Another Episode 5 Another Episode 5

何 夜 ヲ 覆 ウ 目蓋 開 ケ なん|よ||おお||まぶた|ひらき| 凶 キ 影 ヲ 恐 レルナカレ きょう||かげ||こわ|

仄 くら き 柩 から そく|||ひつぎ|

産み 落とさ れ た 人形 の よう に うみ|おとさ|||にんぎょう|||

体 は 赤く 凍え からだ||あかく|こごえ

心 は 闇 に あやさ れ 育つ こころ||やみ||||そだつ

君 に 僕 が 見える かい きみ||ぼく||みえる|

繋ぐ 手 の 冷た さ に つなぐ|て||つめた||

鮮血 の 爪 立てる せんけつ||つめ|たてる

眉 寄せ て ご覧 よ まゆ|よせ||ごらん|

壊し 合 お う 先 に 続く 謎 に 満ちる 結末 を こわし|ごう|||さき||つづく|なぞ||みちる|けつまつ|

羽 も 足 も もが れ た まま はね||あし|||||

虚 空 の 中 朽ち果てる よう に きょ|から||なか|くちはてる||

もう 一 人 僕 が 居 て |ひと|じん|ぼく||い|

誰 か を 痛い ほど 愛し て いる ん だ だれ|||いたい||あいし||||

さあ どっち が 幻 だ ろ う ね |||まぼろし||||

水野 早苗 さん って いった か ね みずの|さなえ|||||

恒一 ちゃん と は 本 の 話 と か し て た よ ね つねいち||||ほん||はなし|||||||

まだ お 若い のに ||わかい|

弟 くん も 心配 ね おとうと|||しんぱい|

弟 さん が いる の かい おとうと|||||

猛 くん って いって 僕 と 同じ クラス で もう||||ぼく||おなじ|くらす|

おや 嫌 だ ね |いや||

こない だ も クラス の 子 が 事故 で 亡くなった ん だ ろ |||くらす||こ||じこ||なくなった|||

人 が 死ぬ と 葬式 だ なあ じん||しぬ||そうしき||

葬式 は もう 堪忍 堪忍 し て 欲しい な そうしき|||かんにん|かんにん|||ほしい|

葬式 は もう 堪忍 し て 欲しい な そうしき|||かんにん|||ほしい|

水野 くん の お 姉さん の 事 は 大変 に ショック です が みずの||||ねえさん||こと||たいへん||しょっく||

大丈夫 です だいじょうぶ|

皆 で 頑張れ ば きっと 乗り越え られ ます みな||がんばれ|||のりこえ||

あの さ

亡くなった ん だ よ 水野 の お 姉さん が 昨日 の 事故 で なくなった||||みずの|||ねえさん||きのう||じこ|

そう

先生 どう し た の か な せんせい||||||

そんなに 具合 が 悪い の か な |ぐあい||わるい|||

なんだか 元気 なかった し |げんき||

まさか

ね ね 榊原 くん ||さかきばら|

何 まさか 三神 先生 何 か 命 に 関わる よう な 重病 だったり は し な いよ ね なん||みかみ|せんせい|なん||いのち||かかわる|||じゅうびょう|||||| えっ まあ 大丈夫 な ん じゃ ない の ||だいじょうぶ|||||

そう だ よ ね うん

そこ まで 心配 な の ||しんぱい||

そりゃ この あいだ 桜木 さん が あんな こと に なって |||さくらぎ||||||

今度 は 水野 くん の お 姉さん でしょ う こんど||みずの||||ねえさん||

だから

関係 ある の かんけい||

最近 の 事故 と 繋がり が さいきん||じこ||つながり|

それ は

どこ へ 行く の ||いく|

調べ 物 しらべ|ぶつ

そう か 見 崎 の 名前 は ある わけ ない か ||み|さき||なまえ|||||

お 母さん |かあさん

見つかった かな みつかった|

はい

しかし より に よって 七十 二 年 と は ||||しちじゅう|ふた|とし||

お 母さん は なん 組み だった の か な |かあさん|||くみ||||

母 も 三 組 だった そう です はは||みっ|くみ|||

うん どの 人 君 の お 母さん ||じん|きみ|||かあさん

この 人 です |じん|

理 津 子 くん か り|つ|こ||

えっ 知って る ん です か |しって||||

まあ 理 津 子 くん と は な |り|つ|こ||||

しかし 亡くなった と 言って い た が |なくなった||いって|||

いつ

十五 年 前 僕 を 産 ん で すぐに じゅうご|とし|ぜん|ぼく||さん|||

十五 年 前 じゅうご|とし|ぜん

そう な の か

そういう 事 な の か |こと|||

恒一 くん つねいち|

先生 が 職員 室 まで 来る よう に って せんせい||しょくいん|しつ||くる|||

そう ありがとう

先 に 謝 っと く ごめんなさい さき||あやま|||

皆 の ため な の 許し て みな|||||ゆるし|

水野 早苗 さん が 昨日 病院 の 事故 で 亡くなら れ た こと は 知って い ます ね みずの|さなえ|||きのう|びょういん||じこ||なくなら|||||しって|||

はい

あの 何 か 不審 な ところ でも |なん||ふしん|||

いやいや 事故 は 事故 な ん です よ |じこ||じこ||||

大変 に 不幸 な 事故 です たいへん||ふこう||じこ|

で です ね 問題 の エレベーター に 水野 さん の 携帯 電話 が 落ち て い た ん です ね |||もんだい||えれべーたー||みずの|||けいたい|でんわ||おち||||||

昨日 の 午後 一 時 ごろ 携帯 電話 で 彼女 と 話 を し まし た か きのう||ごご|ひと|じ||けいたい|でんわ||かのじょ||はなし|||||

し まし た

彼女 は 屋上 に い た ん です ね かのじょ||おくじょう||||||

そこ から エレベーター に 乗って か ||えれべーたー||のって|

事故 の 原因 は なん だった ん でしょ う か じこ||げんいん|||||||

調査 中 ちょうさ|なか

ワイヤ を 止め てる 金具 が 外れ て 落下 と いう 線 に は 間違い ない ん だ けど ね わいや||とどめ||かなぐ||はずれ||らっか|||せん|||まちがい|||||

あの 病棟 は そもそも 築 何 十 年 か で |びょうとう|||きず|なん|じゅう|とし||

その 間 に ずいぶん と 無 茶 な 増改築 を 繰り返し て 来 た |あいだ||||む|ちゃ||ぞうかいちく||くりかえし||らい|

お互い 気 を つけ ま しょ おたがい|き||||

普通 起こり え ない よう な 事故 に は 特に ね ふつう|おこり|||||じこ|||とくに|

えっ

榊原 くん さかきばら|

警察 の 方 と の 話 は 終わった の です か けいさつ||かた|||はなし||おわった|||

あ はい

そう です か で は 今日 は もう 帰って も かまい ませ ん |||||きょう|||かえって||||

あの 皆 は |みな|

ＨＲ （ ホームルーム ） で 新しい 女子 の クラス 委員 長 が 決まり まし た |||あたらしい|じょし||くらす|いいん|ちょう||きまり||

赤沢 さん です あかさわ||

それ で 皆 は どこ に ||みな|||

くれ ぐれ も クラス の 決め 事 に は 必ず 従う よう に し て ください |||くらす||きめ|こと|||かならず|したがう|||||

よろしい です ね

うん いい よ

や 帰 ろ う か |かえ|||

六 限 目 さ 皆 どこ 行って た の むっ|げん|め||みな||おこなって||

会議 室 に 移って 色々 と ね かいぎ|しつ||うつって|いろいろ||

色々 って いろいろ|

榊原 くん さ さかきばら||

転校 し て き て から こっち 色々 と 変 に 感じ てる こと ある よ ね てんこう|||||||いろいろ||へん||かんじ|||||

分かって る なら 教え て くれる わかって|||おしえ||

ごめん やっぱり 言え ない ||いえ|

ただ これ から 榊原 くん に とても 不愉快 な こと が ある と 思う |||さかきばら||||ふゆかい||||||おもう

何 それ なん|

さっき の 会議 で ね ||かいぎ||

君 の い ない ところ で 話し合い を し なきゃ って 赤沢 さん が 言い出し て きみ||||||はなしあい|||||あかさわ|||いいだし|

でも ね 嫌 な 目 に 遭う こと が あって も ||いや||め||あう||||

我慢 し て 欲しい ん だ がまん|||ほしい||

皆 の ため だ と 思って みな|||||おもって

お 願い だ から |ねがい||

皆 の って みな||

皆 の ため な の 許し て みな|||||ゆるし|

それ って クラス の 決め 事 って やつ ||くらす||きめ|こと||

うん

なんだか な

一 つ 頼み 事 を し て も いい かな ひと||たのみ|こと||||||

何 クラス の 名簿 の コピー 欲し い ん だ なん|くらす||めいぼ||こぴー|ほし||| もらって ない ん だ

やっぱり フェア じゃ ない ね |ふぇあ|||

僕 は あんまり 賛成 でき ない ん だ よ ね 赤沢 さん の やり 方 ぼく|||さんせい|||||||あかさわ||||かた

勝手 に 決め付け た こと を 押し付ける なんて かって||きめつけ||||おしつける|

フェア じゃ ない ふぇあ||

榊原 くん 知り たい 事 いっぱい ある よ ね さかきばら||しり||こと||||

そりゃ もう

じゃ 一 つ ずつ 聞い て 見 て |ひと|||ききい||み|

僕 の 知って いる 範囲 で 教え て あげる よ ぼく||しって||はんい||おしえ|||

ちょっと 高林 くん 本気 |たかばやし||ほんき

じゃあ 見 崎 鳴って 子 は いる の |み|さき|なって|こ|||

見 崎 鳴 は み|さき|な|

高林 くん 高林 くん たかばやし||たかばやし|

おはよう ございます 早い ん です ね ||はやい|||

それ じゃ そういう 事 で 何 か |||こと||なん|

いや もう いい です ね

今朝 何 か あった っけ けさ|なん|||

同じ 教室 で 共に 学 ん だ 高林 くん の ご 冥福 を 皆 で お 祈り し ま しょ う おなじ|きょうしつ||ともに|まな|||たかばやし||||めいふく||みな|||いのり||||

悲しい 出来事 が 続き ます が かなしい|できごと||つづき||

挫け ず 諦め ず くじけ||あきらめ|

皆 で 力 を 合わせて 切り抜け ま しょ う みな||ちから||あわせて|きりぬけ|||

皆さん くれ ぐれ も クラス の 決め 事 は 守る よう に みなさん||||くらす||きめ|こと||まもる||

三神 先生 も 難しい 立場 で あり ながら みかみ|せんせい||むずかしい|たちば|||

できる だけ の 事 を と 言って ください まし た |||こと|||いって|||

ですから よろしい です か

あの さ

何 だ あいつ なん||

和久井 くん わくい|

何 だ よ もう なん|||

現在 電波 の 届か ない 場所 に ある か 電源 が 入って い ない ため かかり ませ ん げんざい|でんぱ||とどか||ばしょ||||でんげん||はいって||||||

よ あの さ すま ねえ

「 噂 が 一 人 歩き する 」 うわさ||ひと|じん|あるき|

これ は 本来 人間 で ない もの が ||ほんらい|にんげん||||

恰 も 人間 か の よう に 振舞う 表現 で あり かつ||にんげん|||||ふるまう|ひょうげん||

この 用法 を 「 擬人 法 」 と いい ます |ようほう||ぎじん|ほう|||

ここ で 気 を つけ て ほしい の は ||き||||||

「 擬人 法 」 と は 人間 で ない もの を 人間 の よう に 喩 える と いう こと です ぎじん|ほう|||にんげん|||||にんげん||||ゆ|||||

「 人間 と は 考える 葦 で ある 」 と いう パスカル の 言葉 が あり ます が にんげん|||かんがえる|あし|||||ぱすかる||ことば||||

これ は 「 擬人 法 」 で は あり ませ ん 「 暗 喩 」 と なり ます ||ぎじん|ほう||||||あん|ゆ|||

( やっぱり そういう こと な の か ）

よろしい です か

や どう し た の 急に 電話 なんか してき て |||||きゅうに|でんわ||| 名簿 もらった ん だ それ で めいぼ|||||

順番 に 話す よ 高林 くん が 死 ん だ の 知って る じゅんばん||はなす||たかばやし|||し||||しって|

心臓 の 発作 で 前 から 悪かった そう だ けど しんぞう||ほっさ||ぜん||わるかった|||

そう 六 月 の 二 人 目 は 病死 か |むっ|つき||ふた|じん|め||びょうし|

それ で 今日 学校 へ 行ったら クラス の 様子 が 変 で ||きょう|がっこう||おこなったら|くらす||ようす||へん|

皆 で 示し合わせ て 僕 を 「 い ない もの 」 み たい に 振舞って みな||しめしあわせ||ぼく||||||||ふるまって

そういう こと に し た の か

これ って やっぱり 僕 も 君 と 同じ に なった って こと |||ぼく||きみ||おなじ||||

どう 「 い ない もの 」 に なった 感想 は ||||||かんそう|

あんまり いい 気分 じゃ ない ||きぶん||

でも ちょっと すっきり し た か も

すっきり

見 崎 鳴 は いる と 分かった から み|さき|な||||わかった|

ここ って さ 君 の 家 だ よ ね |||きみ||いえ|||

そう とっくに 気づ い てる と 思った ||きづ||||おもった

確かに この 近く だ し お 客 で も ない ね たしかに||ちかく||||きゃく||||

電話 に 出 た の は お 母さん でんわ||だ|||||かあさん

びっくり し て た 私 に 学校 の 友達 から 電話 なんて 滅多に ない から ||||わたくし||がっこう||ともだち||でんわ||めったに||

君 の お 母さん って 「 霧 果 」 って 人 きみ|||かあさん||きり|か||じん

そ っ 雅 号 って いう の か な それ が 「 霧 果 」 ね ||ただし|ごう||||||||きり|か|

いつも 二 階 の 工房 に 閉じ 籠って る 変わった 人 |ふた|かい||こうぼう||とじ|こもって||かわった|じん

工房 M って 見 崎 の 「 M 」 こうぼう|||み|さき||

単純 な 話 でしょ う たんじゅん||はなし||

上 に 行き ま しょ う うえ||いき|||

気づ い て た きづ|||

はい

質問 そっち から し て くれる その ほう が 話し やすい かも しつもん|||||||||はなし||

質問 攻め しつもん|せめ

嫌い だ けど 今日 は 特別 に 認め ます きらい|||きょう||とくべつ||みとめ|

まず 見 崎 鳴 君 は いる ん だ よ ね |み|さき|な|きみ||||||

幽霊 かも しれ ない って 思って た ゆうれい|||||おもって|

少し ね すこし|

ま それ も し かた な いよ ね

でも 疑い は 晴れ た でしょ う |うたがい||はれ|||

私 は 確かに ここ に いる 生き た 人間 と して わたくし||たしかに||||いき||にんげん||

私 が 「 い ない もの 」 な の は 三 年 三 組 に とって だけ わたくし||||||||みっ|とし|みっ|くみ|||

いつ から な の

始まった の は 五 月 一 日 から はじまった|||いつ|つき|ひと|ひ|

最近 な ん だ ね さいきん||||

色々 変 に 感じ た でしょ う 最初 の 日 から いろいろ|へん||かんじ||||さいしょ||ひ|

誰 も 教え て くれ ない し ね だれ||おしえ|||||

ちゃんと 事情 を 知らせ て おか なかった の が 手痛い ミス ね |じじょう||しらせ||||||ていたい|みす|

ミス って みす|

本来 なら 榊原 くん も 一緒 に なって ほんらい||さかきばら|||いっしょ||

私 を 「 い ない もの 」 に し ない と 成り立た ない のに わたくし|||||||||なりたた||

今度 は あなた まで 私 の 同類 に なっちゃ っ て 困った 話 ね こんど||||わたくし||どうるい|||||こまった|はなし|

いじめ じゃ ない ん だ よ ね

そう 思って る 人 は い ない と 思う |おもって||じん|||||おもう

僕 も 「 い ない もの 」 に さ れ た の は 分かった よ ぼく|||||||||||わかった|

でも 何で そんな こと する の |なんで||||

そう 思う よ ね |おもう||

二十六 年 前 の ミサキ の 話 覚え てる にじゅうろく|とし|ぜん||みさき||はなし|おぼえ|

うん

あの 出来事 が 引き金 に なって ね 三 年 三 組 は 「 死 」 に 近づ い て しまった の |できごと||ひきがね||||みっ|とし|みっ|くみ||し||ちかづ||||

「 死 」 し

最初 に 「 それ 」 が 起こった の は さいしょ||||おこった||

ミサキ の 同級 生 達 が 卒業 し た 次の 年 の 三 年 三 組 だった みさき||どうきゅう|せい|さとる||そつぎょう|||つぎの|とし||みっ|とし|みっ|くみ|

「 それ 」 が 起こって しまう と ね 始まって しまう と ね ||おこって||||はじまって|||

毎月 人 が 死ぬ の まいつき|じん||しぬ|

生徒 自身 だったり その 家族 だったり せいと|じしん|||かぞく|

「 それ 」 って なに

「 それ 」 は ね クラス の 人数 が 一 人 増える の |||くらす||にんずう||ひと|じん|ふえる|

増える 誰 が ふえる|だれ|

分から ない の わから||

誰 が 増え た 子 な の か どうして も 分から ない だれ||ふえ||こ||||||わから|

「 もう 一 人 」 が |ひと|じん|

「 もう 一 人 」 |ひと|じん

二十五 年 前 新 学期 が 始まって すぐ にじゅうご|とし|ぜん|しん|がっき||はじまって|

教室 の 机 と 椅子 が 一 つ 足りない こと が 分かった の きょうしつ||つくえ||いす||ひと||たりない|||わかった|

クラス の 人数 に 合わせ て 用意 し て あった はず な のに くらす||にんずう||あわせ||ようい||||||

そんな の 学校 の 記録 と か で 調べ たら ||がっこう||きろく||||しらべ|

だめ な の いくら 調べ て も ||||しらべ||

名簿 も 記録 も 辻 褄 の 合う よう に 改竄 さ れ て て めいぼ||きろく||つじ|つま||あう|||かいざん||||

ただ 机 と 椅子 は 一 つ 足り ない |つくえ||いす||ひと||たり|

誰 か が 書き換え た って こと だれ|||かきかえ|||

「 改竄 」 は 比喩 よ かいざん||ひゆ|

だって ね 皆 の 記憶 まで 変わって る って いう ん だ から ||みな||きおく||かわって||||||

あり え ない って 思う でしょ う ||||おもう||

でも ね 本当の こと みたい これ は ||ほんとうの||||

そういう 「 現象 」 なん だって ある 人 が 説明 し て くれ た ん だ けど |げんしょう||||じん||せつめい|||||||

「 現象 」 げんしょう

始め は 皆 ただ の 手違い だ ろ う と 思って 気 に し なかった の はじめ||みな|||てちがい|||||おもって|き||||

ところ が ね 四 月 から クラス の 関係 者 が 毎月 死 に 始め た の |||よっ|つき||くらす||かんけい|もの||まいつき|し||はじめ||

毎月 それ が 一 年間 まいつき|||ひと|ねんかん

その 年 は 確か 生徒 が 六 人 生徒 の 家族 が 十 人 |とし||たしか|せいと||むっ|じん|せいと||かぞく||じゅう|じん

尋常 じゃ ない でしょ う じんじょう||||

それ 以来 三 年 三 組 は この 「 現象 」 が 続 い て いる の |いらい|みっ|とし|みっ|くみ|||げんしょう||つづ||||

二十六 年 前 三 年 三 組 の ミサキ が 死 ん だ にじゅうろく|とし|ぜん|みっ|とし|みっ|くみ||みさき||し||

次の 年 から 誰 だ か 分から ない 「 もう 一 人 」 が 増える よう に なった つぎの|とし||だれ|||わから|||ひと|じん||ふえる|||

そし たら 毎月 クラス の 生徒 や 家族 が 死 に 始め た ||まいつき|くらす||せいと||かぞく||し||はじめ|

どうして 誰 か が 増える と 人 が 死ぬ わけ |だれ|||ふえる||じん||しぬ|

理由 は 分から ない ただ そう なる の りゆう||わから|||||

そして ね 「 もう 一 人 」 って いう の は ね |||ひと|じん|||||

「 死者 」 な の ししゃ||

それ って 二十六 年 前 に 死 ん だ ミサキ ||にじゅうろく|とし|ぜん||し|||みさき

「 死者 」 って 幽霊 みたい な も の ししゃ||ゆうれい||||

たぶん 普通 の 幽霊 の イメージ と は 違う |ふつう||ゆうれい||いめーじ|||ちがう

実態 が ある そう だ から じったい|||||

それ も 私 達 と まったく 見分け が つか ない ほど の ||わたくし|さとる|||み わけ|||||

見分け が つか ない み わけ|||

なんでも 「 死者 」 に は ちゃんと 心 も 記憶 も あって |ししゃ||||こころ||きおく||

自分 が 「 死者 」 だって いう こと に 気づ い て ない ん だ って じぶん||ししゃ|||||きづ||||||

「 死者 」 って どういう 人 な の ししゃ|||じん||

これ まで の 「 現象 」 で 死 ん だ 人 |||げんしょう||し|||じん

こう 考え て み た の |かんがえ||||

二十六 年 前 の 行い で 三 組 が 死者 を 招き入れる 場 に なって しまった にじゅうろく|とし|ぜん||おこない||みっ|くみ||ししゃ||まねきいれる|じょう|||

それ から 死者 が クラス に 混じる よう に なって ||ししゃ||くらす||まじる|||

三 組 は 「 死 」 に 近づ い て しまった ね みっ|くみ||し||ちかづ||||

それ で ね 三 組 の 皆 は ね 「 災厄 」 から 逃れよ う と |||みっ|くみ||みな|||さいやく||のがれよ||

あれこれ 対策 を 考え た らしい ん だ けど |たいさく||かんがえ|||||

お祓い と か おはらい||

あった かも ね

教室 を 変え て み たり 「 三 組 」 って 名前 を 「 C 組 」 って 変え て み たり きょうしつ||かえ||||みっ|くみ||なまえ|||くみ||かえ|||

でも やっぱり 終わら なかった ||おわら|

三 年生 の 三 番 目 の クラス が 問題 って こと みっ|ねんせい||みっ|ばん|め||くらす||もんだい||

たぶん ね

そして ね 十 年 ほど 前 かな 有効 な 対処 法 が 見つかった の ||じゅう|とし||ぜん||ゆうこう||たいしょ|ほう||みつかった|

それ を すれ ば 毎月 の 死人 が 出 ない よう に なる って いう 対処 法 が ||||まいつき||しにん||だ|||||||たいしょ|ほう|

まさか それ が

「 もう 一 人 」 の 代わり に 誰 か 一 人 を 「 い ない もの 」 に し て しまう |ひと|じん||かわり||だれ||ひと|じん||||||||

そう やって クラス を 本来 の 人数 に 戻し て やれ ば いい ||くらす||ほんらい||にんずう||もどし||||

それ で その 年 の 「 災厄 」 は 防げ る って いう |||とし||さいやく||ふせげ|||

そんな おまじない

色褪せ て く フィルム の よう に いろあせ|||ふぃるむ|||

確か な 今 も いずれ 霞 ん で たしか||いま|||かすみ||

何でもなく 笑い あった なんでもなく|わらい|

刹那 の 時間 と 光 せつな||じかん||ひかり

繋がって ゆく 記憶 の 底 に つながって||きおく||そこ|

誰 か が 見つける ため ある と 信じ てる 今 でも だれ|||みつける||||しんじ||いま|