|う|||ばあさん||| と 言いました 。 |いい ました 「 お前 が 、 そういう 心 掛 で 買う の なら 、 時々 は 買って も いい 。 おまえ|||こころ|かかり||かう|||ときどき||かって|| お 父 様 は 、 お 好きな 方 な のだ から 。」 |ちち|さま|||すきな|かた||| My father is my favorite. " と 、 お母さん は 言いました 。 |お かあさん||いい ました それ から 、 毎朝 、 お 婆さん の 声 が 聞える と 、 お 金 を 貰って 納豆 を 買いました 。 ||まいあさ||ばあさん||こえ||きこえる|||きむ||もらって|なっとう||かい ました そして 、 その お 婆さん が 、 来 なく なる 時 まで 、 私 は 大抵 毎朝 、 お 婆さん から 納豆 を 買いました 。 |||ばあさん||らい|||じ||わたくし||たいてい|まいあさ||ばあさん||なっとう||かい ました