盾 の 勇者 の 成り 上がり 2 番 外 編 (2)
「 じゃま ー ! 」 「 すいません ! 」 フィーロ は ガゴッコ の 巣 に 、 私 は その 下 に 輝く 鉱石 に 手 を 伸ばします 。 が 、 その 時 、 私 達 の 背後 から 私 達 の 殺気 に 釣られて 追いかけて くる 魔物 が 一 匹 。
「 な ──」
それぞれ 牽制 し 合って いて 、 気付く のに 時間 が 掛かり すぎました 。 「 ブルヒ ──────────────────! 」 銀色 の イノシシ 。 シルバーレイザーバッグ と いう 魔物 が 、 私 達 の 殺気 に 釣られて 突進 して きた のです 。
体格 は …… フィーロ より も 大きい です ね 。
そんな 大きな 魔物 が 、 ガゴッコ の 巣 に 向かって 突撃 して きた あと 、 どう なった か と いう と 。
私 達 が 居た 場所 その物 を 吹き飛ばし 、 私 達 は 宙 に 投げ出さ れました 。 私 に は 見えました 。 ガゴッコ の 巣 の 下 に あった 大きく 綺麗な 鉱石 が 一 つ 、 おそらく ラチウム と いう 鉱石 でしょう 。
それ が 宙 に 投げ出さ れ 、 粉々に 砕け ながら 飛んで 行く の が 。
同時に …… フィーロ が 探して いた ガゴッコ の 卵 も 見る も 無残に 空中 で 弾けて 行きました 。 「 グッグガ ! グッグガ ! 」 ガゴッコ と いう 魔物 が そのまま 羽ばたいて 飛んで 行って しまいました 。 ど さ り と 、 斜面 に 着地 した 私 達 は ……。
「 ああ ……」
「 う う …… 卵 ー ! ごはん ー 」
それぞれ 欲して いた 物 が 失わ れた 事 を 悟り …… その 原因 に 殺意 を 向けて 顔 を 合わせました 。 「 お 姉ちゃん ……」
「 ええ ……」
シルバーレイザーバッグ は 私 達 の 殺気 に 、 自ら の 立場 の 危機 を 今更 に なって 悟った ようでした 。
「 ブルヒ !?」
前 に しか 進め ない ような のに 、 後ろ へ と 足踏み を して 、 下がろう と して います 。 下手に 振り向いた その 時 、 確実な 死 が 待ち受けて いる と わかって いる のでしょう 。
です が 、 後ろ を 向か なくて も 変わりません 。 シルバーレイザーバッグ は 後ろ を 向いて ──。
「 あ 、 にげる な ー ! 」 「 生かして 帰す と お 思い です か ! 」 「 ブルヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ ! 」 高らかに 絶望 の 叫び を 上げた のでした 。 「 は ぁ …… 散々でした ね 」
「 う ー …… 卵 ー 」
あれ から 必死に 山中 を 探した のです けど 、 結局 目的 の 物 は 見つかりません でした 。 せめても の 手 土産 に と 仕留めた シルバーレイザーバッグ を 、 フィーロ に 担が せて 下山 します 。 「 お前 等 どこ へ 行って た んだ ? 捜した ぞ 」
ナオフミ 様 が 温泉 街 の 入り口 で 待って いて 下さいました 。 「 ちょっと ……」
「 ん ? どうした ん だ フィーロ 。 見た 事 の ない 魔物 だ な 。 捌 いて 盾 に 素材 と して 入れる か 」
「 お 願い します 」 「 あの ね 。 フィーロ が 山 で ね 。 探して た の を 邪魔 した 魔物 な の 、 お 姉ちゃん と 一緒に 倒した の 」
「 へ ー …… それとも 捌 いて 飯 に する か ? イノシシ みたいだ から ぼたん 鍋 と か ? 」 「 うん ! 美味し そう ー 作って ー 」
「「「 ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ あ ああ ! 」」」
温泉 街 の 方々 が 私 達 を 指差して 駆け寄って きます 。 「 や ばい 、 逃げる ぞ ! 」 「 はい ! 」 咄 とっ嗟 さ に ナオフミ 様 と 私 は 走り出しました 。 と いう の も 、 私 達 は メルロマルク で は あまり 良い 印象 を 持たれて いない ので 、 あれこれ と 国 中 の 人々 に 嫌われて います 。 です から 、 こういった 問題 に 直面 する 事 は 日常茶飯事 で 、 反射 的に 逃げ出した のです 。
しかし ……。
「 待って ください ! 止まって ! お 願い します 。 どうか 止まって ください ! 」 様子 が おかしい ので 、 私 達 は 止まります 。 する と 温泉 街 の 方々 は 喜び の 表情 で 私 達 を 手招き して 言いました 。 「 まさか この 時期 に 銀 様 を 狩って くださる と は 」
「 銀 様 ? 」 「 ええ 、 この 温泉 街 で 繁栄 を 願い 、 儀式 で 使う 魔物 な んです よ 。 どうか 譲って 下さいません か ? 」 そう 言えば …… 温泉 に 入った 時 に そんな 感じ の 絵 を 見た 覚え が あります 。 まさか 、 その イノシシ だった と は ……。
温泉 街 の 方 曰 く 、 魔物 の 素材 と して の 価値 は 無い けれど 高く 買い取って くれる そうです 。
結果 的に ナオフミ 様 に 褒めて もらえる と フィーロ 共々 、 とても 嬉しかった のです が 、 ナオフミ 様 は 魔物 を 買い取って 得た お 金 を 私 達 に そのまま 与えて 下さりました 。 「 あの ……」
「 せっかく の 休み な のに お前達 が 自分 で 狩って 手 に 入れた 金 だ ろ ? 何 か 欲しい 物 が あった んだろう から 好きに 使え 」
「 お 姉ちゃん 」
「…… そうです ね 」
私 と フィーロ は 考え を 一 つ に して 、 ナオフミ 様 から お 金 を 受け取りました 。 そして 、 ナオフミ 様 が 欲しがって いた アクセサリー 作り に 必要な 器材 を 購入 して プレゼント しました 。 「 どうした ん だ ? お前達 の 好きな 物 を 買えば 良い のに …… これ 、 かなり 値 が 張る はずだ ぞ ? 」 「 私 達 から 、 普段 大切に して くださる ナオフミ 様 へ の プレゼント です 」 「 うん ! ご しゅじん さま へ プレゼントー 」
抜け駆け する の は 簡単です けど 、 フィーロ と 二 人 で 手 に 入れた お 金 な んです から 平等に …… ナオフミ 様 へ 日ごろ の 感謝 を 伝えたい と 思って 、 こういう 形 で 終わら せました 。 「 そう か ……」
ナオフミ 様 は 不器用に も 笑って 、 私 達 を 優しく 撫でて 下さ いました 。 「 ラフタリア 、 フィーロ 、 あり が と な 。 大事に 使わ せて もらおう 」
もう …… また 子供 扱い して 。
いつか 絶対 に 、 女の子 だって 認め させます から ね 。 ね ? フィーロ 。
「 うん ! 」 そうして 私 達 は お互いに 頷き あった のでした 。 はじめて の お つかい
フィーロ の 名前 は フィーロ !
馬車 を 引き ながら 、 ご しゅじん さま たち と いろんな 所 を 旅 して る の 。
今日 は ー 、…… えっと ー 賑やかな 町 の 宿 で 、 ご しゅじん さま が お 薬 を 作って る よ 。 困った ような 顔 を して いる の は どうして かな ?
「 ふむ ……」
ご しゅじん さま が 腕 を 組んで 唸って る 。
「 どうした の ー ? 」 「 ん ? ああ 、 フィーロ か 。 いや 、 気 に し なくて いい 」
「 えー ! な んな の ! 教えて よ ー ! 」 「 フィーロ 、 ナオフミ 様 を 困ら せて は いけません よ 」 ラフタリア お 姉ちゃん が そう 言って フィーロ を 注意 する 。
「 気 に なる 年頃って 奴 だ ろ 。 しょうがない な 、 教えて やる 。 薬 の 材料 が 切れて しまって な 」
ご しゅじん さま は 本 を 読み ながら 薬 作り を して いた のだ けど 、 薬 に 使う 材料 が 足りなかった みたいな の 。
「 明日 に は 疫病 の 流行って いる 村 へ と 行か なきゃ いけない だ ろ ? 」 「 と なる と 近場 で 拾って いく に も 間に合いません ね 。 どう しましょう ? 」 「 この際 だ 。 少し だけ なら 薬屋 で 買い 足す の も 手 だろう 。 元々 この 辺り は 薬屋 が 数 軒 ある から な 、 買い に 行けば いい 」
その 話 を 聞いて 、 フィーロ は チャンス だ と 思った の 。
ご しゅじん さま の 欲しい 物 を 買って くれば 褒めて もらえる んだ よ 。
ラフタリア お 姉ちゃん が この 前 買い物 を 頼まれて 買って きた 時 褒められて た もん 。 「 フィーロ が 買い物 に 行って くる から ご しゅじん さま は 待って て ー 」
「 は ? 何 を 言って いる んだ ? 」 「 そう です よ 、 フィーロ 。 あなた が お 使い だ なんて ……」
「 ぶ ー 、 ラフタリア お 姉ちゃん 、 フィーロ が 何も でき ない と 思って る ー ! 」 少し くらい フィーロ より 年上 だ からって お 姉ちゃん は いつも フィーロ に あれ ダメ これ ダメって 言う 。 フィーロ だって ご しゅじん さま の 欲しい 物 を 持ってくる 事 くらい できる もん 。
「 そう 言う 訳 じゃ ない です けど 、 向き 不向き が ある と 言います か ……」 「 できる もん 、 できる もん 、 できる もん ! 」 と 、 フィーロ が 言う と ご しゅじん さま は なんか 嫌 そうな 顔 して る 。 「 ああ もう 、 うるさい 。 わかった から 、 お 使い に 行って 来い 」
「 え ? ナオフミ 様 、 フィーロ に 行か せる んです か ? 」 「 このまま 騒が れる の も 面倒だ 。 失敗 して も 問題 無い 程度 に して おく さ 」
「 わ ー い ! 」 ご しゅじん さま は 茶色い お 金 を フィーロ に 持た せて くれた の 。 「 これ を 近所 の 薬屋 に 行って 、 ルテナって 薬草 を 買って 来い 」 「 うん ! じゃあ 行って き ま ー す 」
フィーロ は 宿 の 扉 を 空けて 跳ねる ように 出て 行く の 。
「 るって な ー 、 るって な ー ♪」 ご しゅじん さま の 頼んだ 薬草 を 買って くる 為 に 、 薬屋 さん へ と スキップ し ながら 向かった の 。
すぐに 薬屋 に ついた よ 。 ご しゅじん さま が いつも 弄って る 草 と 同じ 匂い が した から わかる んだ 。
「 るって な 下さい ! 」 「 ルテナ かい ? 残念だ けど 今日 は 品切れ だ な 」
「 えー ……」
「 ごめん よ 嬢ちゃん 。 いつも は ある んだ けど 、 ここ 最近 需要 が 上がって いて ね 」
「 そう な んだ ー ……」
そう いえば ご しゅじん さま が 近く で 病気 が 多いって 言って た 。 でも この 辺り は 薬屋 が 数 軒 あるって 言って た から 大丈夫 。 「 他の 薬屋 なら まだ 扱って いる んじゃ ない か な ? 」 「 は ー い ! ありがとう ございました ! 」 フィーロ は 頭 を 下げて 走り出した の 。 それ から フィーロ は 薬屋 を 探そう と した んだ けど 、 おいし そうな 匂い が して きた の 。
そっち の 方向 に 向かう と お 肉 に 串 を 刺した 食べ物 を 作って いる 人 が いる 。
「 て な ー る 、 て な ー る 、 て な ー る ー ♪」
「 今日 は 串 焼き が 安い よ ー 」
ぐ ー …… フィーロ お腹 空いた 。
フィーロ 、 屋台 に 並んで いる 食べ物 に 目移り しちゃった 。 「 いらっしゃい ! いらっしゃい ! 」 お 店 の 人 が 呼び込み して る 。 じ ー …… お 肉 の 良い 匂い ー …… でも フィーロ お 使い して る の ー 。
に くじゅう が 垂れて 、 じゅって 音 が して ね ー 、 良い 匂い で ね ー で 、 炭 に 油 が 垂れて ね ー 。 フィーロ 、 涎 が 出て お 肉 を じっと 見ちゃ う 。
「 な ー る 、 なる 、 うな ー る 、 うに ゃ ー る …… じゅ ー る じ ゅる 」
「 え 、 えっと ……」 道 行く 人 達 が フィーロ と 屋台 を 交互に 見た の 。
「 い 、 一 本 あげよう か ? 」 「 ホント !?」 「 あ 、 ああ 、 焼き すぎちゃった 奴 だ から 特別に ね 」 「 あり が と ー ! 」 フィーロ は 屋台 から お 肉 を もらって 、 頬張る の 。 甘辛い 味 が して 、 とっても おいしい !
でも 、 ご しゅじん さま の 方 が おいしい かも 。
「 いい 食べっぷり だ ね 、 嬢ちゃん 。 でも 、 どうして 街 に 来 たんだい ? 何 か 買い物 か ? 」 「 うん ! じゅ ー る じゅ ー る 下さい ! 」 「 は ? 」 たしか …… 何 屋 さん だっけ ? う ー …… 忘れちゃった 。 だから お 願い した の 。
「 草 ください ! 」 「 さすが に 草 は 売って ない な ー 」 「 そう な の ー ? 変わった 草 みたい 。 安く 欲しい の 」
「 それ なら 山 の 村 に 行けば わかる んじゃ ない か ? 」 「 わかった ー ありがとう ございました 」 フィーロ は お 店 を 出て 、 お 山 を 目指して 走り出した の 。 本当の 姿 に 変身 した から 、 すぐに つく こと が できる と 思う 。
「 だ 、 誰 か 助けて ! 」 お 山 を 登って 行く と 、 どこ から か 叫び声 が した の 。 「 は ー い ! 」 見る と 、 半透明 の ぶよ ぶよ な 生き物 に 女の子 が 襲わ れ そうに なって た の 。 「 て ー い ! 」 フィーロ が 力 を 込めて 蹴る と 半透明 な 生き物 は 飛び散った 。 「 大丈夫 ー ? 」 「 え 、 あ 、 はい ! その 姿 は …… 神 鳥 の 鳥 さん ? 」 「 うん ! フィーロ な の ー ! 」 「 あ 、 ありがとう ございました 」 「 ところで どうした の ー ? こんな 山 に 居たら 危ない よ ? 」 近く に 村 が あった と 思う けど 、 どうした んだろう ? 「 そ 、 それ が 、 スライム が 突然 村 に 現れて 、 村 の 人 達 は 必死に 応戦 して いる んです が …… なかなか 手強くて ……。 な ので 、 近く の 町 に 応援 を 呼ぼうって 話 に なって 、 みんな で 出た んです けど 魔物 に 追いかけられて しまった んです 」 「 そう だった んだ ー 、 じゃあ フィーロ が 頑張る よ ー 」
フィーロ 知って る んだ よ ? 困って いる 人 を 助ける と お 礼 が もらえるって 。 ご しゅじん さま は もらって た もん 。
「 その代わり お 礼 ちょうだい ! 」 「 は 、 はい ! 」 「 じゃあ フィーロ に 乗って 」 「 え 、 あ 、 ちょっと 。 わ ーーーーーーー ! 」 女の子 を 背中 に 乗せて フィーロ は 走り出した の 。 「 て ー い ! 」 村 に 着いたら 、 村 の 人 達 が 必死に 半透明 の 大きな 魔物 と 戦って た の 。 だ から フィーロ は 魔物 に 飛び 蹴り を した の 。
最初 は ブヨン と 弾か れた けど 、 力 を 込めて 真ん中 の 球体 を 蹴ったら 飛び散った 。
「 フィーロ の 勝ち ー ! 」 「 ま 、 まだ です ! 」 「 えー ……」 見る と 半透明 の 魔物 が どこ か に 集まって 行く の 。
でも フィーロ 、 なんとなく わかった よ 。