( 新田 ( に った ) 義史 ( よし ふみ ) ) ただいま
( ヒナ ) もしもし ? ( 新田 ) ん ?
( ヒナ ) うん うん
( 新田 ) 勧誘 と か だったら さっさと 切れよ
( ヒナ ) ふ ー ん 新田 の 母ちゃん か
( 新田 ) えっ !
うん 新田 と 住 ん でる よ
ん ?
あ いった ー !
もしもし ?
( 新田 の 母 ) 義史 ? 今 の 女の子 は 一体 どう し た の !
女の子 ? 何 それ ?
霊 的 な 何 か 受信 し ちゃ った ?
( 新田 の 母 ) ん な わけ ない でしょ う が !
( ヒナ ) なぜ … ホワーイ ?
♪~
~♪
( 鈴 ( りん ) の 音 )
( ヒナ ) 何 して ん の ?
( 新田 ) お参り だ よ 親父 ( おやじ ) が 死 ん で て な
挨拶 す ん の
オヤジ は 死 ん で た の ? 動 い て た よ
( 新田 ) その オヤジ じゃ ない 俺 の 親父
次 は 家族 へ の 挨拶 だ が … N ヒナ 頼む ぞ
任せ な よ 大船 だ よ
不安 しか ねえ
( 新田 ) ヒナ
俺 の 母親 と 妹 の 美佳 ( みか ) だ
挨拶 しろ
( ヒナ ) 私 安達 ( あだ ち ) ヒナ 13 歳 で ー す
お 父さん が 刑務所 行って 身寄り が ない ので ―
新田 さん と 一緒に 暮らし て ま ー す
新田 さん は とても 親切 な の で
毎日 とても 楽しい で ー す
( 新田 の 母 ) そ … そう な ん だ
( 新田 美佳 ) えっ と ヒナ ちゃん は いつ から 兄ちゃん と 暮らし てん の ?
( 新田 ) ああ … ちょっと !
ヒナ へ の 質問 は 全部 俺 を 通し て くれる ?
どこ の マネージャー ?
身寄り が ない って お 母さん の ほう も な の ?
ん …
私 安達 ヒナ 13 歳 で ー す
( 新田 ) イカ れ た ロボット か !
ちょっと 来い
( 美佳 ・ 新田 の 母 ) あ …
あと は 説明 し とく から お前 は 外 で 遊 ん でろ
( ヒナ ) 練習 どおり 頑張って る よ
だが 応用 力 は ゼロ だ
めん ど くさく なら ない よう に 預かった 子 に し た ん だ
バレ て ややこしい こと に なったら お互い 困る だ ろ
だから 頑張る よ
ああ
( ゲーム の 操作 音 )
( 新田 ) 頑張って 外 に い なさい
( 新田 の 母 ) ヒナ ちゃん に そんな こと が …
( 新田 ) ああ …
抗争 で な 家族 で 食事 中 に 母親 は 撃た れ
父親 は 応戦 し て 2 人 殺し て しまった ん だ
世話 に なった アニキ だった から 居て も 立って も い られ なく て ―
引き取る こと に し た ん だ よ
ヒナ ちゃん に ケガ は なかった の ?
あっ ああ … N エビ チリ 食って た らしい
( 美佳 ・ 新田 の 母 ) えっ …
( 銃声 )
エビ チリ を ! ?
( 銃声 )
( 銃声 )
おかわり
( 銃声 )
( 新田 ) ただ もう あまり の ショック から ―
エビ チリ の こと しか 覚え て なく て …
( 美佳 ) 何て こと …
( 新田 ) 預かった 最初 の 頃 は ほとんど ひと言 も しゃべら なく て
でも 最近 ようやく 少しずつ だ けど …
( 美佳 ・ 新田 の 母 ) あ …
しゃべる よう に なった ん だ
( 2 人 ) あ あ ~ !
あれ ?
でも さっき 毎日 楽しい と か 言って なかった ?
う ぐ っ … それ は …
フッ …
多分 俺 に 心配 かけ まい と ―
無理 し て ん だ よ
バカ 野郎 !
( 新田 ) だ から 過去 の こと は 聞か ない で あげ て くれ
( 新田 ) ブッフフフ …
何 だ よ エビ チリ って …
ああ ヤベ え な 俺 役者 の 才能 ある ん じゃ ねえ の ?
( 新田 の 母 ) 義史 そろそろ 夕食 の 時間 な ん だ けど
( 新田 ) ああ … そう か
( 2 人 ) うん
義史 の 夕 ごはん が ~
食べ た ~ い
俺 客 だ ろ
いやいや だって 兄ちゃん が 来る って いう から
安心 し て 昼間 から 飲 ん で た ん だ よ ほら ほら ~
( 新田 ) いろいろ と おかしい だ ろ どこ から 突っ込め ば いい の よ ?
あー そう です か 分かり まし た よ 作り ます よ
お 湯 沸かせ ば 3 分 で 出来る んで
( 新田 の 母 ) いや 私 は 3 分 も いら ない ね 2 分 で 十 分
( 美佳 ) あっ 分かる ー
分かり まし た よ 作り ます よ
( 美佳 ) え ー ヒナ ちゃん 中 1 か ~
学校 楽しい ?
( ヒナ ) 全然 寝る だけ でも 給食 は 楽しい
( 新田 ) クソッ 学校 行か せる の いろいろ と カネ かかって ん だ ぞ
ニャハハハッ じゃあ 宿題 なんて し て な さ そう だ ね
( ヒナ ) あ … 宿題 … N ( 美佳 ) ん ?
今日 持って き た
( 新田 ) えっ … そんな の 持ってき て た の ?
やって る の 見 た こと ねえ のに この タイミング で ?
いや 待て 宿題 やっ ときゃ それ で 話題 は 終わる か …
よし ナイス 宿題 ! ナイス !
( 美佳 ) どれ どれ ? ああ ほら ―
ちゃんと 名前 書か ない と
( ヒナ ) そ っか
フフ …
ん ?
えっ …
( 美佳 ) “ 新田 ヒナ ” ? ( 新田 ) う っ …
ああ それ は です ねえ !
パッパ ~
学校 側 と 相談 し て 名字 が 違う と 何かと 言わ れる かも しれ ない と
考慮 し た 結果 な ん です よ ~ !
は あ …
ヒナ ちゃん は ちゃんと 納得 し てる の ?
そりゃ もちろん
なあ ヒナ
え ?
( 新田 ) ん …
ハッ …
私 安達 ヒナ 13 歳 で ー す
( 美佳 ・ 新田 の 母 ・ ヒナ ) わ あ ~
( 美佳 ) うん
や っぱ 兄ちゃん の ごはん は うまい わ ~
でも こうして 見る と ほんと に 楽し そう に 暮らし て いる の ねえ
( 美佳 ) 兄ちゃん と 一緒 で 何 が 楽しかった ?
いろいろ あった けど …
( すする 音 )
( ヒナ ) キャバクラ かな ( 新田 ) ブッ …
( 美佳 ・ 新田 の 母 ) は ? ( 新田 ) い … いや その …
( 新田 ) ヒナ が 行き たい って 言う から …
いや いや いや いや
分かって る バカ な こと し てる って
でも ―
ヒナ の 笑顔 が 見 たく て つい 甘やかし ちゃ う ん だ よ な
( 美佳 ) う っ …
まあ これ から は 気 を つけ なさい よ ( 新田 ) ああ
( 新田 ) この 設定 強い の ? 意外 と ちょ ろ い ん じゃ ね ?
( 新田 の 母 ) あんた も ちょっと 飲 ん だ ら ?
( 新田 ) ああ そう だ な
( 花火 の 音 )
何で 花火 あん の ?
夏 に 親戚 の 子 たち が 来 た とき の が 残って た の よ
( 美佳 ) 何 やって ん の ? ん ?
ククク … N ア … アリ の 行列 殺し てる
クッ クック …
( 美佳 ) バカ 野郎 ! ( ヒナ ) あい たっ
どんな 生き物 だって 必死 に 生き て ん だ
みんな 友達 な ん だ ぜ ー !
( ヒナ ) こい つら …
友達 か …
ああ … 何で ?
あ …
この世 は 弱肉強食
強者 は 戯れ に 助け も する し また 殺し も する
は あ …
あいつ むちゃくちゃ だ な
酔っ払い だ から ね
あんた も これ から は 顔 見せる よう に し なさい
ん ?
( 新田 の 母 ) ご 近所 に 言え る よう な 職業 じゃ ない し
あんた も 遠慮 し て た ん だ ろ う けど
私 たち は 家族 な ん だ から ね
ああ … そうだ な
ヒナ ちゃん 育てる の は 大変 だ ろ う けど
これ から は 私 たち も 手伝う わ よ
フッ … 確かに 大変 だ な
この 前 な ん か 怒って 家 を たたき出し たら
離れ て 暮らし て た ところ を 引き取った ん じゃ ない の か って
怒ら れ ち まう し
( 新田 の 母 ) どういう こと だい ? それ …
えっ …
う っ … う う …
あ …
( 新田 ) ヤバ い ヤバ い ! 酔って うまく 言い訳 が …
それ だ と ヒナ ちゃん が あんた の 娘 って こと でしょ ?
ちゃ … ちゃ い ます って ~
あんた 何 か 隠し てる ん じゃ ない でしょ う ね !
う っ … ああ …
( ヒナ ) 新田 は ウソ つい て ない よ
( 新田 の 母 ・ 新田 ) あ …
( 新田 の 母 ) でも …
ヒナ ちゃん の 家族 に 関わる こと よ
( 美佳 ) ちょっと 母ちゃん やめ な よ !
ヒナ ちゃん は ショック で エビ チリ の こと しか 覚え て ない ん だ よ
え …
( 美佳 ) ねえ !
エ … エビチリ ?
エ …
エ …
エビ チリ って あの …
エビ が チリ チリ し てる やつ ?
( 美佳 ) は ? 何 それ ?
( 新田 ) ヒ … ヒナ が 頑張って る …
あの 様子 じゃ エビチリ が 何 な の か 分かって ない くせ に …
あいつ が 来 た 頃 に 比べ て ―
何て 成長 し た ん だ …
バカ だ けど 最近 は 結構 言う こと 聞い て くれる し
バカ だ けど …
チリ チリ って 何 ?
( ヒナ ) あの … そ … それ は …
( 新田 ) ヒナ もう いい ん だ
エビ チリ 知ら ない くせ に よく 頑張った
感動 し た !
どういう こと ?
( 新田 ) 実は ウソ を つい て い た
えっ ?
ヒナ は 俺 の 娘 だ !
やっぱり !
ヘイ ! なぜ その よう な ウソ を ! ?
( 新田 ) 娘 と 分かった の が 最近 で
説明 し て も 信じ て もらえ る か 不安 だった
だが しかし ! 俺 は もう ためらわ ない と 決め た !
それ って …
( 新田 の 母 ) 待ち なさい 美佳 ( 美佳 ) あっ …
( 新田 の 母 ) あれ は 本気 の 目 だ よ
詳しい 話 は あと で いい
とりあえず ヒナ ちゃん は 実の 娘 な ん だ ね ?
( 新田 ) そうだ
俺 の 娘 だ
あ …
( 美佳 ) 変 な おじさん っぽく 言って
そう です 彼女 が あ たす の 娘 です
ニャハハハハ …
( 新田 の 母 ) 美佳 ( 美佳 ) 分かって る
( 美佳 ) まずは とりあえず
新しく 1 人 増え た 新田 家 の 子供 に 乾杯 だい !
( 美佳 ) 新しい 家族 ヒナ ちゃん に
( 新田 ・ 新田 の 母 ・ 美佳 ) 乾杯 ! ( ヒナ ) あ いった !
( 新田 の 母 ) 父ちゃん
義史 が 孫娘 を 連れ て き た よ
ほら こうして 見る と 目元 が 父ちゃん に 似 てる かも ねえ
( 新田 ) ブハッ 何 だ よ そりゃ
どう し た の ?
( 新田 ) いや … 何でもない
義史 あんた も 挨拶 し な
なあ 親父
顔 を 見せる こと は でき なかった けど あんた に 孫 が でき た ぜ
( 美佳 ) 足り ない 足り ない !
そんな ん じゃ 天国 まで 届か ねえ ぞ ー !
これ から は 新田 家 の 一員 と して ヒナ を よろしく 頼む ぜ ー い !
( 新田 の 母 ) 義史 ( 新田 ) あ …
( 新田 の 母 ) 義史 よ
お前 は ヒナ に ちゃんと 愛情 を 注 い で いる か ね ?
( 新田 ) 注 い で ます !
と いう こと は ~ ?
これ から も 俺 は ヒナ を 大切 に 育て て いく ぜ !
( 美佳 ・ 新田 の 母 ) イエーイ !
( 新田 の 母 ・ 新田 ・ 美佳 ) イエーイ !
イエーイ ! イエーイ !
( 新田 ) オラオラ ヒナ も 天国 の じいさん に 何 か 言って やれ よ !
( 新田 の 母 ・ 美佳 ) カモン ! ( ヒナ ) え …
いや … その …
と …
特に は … ない です
( 新田 ) そう か
( 詩子 ( うた こ ) ) ホームレス の 居場所 を 守れ ー !
( 一同 ) ホームレス の 居場所 を 守れ ー !
( 詩子 ) 公園 が 最後 の とりで だ ー !
( 一同 ) 公園 が 最後 の とりで だ ー !
( 詩子 ) ホームレス の 居場所 を 守れ ー !
( アンズ ) ねえ やっ さん
( やっ さん ) ん ?
( アンズ ) 外 の 人 たち が 言って た の は 何 か 知って る ?
( やっ さん ) ああ …
ん ?
もう 隠し きれ ない か …
え …
( やっ さん ) アンズ ちゃん 心して 聞い て くれ
ん ?
この 公園 に は ―
もう 少し で
住め なく なり ます
えっ …
ええ ー !
( 後藤 ( ご とう ) ) そう か … N アンズ ちゃん に も 伝わった の か
( シゲ さん ) 短い 間 だった けど
アンズ ちゃん が い て くれ て 楽しかった なあ
( 後藤 ) 家 作った とき は ほんと 喜 ん で た な
( ホームレス ) あや とり が あんなに 楽しい と は 思わ なかった よ
( ホームレス ) あった なあ …
そう いえ ば やっ さん
詩子 さん に 頼 ん で た の は どう なった ?
( やっ さん ) アンズ ちゃん を 引き取って くれる 人 は ―
見つかった みたい だ
ここ ら が いい 機会 だ
あの 子 の この先 の 人生 に 俺 たち は いら ない
( 後藤 ) 幸せ に なって もらい たい な
( シゲ さん ) ああ
( トンカチ の 音 )
でき た !
ねえ みんな
アンズ ちゃん
そろそろ 片づけ ない と … N って ―
何 だ そりゃ ?
外 で やって た 人 み たい に 私 たち も やろ う よ
( 後藤 ・ ホームレス ) え ?
あ …
ああ …
フゥ …
そんな こと し たら 捕ま っち まう もう 決まった こと な ん だ
( アンズ ) 何で 諦め ちゃ う の ! ?
( やっ さん ) 何 やって ん だい ? ( アンズ ) あ … やっ さん
( アンズ ) やっ さん は 手伝って くれる よ ね ?
みんな の 家 を 守 ろ う よ !
ハァ …
ん …
残念 だ が
( アンズ ) いい よ … N じゃあ 私 が 何とか する
私 だったら 追 っ 払え る もん !
( やっ さん ) そんな こと し たら アンズ ちゃん が 捕まって しまう
絶対 に ダメ だ
( アンズ ) じゃあ … じゃあ …
この あと 最後 の 打ち上げ を する ん だ
もう 忘れ て 楽しく やろ う
( やっ さん ) それ じゃあ
あと 少し で 私 たち の うち は なくなって しまい ます が ―
それぞれ の 新 天地 を 求め て ―
乾杯 !
( アンズ ) 待って ! ( ホームレス たち ) ん ?
出 て いか なきゃ いけない なら また 別 の 場所 見つけよ う よ
そこ で みんな で 暮ら そ う !
( ホームレス たち ) あ …
( 後藤 ) そりゃ 無理 だ
ここ 以外 大勢 で い られる 所 は ない ん だ
そんな こと ない !
みんな で 探せ ば きっと 見つかる よ !
あ …
くっ …
私 みんな を …
( 後藤 ) もう いいかげん に し て くれ !
みんな みんな って そんな とこ ねえ ん だ !
俺 たち は 自分 1 人 が 精いっぱい な ん だ !
もう ほっと い て くれ !
ハッ …
ん …
( アンズ の すすり泣き )
うわ ー ん !
( やっ さん ) 後藤 さん イヤ な 役 さ せ た な
( 後藤 ) いや そんな いい もん じゃ ない さ
ん ?
( 後藤 ) 自分 が 何も でき ない こと 見せつけ られ てる よう で ―
イラ つい て あた っち まっ た
もう 何度 目 だ ろ う な
ホームレス に なって 後悔 し た の は
クソッ
ん …
アンズ ちゃん …
( 後藤 ) おい やめ とけ
別れ づらく なる から って 話 に なった ろ
う …
( やっ さん ) 詩子 さん あと は …
( 詩子 ) ええ
( やっ さん ) アンズ ちゃん
それ じゃあ ね 達者 で 暮らせ よ
あ …
( すすり泣き )
( シゲ さん ) 大 の 大人 が 泣 い てん じゃ ねえ よ
( 後藤 ) そういう シゲ さん だって 泣 い てん じゃ ねえ か
( シゲ さん ) バカ 野郎 ! って 何 だ やっ さん も か
( 林 ( はやし ) ) この 子 が アンズ ちゃん かい ?
ん っ
あなた を 預かって くれる 来 来 軒 ( ら いらい けん ) の 林 さん 夫妻 よ
今日 から うち で 暮らす と い いよ
( 林 の 妻 ) わ あ …
( 林 ) すごい いでたち だ な
( 詩子 ) それ じゃあ よろしく お 願い し ます
( 林 ) ああ
( 林 ) さあ 召し上がれ
あ … どう した ん だい ?
え …
( 林 の 妻 ) 食べ ない の かい ?
( アンズ ) こんな ごちそう 一体 いくら する の か …
うち の ごはん は タダ だ よ
ちゃ っちゃ と 作った だけ だ けど ―
うれしい ねえ フフッ …
( 茶わん と 箸 を 置く 音 ) ( 林 夫妻 ) ん ?
( 林 ) どう した ん だい ?
( 林 の 妻 ) 口 に 合わ なかった ?
う うん おいしい …
すごく おいしい
( アンズ ) けど … N ( 林 夫妻 ) あっ …
( はな を すする 音 )
( アンズ ) けど …
( すすり泣き )
私 1 人 だけ こんなに おいしい ごはん 食べ て て いい の か な …
みんな バラバラ に なって 1 人 に なって る のに …
私 1 人 だけ …
う っ …
( 林 の 妻 ) アンズ ちゃん
あまり 考え ない ほう が いい
( 林 ) 横 に なった ほう が いい か ね
( 林 の 妻 ) アンズ ちゃん 大丈夫 かしら
こういう の は 時間 が かかる
しばらく は 待つ しか ない だ ろ
でも な ―
あの 子 は いい 子 だ と 思う
俺 は できる だけ 力 に なって やり たい と 思った よ
あれ ?
あ … そ っか …
もう 空き缶 拾い に 行か なく て も いい ん だ
これ から 何 し たら いい の か 分か ん ない よ
やっ さん …
( 林 夫妻 ) ん ?
ああ アンズ ちゃん おはよう
何 やって る の ?
( 林 の 妻 ) これ から 店 開け て 仕事 な の よ
仕事 …
( アンズ ) 私 も やる ( 林 夫妻 ) え …
別に 気 を 使わ なく て も いい ん だ よ
( アンズ ) う うん
仕事 し て お 金 もらう から ごはん 食べ られる ん だ もん
もう そんな こと し なく て も …
( 林 ) 待て 母さん ( 林 の 妻 ) ん ?
そりゃ 誰 か に 教わった の かい ?
やっ さん が 教え て くれ た
それ じゃ やって みる か
えっ ? あんた …
アンズ ちゃん の 中 に は ちゃんと やっ さん の 教え が 生き てる ん だ
いい こと じゃ ねえ か
えっ … 私 の 中 に ?
( 林 ) そうだ よ
ちゃんと 息づ い てる じゃ ない か
やっ さん だけ じゃ ない みんな に いろいろ 教え て もらった
シゲ さん に は 雑誌 の 売り 方 教え て もらった
瞳 ( ひとみ ) に は 空き缶 の 場所 教え て もらった
みんな に は 家 の 作り 方 と か …
ほか に も ほか に も …
そう かい 人 は 1 人 じゃ 生き て いけ ねえ から なあ
アンズ ちゃん の 中 に は 大勢 の 人 が いる ん だ
私 は 1 人 じゃ ない の ?
これ から は 俺 たち が いろいろ 教え て やる
そう やって どんどん 増え て くん だ
それ に きっと アンズ ちゃん も みんな の 中 に いる
私 教え て もらう だけ だった よ
( 林 ) それ だけ じゃ ない ん だ ( アンズ ) え ?
アンズ ちゃん と 今 まで 過ごし た 思い出 が ―
みんな の 中 に ある
じゃあ …
じゃあ …
( やっ さん ) や あ シゲ さん も い た の かい
おお やっ さん
あ …
気 に なって ん の か アンズ ちゃん の こと
やっぱり 分かる かい ?
僕ら の こと を 忘れ て ほしく て あっさり 別れ た けど ―
僕ら は 大 なり 小 なり 間違え て き た から ―
また 間違え た かも しれ ない と 思って ね …
( シゲ さん ) でも 俺 は こう 思った よ
ん ?
俺 たち に も まだ 泣 い て くれる 人 が いる ん だ
もう ち っと 生き て みる かって なあ
( 2 人 ) フフ …
( アンズ ) じゃあ … じゃあ …
みんな も 1 人 じゃ ない の ?
( 林 ) そうだ よ
みんな も 1 人 じゃ ない
( アンズ の すすり泣き )
( 林 夫妻 ) あ …
ヘヘッ … エヘヘ …
うん !
( 林 の 妻 ) ちょっと ティッシュ ティッシュ
( 林 ) あ … 俺 に も くん ない ?
( すすり泣き )
( 林 ) ほら
そんなに 泣 い て ちゃ 仕事 でき ない ぞ
( アンズ ) うん …
♪~
~♪
( 新田 ) 次回 …