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2 - Harry Potter, 7.2 穢れた血と幽かな声 - Mudbloods and Murmurs

7.2 穢れた血と幽かな声 - Mudbloods and Murmurs

森 番 の 小屋 が 見えて きた 。

「 もう すぐ よ 、 ロン 。 すぐ 楽に なる から ...... もう すぐ そこ だ から ......」

ハーマイオニー が ロン を 励ました 。

あと 五 、 六 メートル と いう とき に 、 小屋 の 戸 が 開いた 。

が 、 中 から 出て きた の は ハグリッド で は なかった 。 今日 は 薄い 藤 色 の ローブ を 纏って 、 ロッ クハート が さっそうと 現れた 。

「 早く 、 こっち に 隠れて 」

ハリー は そう ささやいて 、 脇 の 茂み に ロン を 引っ執り 込んだ 。 ハーマイオニー は なんだか 渋々 従った 。

「 やり 方 さえ わかって いれば 簡単な こと です よ 」

ロック ハート が 声高に ハグリッド に 何 か 言って いる 。

「 助けて ほしい こと が あれば 、 いつでも 私 の ところ に いらっしゃい ! 私 の 著書 を 一 冊 進呈 しましょう ―― まだ 持って いない と は 驚きました ね 。 今夜 サイン を して 、 こちら に 送ります よ 。 で は 、 お 暇 しましょう !」 ロック ハート は 城 の 方 に さっそうと 歩き 去った 。 ハリー は ロックハート の 姿 が 見え なる なる まで 待って 、 それ から ロン を 茂み の 中 から 引っ張 り 出し 、 ハグリッド の 小屋 の 戸口 まで 連れて 行った 。 そして 慌 しく 戸 を 叩いた 。

ハグリッド が すぐに 出て きた 。 不機嫌な 顔 だった が 、 客 が 誰 だ か わかった 途端 、 パッと 顔 が 輝いた 。

「 いつ 来る ん か 、 いつ 来る ん か と 待っとった ぞ ―― さあ 入った 、 入った ―― 実は ロックハー ト 先生 が ま ー た 来た か と 思った んで な 」 ハリー と ハーマイオニー は ロン を 抱えて 敶居 を またが せ 、 一 部屋 しか ない 小屋 に 入った 。 片隅 に は 巨大な ベッド が あり 、 反対の 隅 に は 楽しげに 暖炉 の 火 が はぜて いた 。

ハリー は ロン を 椅 す に 座ら せ ながら 、 手短 か に 事情 を 説明 した が 、 ハグリッド は ロン の ナメ クジ 問題 に まった 動じ なかった 。

「 出て こん より は 出た 方 が ええ 」

ロン の 前 に 大きな 銅 の 洗面 器 を ボン と 置き 、 ハグリッド は 朗らかに 言った 。

「 ロン 、 みんな 吐 いっち まえ 」

「 止まる の を 待つ ほか 手 が ない と 思う わ 」

洗面 器 の 上 に かがみ 込んで いる ロン を 心配 そうに 見 ながら ハーマイオニー が 言った 。

「 あの 呪いって 、 ただ で さえ 難しい の よ 。 まして 杖 が 折れて たら ......」

ハグリッド は いそいそ と お茶 の 用意 に 飛び回った 。 ハグリッド の 犬 、 ボアハウンド の ファン グ は ハリー を 涎 で べとべと に して いた 。

「 ねえ 、 ハグリッド 、 ロックハート は なんの 用 だった の ?」

ファング の 耳 を カリカリ 指 で 撫で ながら ハリー が 聞いた 。

「 井戸 の 中 から 水 魔 を 追っ払う 方法 を 俺 に 数えよう と して な 」 唸る ように 答え ながら 、 ハグリッド は しっかり 洗い 込ま れた テーブル から 、 羽 を 半分 むしり かけ の 雄鶏 を 取りのけて 、 ティーポット を そこ に 置いた 。 「 まるで 俺 が 知ら ん と でも いう ように な 。 その 上 、 自分 が 泣き 妖怪 と か なんとか を 追っ払った 話 を 、 さんざ ぶち上げ とった 。 やっこ さん の 言っと る こと が 一 つ でも ほんとだったら 、 俺 は へそ で 茶 を 沸かして みせる わ い 」 ホグワーツ の 先生 を 批判 する なんて 、 まったく ハグリッド らしく なかった 。 ハリー は 驚いて ハグリッド を 見つめた 。

ハーマイオニー は いつも より ちょっと 上ずった 声 で 反論 した 。

「 それって 、 尐 し 偏見 じゃ ない かしら 。 ダンブルドア 先生 は 、 あの 先生 が 一 番 適任だ と お 考 え に なった わけだ し ――」

「 この 仕事 を 引き受ける と 言った の は あいつ だけ だった んだ 」

ハグリッド は 糖 蜜 ヌガー を 皿 に 入れて 三 人 に すすめ ながら 言った 。

ロン が その 脇 で ゲボゲボ と 咳き込み ながら 洗面 器 に 吐いて いた 。

「 他 に は だれ も おら ん かった 。 闇 の 魔術 の 先生 を する もん を 探す の が 難しく なっち ょる 。 だ ー れ も 進んで そんな こと を やろう と せ ん 。 な ? みんな こりゃ 縁起 が 悪い と 思い はじめた な 。 ここん とこ 、 だ ー れ も 長続き した もん は おら ん しな 。 それ で ? やっこ さん 、 誰 に 呪い を かける つもりだった ん かい ? ハグリッド は ロン の 方 を 顎 で 指し ながら ハリー に 聞いた 。 「 マルフォイ が ハーマイオニー の こと を なんとかって 呼んだ んだ 。 ものすごく ひどい 悪 口 な んだ と 思う 。 だって 、 みんな かんかんだった もの 」

「 ほんとに ひどい 悪 口 さ 」

テーブル の 下 から ロン の 汗 だらけ の 青い 顔 が ひ ょいっと 現れ 、 しゃが れ 声 で 言った 。 「 マルフォイ の やつ 、 彼女 の こと 『 穢 れた 血 』って 言った んだ よ 、 ハグリッド ――」 ロン の 顔 が また ひょいと テーブル の 下 に 消えた 。 次の ナメクジ の 波 が 押し寄せて きた のだ 。

ハグリッド は 大 憤慨 して いた 。

「 そんな こと 、 ほんとうに 言う た の か ?」 と ハーマイオニー の 方 を 見て 唸り 声 を あげた 。

「 言った わ よ 。 でも 、 どういう 意味 だ か わたし は 知ら ない 。 もちろん 、 ものすごく 失礼な 言 葉 だ と いう こと は わかった けど ......」

「 あいつ の 思いつく かぎり 最悪 の 侮辱 の 言葉 だ 」 ロン の 顔 が また 現れて 絶叫 した 。

「『 穢 れた 血 』って 、 マグル から 生まれたって いう 意味 の ―― つまり 両親 と も 魔法使い じゃ ない 者 を 指す 最低の 汚らわしい 呼び 方 な んだ 。 魔法使い の 中 に は 、 たとえば マルフォイ 一族 みたいに 、 みんな が 『 純血 』って 呼ぶ もの だ から 、 自分 たち が 誰 より も 偉いって 思って いる 連中 が いる んだ 」 ロン は 小さな ゲップ を した 。 ナメクジ が 一 匹 だけ 飛び出し 、 ロン の 伸ばした 手 の 中 に スポッ と 落ちた 。

ロン は それ を 洗面 器 に 投げ込んで から 話 を 続けた 。

「 もちろん 、 そういう 連中 以外 は 、 そんな こと まったく 関係ないって 知って る よ 。 ネビル ・ ロングボトム を 見て ごらん よ ―― あいつ は 純血 だ けど 、 鍋 を 逆さまに 火 に かけたり し かね な い ぜ 」

「 それ に 、 俺 たち の ハーマイオニー が 使え ねえ 呪文 は 、 今 まで に ひとっつ も なかった ぞ 」 ハグリッド が 誇らしげに 言った ので 、 ハーマイオニー は パーッ と 頬 を 紅潮 さ せた 。 「 他人 の こと を そんなふうに ののしる なんて 、 むかつく よ 」 ロン は 震える 手 で 汗 びっしょり の 額 を 拭い ながら 話し 続けた 。

「『 穢 れた 血 』 だ なんて 、 まったく 。 卑しい 血 だ なんて 。 狂って る よ 。 どうせ 今どき 、 魔法 使い は ほとんど 混血 な んだ ぜ 。 もし マグル と 結婚 して なかったら 、 僕たち とっくに 絶滅 し ちゃって たよ 」 ゲーゲー が 始まり 、 またまた ロン の 顔 が ひょいと 消えた 。 「 ウーム 、 そりゃ 、 ロン 、 やつ に 呪い を かけ たく なる の も 無理 は ねぇ 」

大量の ナメクジ が 、 ドサドサ と 洗面 器 の 底 に 落ちる 音 を 、 かき消す ような 大声 で ハグリッド が 言った 。

「 だけ ん ど 、 おまえ さん の 杖 が 逆 噴射 した の は かえって よかった かも しれ ん 。 ルシウス ・ マ ルフォイ が 、 学校 に 乗り込んで きおった かも しれ ん ぞ 、 おまえ さん が やつ の 息子 に 呪い を か けっち まって たら 。 尐 なく と も おまえ さん は 面倒に 巻き込ま れ ず に すんだっちゅうもん だ 」 ナメクジ が 次々 と 口 から 出て くる だけ でも 十分 面倒だ けど ―― と ハリー は 言い そうに なった が 、 言え なかった 。 ハグリッド の くれた 糖 蜜 ヌガー が 上顎 と 下顎 を セメント の ように がっちり 接着 して しまって いた 。

「 ハリー ――」 ふいに 思い出した ように ハグリッド が 言った 。

「 おまえ さん に もちい と 小言 を 言う ぞ 。 サイン 入り の 写真 を 配っと る そう じゃ ない か 。 なん で 俺 に 1 枚 くれ ん の かい ?」

ハリー は 怒り に まかせて 、 くっついた 歯 を ぐ いと こじ開けた 。

「 サイン 入り の 写真 なんて 、 僕 、 配って ない 。 もし ロック ハート が まだ そんな こと 言いふら して ......」

ハリー は むき に なった 。 ふと ハグリッド を 見る と 、 笑って いる 。

「 からかった だけ だ 」

ハグリッド は 、 ハリー の 背中 を 優しく ボンボン 叩いた 。

おかげ で ハリー は テーブル の 上 に 鼻 から 先 に つんのめった 。

「 おまえ さん が そんな こと を せ ん の は わかっと る 。 ロック ハート に 言って やった わ 。 なん に も せ ん でも 、 おまえ さん はやっこ さん より 有名 だって 」 「 ロック ハート は 気 に 入ら ないって 顔 した でしょう 」 ハリー は 顎 を さすり ながら 体 を 立て直した 。 「 ああ 、 気 に 入ら んだ ろ 」 ハグリッド の 目 が いたずらっぽく キラキラ した 。 「 それ から へ 俺 は あんた の 本 など ひとっつ も 読 ん どら ん と 言って やった 。 そ したら 帰って 行 きおった 。 ほ い 、 ロン 、 糖 蜜 ヌガー 、 どう だ ?」

ロン の 顔 が また 現れた ので 、 ハグリッド が すすめた 。

「 いら ない 。 気分 が 悪い から 」 ロン が 弱々しく 答えた 。

「 俺 が 育てて る モン 、 ちょいと 見 に こい や 」

ハリー と ハーマイオニー が お 茶 を 飲み 終わった の を 見て 、 ハグリッド が 誘った 。

ハグリッド の 小屋 の 裏 に ある 小さな 野菜 畑 に は 、 ハリー が 見た こと も ない ような 大きい か ぼ ちゃ が 十 数 個 あった 。 一つ一つ が 大岩 の ようだった 。

「 よ ー く 育っと ろう ? ハロウィーン の 祭 用 だ ...... そのころ まで に は いい 大き さ に なる ぞ 」 ハ グリッド は 幸せ そうだった 。 「 肥料 は 何 を やって る の ?」 と ハリー が 聞いた 。

ハグリッド は 肩 越し に チラッ と 振り返り 、 誰 も いない こと を 確かめた 。 「 その 、 やっとる もん は ―― ほれ ―― ち ーっと 手助け して やっとる 」 ハリー は 、 小屋 の 裏 の 壁 に 、 ハグリッド の ピンク の 花 模様 の 傘 が 立てかけて ある のに 気づ い た 。 ハリー は 以前 に 、 ある こと から 、 この 傘 が 見かけ と は かなり 違う もの だ と 思った こと が あった 。 実は 、 ハグリッド の 学生 時代 の 杖 が 中 に 隠されて いる ような 気 が して なら なかった 。 ハグリッド は 魔法 を 使って は いけない こと に なって いる 。 三 年生 の とき に ホグワーツ を 退学 に なった のだ 。

なぜ な の か 、 ハリー に は いまだに わから なかった ―― ちょっと でも その こと に 触れる と 、 ハ グリッド は 大きく 咳払い を して 、 なぜ か 急に 耳 が 聞こえ なく なって 、 話題 が 変わる まで だま で 黙りこくって しまう のだ 。

「『 肥 ら せ 魔法 』 じゃ ない ? とにかく 、 ハグリッドったら 、 とっても 上手に やった わ よ ね 」 ハーマイオニー は 半分 非難 して いる ような 、 半分 楽しんで いる ような 言い 方 を した 。 「 おまえ さん の 妹 も そう 言い おった よ 」 ハグリッド は ロン に 向かって 領 いた 。

「 つい 昨日 会った ぞい 」 ハグリッド は 髭 を ピクビク さ せ ながら ハリー を 横目 で 見た 。

「 ぶらぶら 歩いて いる だけ だって 言っとった が な 、 俺 が 思う に 、 あり や 、 この 家 で 誰 かさん と ばったり 会える かも しれ んって 思っとった な 」 ハグリッド は ハリー に ウィンク した 。 「 俺 が 思う に 、 あの 子 は 欲しがる ぞ 、 おまえ さん の サイン 入り の ――」 「 やめて くれよ 」 ハリー が そう 言う と 、 ロン は ブーッ と 吹き出し 、 そこら 中 に ナメクジ を 撒き散らした 。 「 気 ー つけろ !」

ハグリッド は 大声 を 出し 、 ロン を 大切な かぼちゃ から 引き離した 。

そろそろ 昼食 の 時間 だった 。

ハリー は 夜明け から 今 まで 、 糖 蜜 ヌガー を ひと かけら 口 に した だけ だった ので 、 早く 学校 に 戻って 食事 を し たかった 。

ハグリッド に さよなら を 言い 、 三 人 は 城 へ と 歩いた 。 ロン は 時々 しゃっくり を した が 、 小さな ナメクジ が 二 匹 出て きた だけ だった 。 ひんやり した 玄関 ホール に 足 を 踏み入れた 途端 、 声 が 響いた 。 「 ポッター 、 ウィーズリー 、 そこ に いました か 」 マクゴナガル 先生 が 厳しい 表情 で こちら に 歩いて きた 。 「 二 人 と も 、 処罰 は 今夜 に なります 」 「 先生 、 僕たち 、 何 を する んでしょう か ?」 ロン が なんとか ゲップ を 押し殺し ながら 聞い た 。 「 あなた は 、 フィルチ さん と 一緒に トロフィー ・ ルーム で 銀 磨き です 。 ウィーズリー 、 魔法 は ダメです よ 。 自分 の 力 で 磨く のです 」

ロン は 絶句 した 。 管理人 の アーガス ・ フィルチ は 学校 中 の 生徒 から ひどく 嫌われて いる 。 「 ポッター 。 あなた は ロックハート 先生 が ファンレター に 返事 を 書く の を 手伝い なさい 」

「 えーっ、 そんな ...... 僕 も トロフィー ・ ルーム の 方 で は いけません か ?」 ハリー が 絶望 的な 声 で 頼んだ 。 「 もちろん いけません 」 マクゴナガル 先生 は 眉 を 吊り上げ た 。 「 ロック ハート 先生 は あなた を 特に ご 指名 です 。 二 人 と も 、 八 時 きっかり に 」

ハリー と ロン は がっくり と 肩 を 落とし 、 うつむき ながら 大広間 に 入って 行った 。

ハーマイオニー は 「 だって 校則 を 破った んでしょ 」 と いう 顔 を して 後ろ から ついてきた 。

ハリー は シェパード ・ パイ を 見て も 思った ほど 食欲 が わか なかった 。

二 人 と も 自分 の 方 が 最悪の 貧乏 くじ を 引いて しまった と 感じて いた 。

「 フィルチ は 僕 を 一晩 中 放して くれ ない よ 」 ロン は 滅入って いた 。

「 魔法 なし だ なんて ! あそこ に は 銀杯 が 百 個 は ある ぜ 。 僕 、 マグル 式 の 磨き 方 は 苦手な んだ よ 」

「 いつでも 代わって やる よ 。 ダーズリー の ところ で さんざん 訓練 されて る から 」 ハリー も うつろな 声 を 出した 。 「 ロック ハート に 来た ファンレター に 返事 を 書く なんて ...... 最低だ よ ......」

土曜日 の 午後 は まるで 溶けて 消え去った ように 過ぎ 、 あっという間 に 八 時 は あと 五 分 後 に 迫って いた 。

ハリー は 重い 足 を 引きずり 、 三 階 の 廊下 を 歩いて ロック ハート の 部屋 に 着いた 。

ハリー は 歯 を 食いしばり 、 ドア を ノック した 。

ドア は すぐに パッと 開か れ 、 ロックハート が ニッコリ と ハリー を 見下ろした 。

「 おや 、 いたずら 坊主 の お出まし だ ! 入り なさい 。 ハリー 、 さあ 中 へ 」

壁 に は 額 入り の ロック ハート の 写真 が 数え 切れ ない ほど 飾って あり 、 たくさんの 蝋燭 に 照ら されて 明るく 輝いて いた 。 サイン 入り の もの も いくつか あった 。 机 の 上 に は 、 写真 が もう 一 山 、 積み上げられて いた 。 「 封筒 に 宛名 を 書か せて あげましょう !」 まるで 、 こんな すばらしい もてなし は ないだ ろ う 、 と 言わんばかり だ 。 「 この 最初の は 、 グラディス ・ ガージョン 。 幸いなる かな ―― 私 の 大 ファン で ね 」

時間 は のろのろ と 過ぎた 。 ハリー は 時々 「 う ー 」 と か 「 えー 」 と か 「 は ー 」 と か 言い なが ら 、 ロックハート の 声 を 聞き流して いた 。

時々 耳 に 入って きた 台詞 は 、「 ハリー 、 評判 なんて 気まぐれな もの だ よ 」 と か 「 有名 人 らし い 行為 を する から 有名 人 な のだ よ 。 覚えて おき なさい 」 など だった 。

蝋燭 が 燃えて 、 炎 が だんだん 低く なり 、 ハリー を 見つめて いる ロック ハート の 写真 の 顔 の 上 で 光 が 踊った 。

もう 千 枚 目 の 封筒 じゃ ない だろう か と 思い ながら 、 ハリー は 痚 む 手 を 動かし 、 ベロニカ ・ ス メスリー の 住所 を 書いて いた ―― もう そろそろ 帰って も いい 時間 の はずだ ―― どうぞ 、 そろ そろ 時間 に な ?ます よう ...... ハリー は 惨めな 気持 で そんな こと を 考えて いた 。 その とき 、 何 か が 聞こえた ―― 消え かかった 蝋燭 が 吐き出す 音 で は なく 、 ロックハート が ファン 自慢 を ペチャクチャ しゃべる 声 で も ない 。

それ は 声 だった ―― 骨 の 髄 まで 凍ら せる ような 声 。 息 が 止まる ような 、 氷 の ように 冷たい 毒 の 声 。

「 来る んだ ...... 俺 様 の ところ へ ...... 引き裂いて やる ...... 八 つ 裂き に して やる ...... 殺して やる ......」

ハリー は 飛び上がった 。 ベロニカ ・ スメスリー の 住所 の 丁目 の ところ に ライラック 色 の 滲 み が できた 。

「 なん だって ?」 ハリー が 大声 で 言った 。 「 驚いたろう ? 六 ヶ月 連続 ベストセラー 入り ! 新 記録 です !」 ロックハート が 答えた 。 「 そう じゃ なくて 、 あの 声 ?」 ハリー は 我 を 忘れて 叫んだ 。 「 えっ?」 ロックハート は 不審 そうに 聞いた 。 「 どの 声 ?」

「 あれ です ―― 今 の あの 声 です ―― 聞こえ なかった んです か ?」 ロックハート は 唖然と して ハリー を 見た 。

「 ハリー 、 いったい なん の こと か ね ? 尐 し トロトロ して きた んじゃ ない の かい ? おや まあ 、 こんな 時間 だ ! 四 時間 近く ここ に いた の か ? 信じられません ね ―― 矢 の ように 時間 が たち ま したね ?」 ハリー は 答え なかった 。 じっと 耳 を すませて もう 一 度 あの 声 を 聞こう と して いた 。 しかし 、 もう なんの 音 も し なかった 。

ロック ハート が 「 処罰 を 受ける 時 いつも こんなに いい 目 に 遭う と 期待 して は いけない よ 」 と ハリー に 言って いる だけ だった 。

ハリー は ぼ ーっと した まま 部屋 を 出た 。 もう 夜 も ふけて いた ので 、 グリフィンドール の 談話 室 は がらんと して いた 。

ハリー は まっすぐ 自分 の 部屋 に 戻った 。 ロン は まだ 戻って い なかった 。 ハリー は パジャマ に 着替え 、 ベッド に 入って ロン を 待った 。

三十 分 も たったろう か 、 右腕 を さすり さ すり 、 暗い 部屋 に 銀 磨き 粉 の 強れつな 臭い を 漂わせ ながら 、 ロン が 戻って きた 。

「 体中 の 筋肉 が 硬直 しちゃった よ 」 ベッド に ドサリ と 身 を 横たえ ながら ロン が 捻った 。 「 あの クィディッチ 杯 を 十四 回 も 麿 か せら れた んだ ぜ 。 やつ が もう いいって 言う まで 。 そし たら 今度 は ナメクジ の 発作 さ 。 『 学校 に 対する 特別 功労 賞 』 の 上 に べっとり だ よ 。 あの ネト ネト を 拭き取る のに 時間 の かかった こと ...... ロックハート は どう だった ?」

ネビル 、 ディーン 、 シュー マス を 起こさ ない ように 低い 声 で 、 ハリー は 自分 が 聞いた 声 の こ と を 、 その 通り に ロン に 話した 。

「 それ で 、 ロックハート は その 声 が 聞こえ ないって 言った の かい ?」 月 明り の 中 で ロン の 顔 が 曇った の が ハリー に は わかった 。 「 ロック ハート が 嘘 を ついて いた と 思う ? でも わから ない なあ ―― 姿 の 見え ない 誰 か だっと して も 、 ドア を 開け ない と 声 が 聞こえ ない はずだ し 」 と ロン が 言った 。 「 そうだ よ ね 」 四 本 柱 の ベッド に 仰向け に なり 、 ベッド の 天 蓋 を 見つめ ながら 、 ハリー が つぶやいた 。 「 僕 に も わから ない 」

7.2 穢れた血と幽かな声 - Mudbloods and Murmurs あい れた ち と ゆう かな こえ|mudbloods||murmurs 7.2 Schlammblüter und Murmeln - Schlammblüter und Murmeln 7.2 Mudbloods and Murmurs 7.2 Sang de boue et murmures - Sang de boue et murmures 7.2 Mudbloods and Murmurs - Mudbloods and Murmurs 7.2 Mudbloods and Murmurs - Mudbloods and Murmurs

森 番 の 小屋 が 見えて きた 。 しげる|ばん||こや||みえて| I could see the woodsman's hut.

「 もう すぐ よ 、 ロン 。 "Soon, Ron. すぐ 楽に なる から ...... もう すぐ そこ だ から ......」 |らくに||||||| It will all go away soon. ...... It's just around the corner. ......"

ハーマイオニー が ロン を 励ました 。 ||||はげました Hermione encouraged Ron.

あと 五 、 六 メートル と いう とき に 、 小屋 の 戸 が 開いた 。 |いつ|むっ|めーとる|||||こや||と||あいた When I was only five or six meters away, the door to the cabin opened.

が 、 中 から 出て きた の は ハグリッド で は なかった 。 |なか||でて||||||| But it wasn't Hagrid who emerged from inside. 今日 は 薄い 藤 色 の ローブ を 纏って 、 ロッ クハート が さっそうと 現れた 。 きょう||うすい|ふじ|いろ||||まとって|||||あらわれた Today, Lockhart came out of the woodwork wearing a light wisteria robe.

「 早く 、 こっち に 隠れて 」 はやく|||かくれて Quick, hide over here.

ハリー は そう ささやいて 、 脇 の 茂み に ロン を 引っ執り 込んだ 。 ||||わき||しげみ||||ひ っ とり|こんだ Harry whispered and pulled Ron into the bushes beside him. ハーマイオニー は なんだか 渋々 従った 。 |||しぶしぶ|したがった Hermione kind of balked and complied.

「 やり 方 さえ わかって いれば 簡単な こと です よ 」 |かた||||かんたんな||| "It's easy as long as you know how to do it."

ロック ハート が 声高に ハグリッド に 何 か 言って いる 。 ろっく|はーと||こわだかに|||なん||いって| Lockhart is saying something to Hagrid out loud.

「 助けて ほしい こと が あれば 、 いつでも 私 の ところ に いらっしゃい ! 私 の 著書 を 一 冊 進呈 しましょう ―― まだ 持って いない と は 驚きました ね 。 たすけて||||||わたくし|||||わたくし||ちょしょ||ひと|さつ|しんてい|し ましょう||もって||||おどろき ました| If you need help, come to me anytime and I'll give you a copy of my book - I'm surprised you don't have it already. 今夜 サイン を して 、 こちら に 送ります よ 。 こんや|さいん|||||おくり ます| I'll sign it tonight and send it to you. で は 、 お 暇 しましょう !」  ロック ハート は 城 の 方 に さっそうと 歩き 去った 。 |||いとま|し ましょう|ろっく|はーと||しろ||かた|||あるき|さった Lockhart walked briskly off toward the castle. ハリー は ロックハート の 姿 が 見え なる なる まで 待って 、 それ から ロン を 茂み の 中 から 引っ張 り 出し 、 ハグリッド の 小屋 の 戸口 まで 連れて 行った 。 ||||すがた||みえ||||まって|||||しげみ||なか||ひっぱ||だし|||こや||とぐち||つれて|おこなった Harry waited until Lockhart was out of sight, then he pulled Ron out of the bushes and took him to Hagrid's cabin door. そして 慌 しく 戸 を 叩いた 。 |こう||と||たたいた And then he hastily slammed the door.

ハグリッド が すぐに 出て きた 。 |||でて| Hagrid came out right away. 不機嫌な 顔 だった が 、 客 が 誰 だ か わかった 途端 、 パッと 顔 が 輝いた 。 ふきげんな|かお|||きゃく||だれ||||とたん|ぱっと|かお||かがやいた His face was grim, but as soon as he realized who the guest was, it lit up.

「 いつ 来る ん か 、 いつ 来る ん か と 待っとった ぞ ―― さあ 入った 、 入った ―― 実は ロックハー ト 先生 が ま ー た 来た か と 思った んで な 」  ハリー と ハーマイオニー は ロン を 抱えて 敶居 を またが せ 、 一 部屋 しか ない 小屋 に 入った 。 |くる||||くる||||ま っと った|||はいった|はいった|じつは|||せんせい|||-||きた|||おもった|||||||||かかえて|敶きょ||また が||ひと|へや|||こや||はいった Harry and Hermione took Ron by the arm and led him across the hallway and into the one-room cabin. 片隅 に は 巨大な ベッド が あり 、 反対の 隅 に は 楽しげに 暖炉 の 火 が はぜて いた 。 かたすみ|||きょだいな|べっど|||はんたいの|すみ|||たのしげに|だんろ||ひ||| In one corner was a huge bed, and in the opposite corner a fireplace was happily smoldering.

ハリー は ロン を 椅 す に 座ら せ ながら 、 手短 か に 事情 を 説明 した が 、 ハグリッド は ロン の ナメ クジ 問題 に まった 動じ なかった 。 ||||い|||すわら|||てみじか|||じじょう||せつめい|||||||||もんだい|||どうじ| Harry sat Ron down on the chair and briefly explained the situation, but Hagrid remained unmoved by Ron's slug problem.

「 出て こん より は 出た 方 が ええ 」 でて||||でた|かた|| "It's better to be out than not to be out."

ロン の 前 に 大きな 銅 の 洗面 器 を ボン と 置き 、 ハグリッド は 朗らかに 言った 。 ||ぜん||おおきな|どう||せんめん|うつわ||ぼん||おき|||ほがらかに|いった Placing a large copper basin in front of Ron, Hagrid said cheerfully, "I'll be right back.

「 ロン 、 みんな 吐 いっち まえ 」 ||は|| "Ron, everybody throw up."

「 止まる の を 待つ ほか 手 が ない と 思う わ 」 とまる|||まつ||て||||おもう| "I don't think there's anything else we can do except wait for it to stop."

洗面 器 の 上 に かがみ 込んで いる ロン を 心配 そうに 見 ながら ハーマイオニー が 言った 。 せんめん|うつわ||うえ|||こんで||||しんぱい|そう に|み||||いった Hermione looked worriedly at Ron, who was bent over a washbasin.

「 あの 呪いって 、 ただ で さえ 難しい の よ 。 |まじない って||||むずかしい|| That curse is even difficult to obtain for free. まして 杖 が 折れて たら ......」 |つえ||おれて| And if your cane is broken, ......"

ハグリッド は いそいそ と お茶 の 用意 に 飛び回った 。 ||||おちゃ||ようい||とびまわった Hagrid scurried off to get the tea ready. ハグリッド の 犬 、 ボアハウンド の ファン グ は ハリー を 涎 で べとべと に して いた 。 ||いぬ|||ふぁん|||||よだれ||||| Hagrid's dog, Fang the boarhound, was drooling all over Harry.

「 ねえ 、 ハグリッド 、 ロックハート は なんの 用 だった の ?」 |||||よう|| "Hey, Hagrid, what did Lockhart want?"

ファング の 耳 を カリカリ 指 で 撫で ながら ハリー が 聞いた 。 ||みみ|||ゆび||なで||||きいた Harry asked Fang, stroking his fingers over his ears.

「 井戸 の 中 から 水 魔 を 追っ払う 方法 を 俺 に 数えよう と して な 」  唸る ように 答え ながら 、 ハグリッド は しっかり 洗い 込ま れた テーブル から 、 羽 を 半分 むしり かけ の 雄鶏 を 取りのけて 、 ティーポット を そこ に 置いた 。 いど||なか||すい|ま||お っ はらう|ほうほう||おれ||かぞえよう||||うなる||こたえ|||||あらい|こま||てーぶる||はね||はんぶん||||おんどり||とりのけて|||||おいた With a snarl, Hagrid removed a half-plucked rooster from a well-washed table and placed a teapot on it. 「 まるで 俺 が 知ら ん と でも いう ように な 。 |おれ||しら|||||| "It's as if you don't know me. その 上 、 自分 が 泣き 妖怪 と か なんとか を 追っ払った 話 を 、 さんざ ぶち上げ とった 。 |うえ|じぶん||なき|ようかい|||||つい っ はらった|はなし|||ぶちあげ| And then, he was blabbing on about how he got rid of the crying monster or something. やっこ さん の 言っと る こと が 一 つ でも ほんとだったら 、 俺 は へそ で 茶 を 沸かして みせる わ い 」  ホグワーツ の 先生 を 批判 する なんて 、 まったく ハグリッド らしく なかった 。 や っこ|||げん っと||||ひと||||おれ||||ちゃ||わかして||||||せんせい||ひはん|||||| It was so unlike Hagrid to criticize a Hogwarts teacher. ハリー は 驚いて ハグリッド を 見つめた 。 ||おどろいて|||みつめた Harry looked at Hagrid in surprise.

ハーマイオニー は いつも より ちょっと 上ずった 声 で 反論 した 。 |||||うわずった|こえ||はんろん| Hermione retorted in a slightly higher voice than usual.

「 それって 、 尐 し 偏見 じゃ ない かしら 。 それ って|||へんけん||| Isn't that a bit prejudiced? ダンブルドア 先生 は 、 あの 先生 が 一 番 適任だ と お 考 え に なった わけだ し ――」 |せんせい|||せんせい||ひと|ばん|てきにんだ|||こう||||| Professor Dumbledore thought he was the most qualified for the job.

「 この 仕事 を 引き受ける と 言った の は あいつ だけ だった んだ 」 |しごと||ひきうける||いった|||||| He was the only one who said he would take the job."

ハグリッド は 糖 蜜 ヌガー を 皿 に 入れて 三 人 に すすめ ながら 言った 。 ||とう|みつ|||さら||いれて|みっ|じん||||いった Hagrid put the molasses nougat in a dish and offered it to the three of them.

ロン が その 脇 で ゲボゲボ と 咳き込み ながら 洗面 器 に 吐いて いた 。 |||わき||||せきこみ||せんめん|うつわ||はいて| Ron was standing beside him, coughing and coughing and throwing up in the sink.

「 他 に は だれ も おら ん かった 。 た||||||| "There was no one else. 闇 の 魔術 の 先生 を する もん を 探す の が 難しく なっち ょる 。 やみ||まじゅつ||せんせい|||||さがす|||むずかしく|な っち| It's getting harder and harder to find a teacher of the dark arts. だ ー れ も 進んで そんな こと を やろう と せ ん 。 |-|||すすんで||||||| No one is willing to do that. な ? みんな こりゃ 縁起 が 悪い と 思い はじめた な 。 |||えんぎ||わるい||おもい|| People are starting to think this is bad luck. ここん とこ 、 だ ー れ も 長続き した もん は おら ん しな 。 |||-|||ながつづき|||||| None of them have lasted long enough these days. それ で ? やっこ さん 、 誰 に 呪い を かける つもりだった ん かい ?  ハグリッド は ロン の 方 を 顎 で 指し ながら ハリー に 聞いた 。 ||や っこ||だれ||まじない||||||||||かた||あご||さし||||きいた Hagrid pointed with his chin in Ron's direction and asked Harry, "So, Mr. Yakko, who did you intend to hex? 「 マルフォイ が ハーマイオニー の こと を なんとかって 呼んだ んだ 。 ||||||なんとか って|よんだ| Malfoy called Hermione something. ものすごく ひどい 悪 口 な んだ と 思う 。 ||あく|くち||||おもう I think it's a very, very bad word. だって 、 みんな かんかんだった もの 」 Because everyone was so apoplectic."

「 ほんとに ひどい 悪 口 さ 」 ||あく|くち| "You know, you really are a terrible liar."

テーブル の 下 から ロン の 汗 だらけ の 青い 顔 が ひ ょいっと 現れ 、 しゃが れ 声 で 言った 。 てーぶる||した||||あせ|||あおい|かお|||ょい っと|あらわれ|しゃ が||こえ||いった Ron's sweaty blue face appeared from under the table and said in a hushed voice, "I'm sorry. 「 マルフォイ の やつ 、 彼女 の こと 『 穢 れた 血 』って 言った んだ よ 、 ハグリッド ――」  ロン の 顔 が また ひょいと テーブル の 下 に 消えた 。 |||かのじょ|||あい||ち||いった||||||かお||||てーぶる||した||きえた Ron's face disappears under the table again. 次の ナメクジ の 波 が 押し寄せて きた のだ 。 つぎの|||なみ||おしよせて|| The next wave of slugs was coming in.

ハグリッド は 大 憤慨 して いた 。 ||だい|ふんがい|| Hagrid was very upset.

「 そんな こと 、 ほんとうに 言う た の か ?」 と ハーマイオニー の 方 を 見て 唸り 声 を あげた 。 |||いう|||||||かた||みて|うなり|こえ|| She looked at Hermione and snarled, "Did you really just say that?

「 言った わ よ 。 いった|| I told you. でも 、 どういう 意味 だ か わたし は 知ら ない 。 ||いみ|||||しら| But I don't know what that means. もちろん 、 ものすごく 失礼な 言 葉 だ と いう こと は わかった けど ......」 ||しつれいな|げん|は||||||| Of course, I realize that it's incredibly rude to say that, but ......"

「 あいつ の 思いつく かぎり 最悪 の 侮辱 の 言葉 だ 」 ロン の 顔 が また 現れて 絶叫 した 。 ||おもいつく||さいあく||ぶじょく||ことば||||かお|||あらわれて|ぜっきょう| Ron's face reappeared and he exclaimed, "That's the worst insult he could have possibly come up with.

「『 穢 れた 血 』って 、 マグル から 生まれたって いう 意味 の ―― つまり 両親 と も 魔法使い じゃ ない 者 を 指す 最低の 汚らわしい 呼び 方 な んだ 。 あい||ち||||うまれた って||いみ|||りょうしん|||まほうつかい|||もの||さす|さいていの|けがらわしい|よび|かた|| Unsullied blood" is the most disgusting term for someone born of Muggle blood, meaning that both parents are not wizards. 魔法使い の 中 に は 、 たとえば マルフォイ 一族 みたいに 、 みんな が 『 純血 』って 呼ぶ もの だ から 、 自分 たち が 誰 より も 偉いって 思って いる 連中 が いる んだ 」  ロン は 小さな ゲップ を した 。 まほうつかい||なか|||||いちぞく||||じゅんけつ||よぶ||||じぶん|||だれ|||えらい って|おもって||れんちゅう||||||ちいさな||| Some wizards, like the Malfoys for example, think they are better than everyone else because they are what everyone calls 'purebloods'. ナメクジ が 一 匹 だけ 飛び出し 、 ロン の 伸ばした 手 の 中 に スポッ と 落ちた 。 ||ひと|ひき||とびだし|||のばした|て||なか||||おちた A single slug jumps out and lands in Ron's outstretched hand.

ロン は それ を 洗面 器 に 投げ込んで から 話 を 続けた 。 ||||せんめん|うつわ||なげこんで||はなし||つづけた Ron tossed it into the sink and continued talking.

「 もちろん 、 そういう 連中 以外 は 、 そんな こと まったく 関係ないって 知って る よ 。 ||れんちゅう|いがい|||||かんけいない って|しって|| Of course, everyone but those people know that this has absolutely nothing to do with them. ネビル ・ ロングボトム を 見て ごらん よ ―― あいつ は 純血 だ けど 、 鍋 を 逆さまに 火 に かけたり し かね な い ぜ 」 |||みて|||||じゅんけつ|||なべ||さかさまに|ひ||||||| Look at Neville Longbottom - he's a pureblood, but he wouldn't put a pan upside down on the fire.

「 それ に 、 俺 たち の ハーマイオニー が 使え ねえ 呪文 は 、 今 まで に ひとっつ も なかった ぞ 」 ハグリッド が 誇らしげに 言った ので 、 ハーマイオニー は パーッ と 頬 を 紅潮 さ せた 。 ||おれ|||||つかえ||じゅもん||いま|||ひと っつ||||||ほこらしげに|いった||||||ほお||こうちょう|| Hermione's cheeks flushed as Hagrid said proudly, "And there's never been a spell that our Hermione hasn't been able to use. 「 他人 の こと を そんなふうに ののしる なんて 、 むかつく よ 」 ロン は 震える 手 で 汗 びっしょり の 額 を 拭い ながら 話し 続けた 。 たにん|||||||||||ふるえる|て||あせ|||がく||ぬぐい||はなし|つづけた The first time I saw him, I thought it was a good thing that he was a good person," said Ron, wiping his sweaty forehead with a shaking hand.

「『 穢 れた 血 』 だ なんて 、 まったく 。 あい||ち||| "Unsullied blood"... How dare you! 卑しい 血 だ なんて 。 いやしい|ち|| What a lowly blood. 狂って る よ 。 くるって|| It's crazy. どうせ 今どき 、 魔法 使い は ほとんど 混血 な んだ ぜ 。 |いまどき|まほう|つかい|||こんけつ||| Most wizards are half-bloods nowadays anyway. もし マグル と 結婚 して なかったら 、 僕たち とっくに 絶滅 し ちゃって たよ 」  ゲーゲー が 始まり 、 またまた ロン の 顔 が ひょいと 消えた 。 |||けっこん|||ぼくたち||ぜつめつ||ちゃ って||||はじまり||||かお|||きえた If I hadn't married a Muggle, we'd have been extinct long ago. 「 ウーム 、 そりゃ 、 ロン 、 やつ に 呪い を かけ たく なる の も 無理 は ねぇ 」 |||||まじない|||||||むり|| "Hmm, well, Ron, no wonder you want to put a curse on him."

大量の ナメクジ が 、 ドサドサ と 洗面 器 の 底 に 落ちる 音 を 、 かき消す ような 大声 で ハグリッド が 言った 。 たいりょうの|||||せんめん|うつわ||そこ||おちる|おと||かきけす||おおごえ||||いった Hagrid said loudly, trying to drown out the sound of the slugs thudding into the bottom of the basin.

「 だけ ん ど 、 おまえ さん の 杖 が 逆 噴射 した の は かえって よかった かも しれ ん 。 ||||||つえ||ぎゃく|ふんしゃ|||||||| "But maybe it's a good thing your cane went backwards. ルシウス ・ マ ルフォイ が 、 学校 に 乗り込んで きおった かも しれ ん ぞ 、 おまえ さん が やつ の 息子 に 呪い を か けっち まって たら 。 ||||がっこう||のりこんで|||||||||||むすこ||まじない|||け っち|| Lucius Malfoy might have broken into the school if you had put a curse on his son. 尐 なく と も おまえ さん は 面倒に 巻き込ま れ ず に すんだっちゅうもん だ 」  ナメクジ が 次々 と 口 から 出て くる だけ でも 十分 面倒だ けど ―― と ハリー は 言い そうに なった が 、 言え なかった 。 |||||||めんどうに|まきこま||||すんだ っ ちゅうもん||||つぎつぎ||くち||でて||||じゅうぶん|めんどうだ|||||いい|そう に|||いえ| Harry was about to say, "It's enough trouble to have slugs coming out of your mouth one after the other," but he couldn't say it. ハグリッド の くれた 糖 蜜 ヌガー が 上顎 と 下顎 を セメント の ように がっちり 接着 して しまって いた 。 |||とう|みつ|||うわあご||したあご||せめんと||||せっちゃく||| Hagrid's molasses nougat had glued the upper and lower jaws together like cement.

「 ハリー ――」 ふいに 思い出した ように ハグリッド が 言った 。 ||おもいだした||||いった "Harry," Hagrid said, as if suddenly remembering.

「 おまえ さん に もちい と 小言 を 言う ぞ 。 |||||こごと||いう| I'm going to say a few words about you. サイン 入り の 写真 を 配っと る そう じゃ ない か 。 さいん|はいり||しゃしん||はい っと||||| I hear they're giving out autographed photos. なん で 俺 に 1 枚 くれ ん の かい ?」 ||おれ||まい|||| Why don't you give me one?

ハリー は 怒り に まかせて 、 くっついた 歯 を ぐ いと こじ開けた 。 ||いかり||||は||||こじあけた Harry pried open the glued teeth in a fit of anger.

「 サイン 入り の 写真 なんて 、 僕 、 配って ない 。 さいん|はいり||しゃしん||ぼく|くばって| I don't give out signed photos. もし ロック ハート が まだ そんな こと 言いふら して ......」 |ろっく|はーと|||||いいふら| If Lockhart is still spouting that crap ......"

ハリー は むき に なった 。 Harry peels. ふと ハグリッド を 見る と 、 笑って いる 。 |||みる||わらって| I looked at Hagrid and saw that he was smiling.

「 からかった だけ だ 」 "I was only teasing."

ハグリッド は 、 ハリー の 背中 を 優しく ボンボン 叩いた 。 ||||せなか||やさしく|ぼんぼん|たたいた Hagrid gave Harry a gentle tap on the back.

おかげ で ハリー は テーブル の 上 に 鼻 から 先 に つんのめった 。 ||||てーぶる||うえ||はな||さき|| Daraufhin fiel Harry mit der Nase voran auf den Tisch. This caused Harry to fall nose first onto the table.

「 おまえ さん が そんな こと を せ ん の は わかっと る 。 ||||||||||わか っと| I know you wouldn't do that. ロック ハート に 言って やった わ 。 ろっく|はーと||いって|| I told Lockhart. なん に も せ ん でも 、 おまえ さん はやっこ さん より 有名 だって 」 「 ロック ハート は 気 に 入ら ないって 顔 した でしょう 」  ハリー は 顎 を さすり ながら 体 を 立て直した 。 ||||||||はや っこ|||ゆうめい||ろっく|はーと||き||はいら|ない って|かお|||||あご||||からだ||たてなおした Harry rubbed his chin and straightened up. 「 ああ 、 気 に 入ら んだ ろ 」 ハグリッド の 目 が いたずらっぽく キラキラ した 。 |き||はいら|||||め||いたずら っぽく|きらきら| Hagrid's eyes twinkled mischievously, "Oh, you don't like it, do you? 「 それ から へ 俺 は あんた の 本 など ひとっつ も 読 ん どら ん と 言って やった 。 |||おれ||||ほん||ひと っつ||よ|||||いって| I told him that I haven't read any of your books. そ したら 帰って 行 きおった 。 ||かえって|ぎょう| And then he left. ほ い 、 ロン 、 糖 蜜 ヌガー 、 どう だ ?」 |||とう|みつ||| Hey, Ron, what do you think of the molasses nougat?"

ロン の 顔 が また 現れた ので 、 ハグリッド が すすめた 。 ||かお|||あらわれた|||| Ron's face reappeared, and Hagrid suggested that he try it again.

「 いら ない 。 Not required. 気分 が 悪い から 」 ロン が 弱々しく 答えた 。 きぶん||わるい||||よわよわしく|こたえた I'm not feeling well," Ron answered wearily.

「 俺 が 育てて る モン 、 ちょいと 見 に こい や 」 おれ||そだてて||もん||み||| "Come over and see what I'm growing."

ハリー と ハーマイオニー が お 茶 を 飲み 終わった の を 見て 、 ハグリッド が 誘った 。 |||||ちゃ||のみ|おわった|||みて|||さそった When Harry and Hermione had finished their tea, Hagrid invited them to join him.

ハグリッド の 小屋 の 裏 に ある 小さな 野菜 畑 に は 、 ハリー が 見た こと も ない ような 大きい か ぼ ちゃ が 十 数 個 あった 。 ||こや||うら|||ちいさな|やさい|はたけ|||||みた|||||おおきい|||||じゅう|すう|こ| In dem kleinen Gemüsebeet hinter Hagrids Hütte standen ein Dutzend der größten Kürbisse, die Harry je gesehen hatte. In the small vegetable patch behind Hagrid's hut were a dozen or so of the biggest pumpkins Harry had ever seen. 一つ一つ が 大岩 の ようだった 。 ひとつひとつ||おおいわ|| Each one was like a big rock.

「 よ ー く 育っと ろう ? ハロウィーン の 祭 用 だ ...... そのころ まで に は いい 大き さ に なる ぞ 」 ハ グリッド は 幸せ そうだった 。 |-||いく っと||||さい|よう|||||||おおき||||||||しあわせ|そう だった "They'll grow up well for Halloween ...... and be a good size by then," said Grid, looking happy. 「 肥料 は 何 を やって る の ?」 と ハリー が 聞いた 。 ひりょう||なん||||||||きいた Harry asked, "What kind of fertilizer are you using?

ハグリッド は 肩 越し に チラッ と 振り返り 、 誰 も いない こと を 確かめた 。 ||かた|こし||||ふりかえり|だれ|||||たしかめた Hagrid glanced over his shoulder to make sure no one was there. 「 その 、 やっとる もん は ―― ほれ ―― ち ーっと 手助け して やっとる 」  ハリー は 、 小屋 の 裏 の 壁 に 、 ハグリッド の ピンク の 花 模様 の 傘 が 立てかけて ある のに 気づ い た 。 |やっ とる|||||- っと|てだすけ||やっ とる|||こや||うら||かべ||||ぴんく||か|もよう||かさ||たてかけて|||きづ|| Harry noticed Hagrid's pink flowered umbrella on the back wall of the hut. ハリー は 以前 に 、 ある こと から 、 この 傘 が 見かけ と は かなり 違う もの だ と 思った こと が あった 。 ||いぜん||||||かさ||みかけ||||ちがう||||おもった||| Harry had once thought that this umbrella was not quite what it seemed. 実は 、 ハグリッド の 学生 時代 の 杖 が 中 に 隠されて いる ような 気 が して なら なかった 。 じつは|||がくせい|じだい||つえ||なか||かくさ れて|||き|||| In fact, I couldn't help feeling that Hagrid's wand from his student days was hidden inside. ハグリッド は 魔法 を 使って は いけない こと に なって いる 。 ||まほう||つかって|||||| Hagrid is not allowed to use magic. 三 年生 の とき に ホグワーツ を 退学 に なった のだ 。 みっ|ねんせい||||||たいがく||| I was expelled from Hogwarts in my third year.

なぜ な の か 、 ハリー に は いまだに わから なかった ―― ちょっと でも その こと に 触れる と 、 ハ グリッド は 大きく 咳払い を して 、 なぜ か 急に 耳 が 聞こえ なく なって 、 話題 が 変わる まで だま で 黙りこくって しまう のだ 。 |||||||||||||||ふれる|||||おおきく|せきばらい|||||きゅうに|みみ||きこえ|||わだい||かわる||||だまりこくって|| Harry still couldn't figure out why - if you mentioned the subject at all, he would cough loudly, suddenly lose his hearing, and remain silent until the subject changed.

「『 肥 ら せ 魔法 』 じゃ ない ? とにかく 、 ハグリッドったら 、 とっても 上手に やった わ よ ね 」  ハーマイオニー は 半分 非難 して いる ような 、 半分 楽しんで いる ような 言い 方 を した 。 こえ|||まほう||||ハグリッド ったら||じょうずに|||||||はんぶん|ひなん||||はんぶん|たのしんで|||いい|かた|| Anyway, Hagrid did a very good job," Hermione said, sounding half reproachful, half amused. 「 おまえ さん の 妹 も そう 言い おった よ 」 ハグリッド は ロン に 向かって 領 いた 。 |||いもうと|||いい|||||||むかって|りょう| Your sister said the same thing," Hagrid said to Ron.

「 つい 昨日 会った ぞい 」 ハグリッド は 髭 を ピクビク さ せ ながら ハリー を 横目 で 見た 。 |きのう|あった||||ひげ||||||||よこめ||みた Hagrid looked at Harry with a sideways glance, his beard twitching.

「 ぶらぶら 歩いて いる だけ だって 言っとった が な 、 俺 が 思う に 、 あり や 、 この 家 で 誰 かさん と ばったり 会える かも しれ んって 思っとった な 」 ハグリッド は ハリー に ウィンク した 。 |あるいて||||げん っと った|||おれ||おもう|||||いえ||だれ||||あえる|||ん って|おも っと った||||||| Sie sagten, Sie seien nur herumgelaufen, aber ich dachte, ja, Sie könnten im Haus auf jemanden treffen." Hagrid zwinkerte Harry zu. Hagrid winked at Harry, "You said you were just wandering around, but I thought, yes, I might bump into someone at the house. 「 俺 が 思う に 、 あの 子 は 欲しがる ぞ 、 おまえ さん の サイン 入り の ――」 「 やめて くれよ 」 ハリー が そう 言う と 、 ロン は ブーッ と 吹き出し 、 そこら 中 に ナメクジ を 撒き散らした 。 おれ||おもう|||こ||ほしがる|||||さいん|はいり|||||||いう||||||ふきだし||なか||||まきちらした "Ich denke, sie wird ein von Ihnen signiertes Exemplar haben wollen..." Hören Sie auf." Als Harry dies sagte, ging Ron in die Luft und verteilte die Kugeln überall herum. I think he's going to want one signed by you. 「 気 ー つけろ !」 き|-| Watch out!

ハグリッド は 大声 を 出し 、 ロン を 大切な かぼちゃ から 引き離した 。 ||おおごえ||だし|||たいせつな|||ひきはなした Hagrid yelled and pulled Ron away from his precious pumpkin.

そろそろ 昼食 の 時間 だった 。 |ちゅうしょく||じかん| It was almost time for lunch.

ハリー は 夜明け から 今 まで 、 糖 蜜 ヌガー を ひと かけら 口 に した だけ だった ので 、 早く 学校 に 戻って 食事 を し たかった 。 ||よあけ||いま||とう|みつ|||||くち||||||はやく|がっこう||もどって|しょくじ||| Harry had only eaten a small piece of molasses nougat from dawn until now, and he wanted to get back to school and eat as soon as possible.

ハグリッド に さよなら を 言い 、 三 人 は 城 へ と 歩いた 。 ||||いい|みっ|じん||しろ|||あるいた After saying goodbye to Hagrid, the three of them walked back to the castle. ロン は 時々 しゃっくり を した が 、 小さな ナメクジ が 二 匹 出て きた だけ だった 。 ||ときどき|||||ちいさな|||ふた|ひき|でて||| Ron had the occasional hiccup, but only two small slugs appeared. ひんやり した 玄関 ホール に 足 を 踏み入れた 途端 、 声 が 響いた 。 ||げんかん|ほーる||あし||ふみいれた|とたん|こえ||ひびいた As soon as I stepped into the cool entrance hall, a voice echoed. 「 ポッター 、 ウィーズリー 、 そこ に いました か 」 マクゴナガル 先生 が 厳しい 表情 で こちら に 歩いて きた 。 ||||い ました|||せんせい||きびしい|ひょうじょう||||あるいて| McGonagall walked over to me with a stern look on her face. 「 二 人 と も 、 処罰 は 今夜 に なります 」 「 先生 、 僕たち 、 何 を する んでしょう か ?」 ロン が なんとか ゲップ を 押し殺し ながら 聞い た 。 ふた|じん|||しょばつ||こんや||なり ます|せんせい|ぼくたち|なん||||||||||おしころし||ききい| Ron managed to stifle a burp as he asked, "What are we going to do, sir? 「 あなた は 、 フィルチ さん と 一緒に トロフィー ・ ルーム で 銀 磨き です 。 |||||いっしょに|とろふぃー|るーむ||ぎん|みがき| You and Mr. Filch are in the trophy room polishing silver. ウィーズリー 、 魔法 は ダメです よ 。 |まほう||だめです| Weasley, you can't do magic. 自分 の 力 で 磨く のです 」 じぶん||ちから||みがく| You have to polish it with your own strength."

ロン は 絶句 した 。 ||ぜっく| Ron was absolutely speechless. 管理人 の アーガス ・ フィルチ は 学校 中 の 生徒 から ひどく 嫌われて いる 。 かんりにん|||||がっこう|なか||せいと|||きらわ れて| The superintendent, Argus Filch, is hated by all the students at the school. 「 ポッター 。 Potter . あなた は ロックハート 先生 が ファンレター に 返事 を 書く の を 手伝い なさい 」 |||せんせい||||へんじ||かく|||てつだい| Sir, you must help Mr. Lockhart write his fan letters.

「 えーっ、 そんな ...... 僕 も トロフィー ・ ルーム の 方 で は いけません か ?」  ハリー が 絶望 的な 声 で 頼んだ 。 えー っ||ぼく||とろふぃー|るーむ||かた|||いけ ませ ん||||ぜつぼう|てきな|こえ||たのんだ "Oh, no. Can't ...... I go in the trophy room too?" Harry asked in desperation. 「 もちろん いけません 」 マクゴナガル 先生 は 眉 を 吊り上げ た 。 |いけ ませ ん||せんせい||まゆ||つりあげ| McGonagall raised an eyebrow. 「 ロック ハート 先生 は あなた を 特に ご 指名 です 。 ろっく|はーと|せんせい||||とくに||しめい| Mr. Lockhart is particularly interested in you. 二 人 と も 、 八 時 きっかり に 」 ふた|じん|||やっ|じ|| Both of you, at 8 o'clock exactly.

ハリー と ロン は がっくり と 肩 を 落とし 、 うつむき ながら 大広間 に 入って 行った 。 ||||||かた||おとし|||おおひろま||はいって|おこなった Harry and Ron slumped their shoulders and walked into the Great Hall with their heads down.

ハーマイオニー は 「 だって 校則 を 破った んでしょ 」 と いう 顔 を して 後ろ から ついてきた 。 |||こうそく||やぶった||||かお|||うしろ|| Hermione followed behind with a look that said, "Because you broke the school rules.

ハリー は シェパード ・ パイ を 見て も 思った ほど 食欲 が わか なかった 。 ||しぇぱーど|ぱい||みて||おもった||しょくよく||| Harry's appetite was not as whetted by the shepherd's pie as he had expected.

二 人 と も 自分 の 方 が 最悪の 貧乏 くじ を 引いて しまった と 感じて いた 。 ふた|じん|||じぶん||かた||さいあくの|びんぼう|||ひいて|||かんじて| They both felt that they had drawn the worst possible lottery.

「 フィルチ は 僕 を 一晩 中 放して くれ ない よ 」 ロン は 滅入って いた 。 ||ぼく||ひとばん|なか|はなして||||||めいって| Filch won't let me go all night," Ron said despondently.

「 魔法 なし だ なんて ! あそこ に は 銀杯 が 百 個 は ある ぜ 。 まほう|||||||ぎんぱい||ひゃく|こ||| There must be a hundred silver cups in there. 僕 、 マグル 式 の 磨き 方 は 苦手な んだ よ 」 ぼく||しき||みがき|かた||にがてな|| I'm not very good at the Muggle way of polishing."

「 いつでも 代わって やる よ 。 |かわって|| I'll cover for you anytime. ダーズリー の ところ で さんざん 訓練 されて る から 」  ハリー も うつろな 声 を 出した 。 |||||くんれん|さ れて||||||こえ||だした Harry's voice was also depressed, "I've been training with the Dursleys for a long time. 「 ロック ハート に 来た ファンレター に 返事 を 書く なんて ...... 最低だ よ ......」 ろっく|はーと||きた|||へんじ||かく||さいていだ| "Writing back to a fan letter that came to Lockhart ...... sucks ......"

土曜日 の 午後 は まるで 溶けて 消え去った ように 過ぎ 、 あっという間 に 八 時 は あと 五 分 後 に 迫って いた 。 どようび||ごご|||とけて|きえさった||すぎ|あっというま||やっ|じ|||いつ|ぶん|あと||せまって| Saturday afternoon seemed to melt away, and in the blink of an eye, eight o'clock was only five minutes away.

ハリー は 重い 足 を 引きずり 、 三 階 の 廊下 を 歩いて ロック ハート の 部屋 に 着いた 。 ||おもい|あし||ひきずり|みっ|かい||ろうか||あるいて|ろっく|はーと||へや||ついた Harry dragged his heavy feet down the third-floor corridor to Lockhart's room.

ハリー は 歯 を 食いしばり 、 ドア を ノック した 。 ||は||くいしばり|どあ||| Harry gritted his teeth and knocked on the door.

ドア は すぐに パッと 開か れ 、 ロックハート が ニッコリ と ハリー を 見下ろした 。 どあ|||ぱっと|あか||||にっこり||||みおろした The door immediately swings open and Lockhart looks down at Harry with a grin.

「 おや 、 いたずら 坊主 の お出まし だ ! 入り なさい 。 ||ぼうず||おでまし||はいり| "Oh, here comes the naughty boy! ハリー 、 さあ 中 へ 」 ||なか| Harry, come on in.

壁 に は 額 入り の ロック ハート の 写真 が 数え 切れ ない ほど 飾って あり 、 たくさんの 蝋燭 に 照ら されて 明るく 輝いて いた 。 かべ|||がく|はいり||ろっく|はーと||しゃしん||かぞえ|きれ|||かざって|||ろうそく||てら|さ れて|あかるく|かがやいて| The walls were covered with countless framed Lockhart photos, brightly lit by candles. サイン 入り の もの も いくつか あった 。 さいん|はいり||||いく つ か| Some of the items were signed. 机 の 上 に は 、 写真 が もう 一 山 、 積み上げられて いた 。 つくえ||うえ|||しゃしん|||ひと|やま|つみあげ られて| There was another pile of photos on the desk. 「 封筒 に 宛名 を 書か せて あげましょう !」 まるで 、 こんな すばらしい もてなし は ないだ ろ う 、 と 言わんばかり だ 。 ふうとう||あてな||かか||あげ ましょう||||||||||いわんばかり| As if to say, "We'll address the envelope to you!" as if to say, "You couldn't ask for a better hospitality. 「 この 最初の は 、 グラディス ・ ガージョン 。 |さいしょの||| This first one is by Gladys Gershon. 幸いなる かな ―― 私 の 大 ファン で ね 」 さいわいなる||わたくし||だい|ふぁん|| Luckily for me, he's a big fan of mine."

時間 は のろのろ と 過ぎた 。 じかん||||すぎた Time passed at a leisurely pace. ハリー は 時々 「 う ー 」 と か 「 えー 」 と か 「 は ー 」 と か 言い なが ら 、 ロックハート の 声 を 聞き流して いた 。 ||ときどき||-|||||||-|||いい|な が||||こえ||ききながして| Harry would sometimes say "uh" or "er" or "ha" as he listened to Lockhart's voice.

時々 耳 に 入って きた 台詞 は 、「 ハリー 、 評判 なんて 気まぐれな もの だ よ 」 と か 「 有名 人 らし い 行為 を する から 有名 人 な のだ よ 。 ときどき|みみ||はいって||せりふ|||ひょうばん||きまぐれな||||||ゆうめい|じん|||こうい||||ゆうめい|じん||| Sometimes I hear lines like, "Harry, reputation is a fickle thing," or "You're famous because you do things that make you famous. 覚えて おき なさい 」 など だった 。 おぼえて|||| Remember that." And so on.

蝋燭 が 燃えて 、 炎 が だんだん 低く なり 、 ハリー を 見つめて いる ロック ハート の 写真 の 顔 の 上 で 光 が 踊った 。 ろうそく||もえて|えん|||ひくく||||みつめて||ろっく|はーと||しゃしん||かお||うえ||ひかり||おどった The candle burned, the flame grew lower and lower, and the light danced across the face of Lockhart's picture, staring at Harry.

もう 千 枚 目 の 封筒 じゃ ない だろう か と 思い ながら 、 ハリー は 痚 む 手 を 動かし 、 ベロニカ ・ ス メスリー の 住所 を 書いて いた ―― もう そろそろ 帰って も いい 時間 の はずだ ―― どうぞ 、 そろ そろ 時間 に な ?ます よう ...... ハリー は 惨めな 気持 で そんな こと を 考えて いた 。 |せん|まい|め||ふうとう||||||おもい||||||て||うごかし|||||じゅうしょ||かいて||||かえって|||じかん||||||じかん|||||||みじめな|きもち|||||かんがえて| Harry moved his hand to write Veronica Smethley's address, wondering if this was the thousandth envelope - it should be time to go home by now - please, please, please, please. ...... Harry felt miserable as he thought about this. その とき 、 何 か が 聞こえた ―― 消え かかった 蝋燭 が 吐き出す 音 で は なく 、 ロックハート が ファン 自慢 を ペチャクチャ しゃべる 声 で も ない 。 ||なん|||きこえた|きえ||ろうそく||はきだす|おと||||||ふぁん|じまん||||こえ||| Then I heard something - not the sound of a candle going out, or Lockhart chattering away about how proud he was of his fans.

それ は 声 だった ―― 骨 の 髄 まで 凍ら せる ような 声 。 ||こえ||こつ||ずい||こおら|||こえ It was a voice - a voice that chilled me to the bone. 息 が 止まる ような 、 氷 の ように 冷たい 毒 の 声 。 いき||とまる||こおり|||つめたい|どく||こえ A breathtaking, icy cold, poisonous voice.

「 来る んだ ...... 俺 様 の ところ へ ...... 引き裂いて やる ...... 八 つ 裂き に して やる ...... 殺して やる ......」 くる||おれ|さま||||ひきさいて||やっ||さき||||ころして| Komm zu mir ...... Komm zu mir ...... Ich werde dich zerreißen ...... Ich werde dich in acht Teile zerreißen ...... Ich werde dich töten ...... "Come to me ...... and I will tear you ...... to pieces ...... and I will kill you ......."

ハリー は 飛び上がった 。 ||とびあがった Harry jumped up. ベロニカ ・ スメスリー の 住所 の 丁目 の ところ に ライラック 色 の 滲 み が できた 。 |||じゅうしょ||ちょうめ||||らいらっく|いろ||しん||| A lilac blotch appeared at the address of Veronica Smethley.

「 なん だって ?」 ハリー が 大声 で 言った 。 ||||おおごえ||いった "What the hell?" said Harry loudly. 「 驚いたろう ? 六 ヶ月 連続 ベストセラー 入り ! 新 記録 です !」 ロックハート が 答えた 。 おどろいたろう|むっ|かげつ|れんぞく|べすとせらー|はいり|しん|きろく||||こたえた Lockhart replied, "Surprise, surprise, it's been on the bestseller list for six months straight, a new record! 「 そう じゃ なくて 、 あの 声 ?」 ハリー は 我 を 忘れて 叫んだ 。 ||||こえ|||われ||わすれて|さけんだ Harry yelled out, losing control of himself, "Not that, that voice. 「 えっ?」 ロックハート は 不審 そうに 聞いた 。 |||ふしん|そう に|きいた Lockhart asked suspiciously. 「 どの 声 ?」 |こえ "Which voice?"

「 あれ です ―― 今 の あの 声 です ―― 聞こえ なかった んです か ?」 ロックハート は 唖然と して ハリー を 見た 。 ||いま|||こえ||きこえ||||||あぜんと||||みた Lockhart looked at Harry, stunned.

「 ハリー 、 いったい なん の こと か ね ? 尐 し トロトロ して きた んじゃ ない の かい ? おや まあ 、 こんな 時間 だ ! 四 時間 近く ここ に いた の か ? 信じられません ね ―― 矢 の ように 時間 が たち ま したね ?」  ハリー は 答え なかった 。 |||||||||とろとろ||||||||||じかん||よっ|じかん|ちかく||||||しんじ られ ませ ん||や|||じかん|||||||こたえ| I can't believe you've been here for almost four hours - it's been like an arrow, hasn't it? じっと 耳 を すませて もう 一 度 あの 声 を 聞こう と して いた 。 |みみ||すま せて||ひと|たび||こえ||きこう||| I was trying to listen to that voice one more time. しかし 、 もう なんの 音 も し なかった 。 |||おと||| But nothing sounded anymore.

ロック ハート が 「 処罰 を 受ける 時 いつも こんなに いい 目 に 遭う と 期待 して は いけない よ 」 と ハリー に 言って いる だけ だった 。 ろっく|はーと||しょばつ||うける|じ||||め||あう||きたい||||||||いって||| Lockhart was simply telling Harry, "You can't always expect to get such a good deal when you're being punished.

ハリー は ぼ ーっと した まま 部屋 を 出た 。 |||- っと|||へや||でた Harry left the room in a daze. もう 夜 も ふけて いた ので 、 グリフィンドール の 談話 室 は がらんと して いた 。 |よ|||||||だんわ|しつ|||| It was late in the evening, and the Gryffindor common room was a mess.

ハリー は まっすぐ 自分 の 部屋 に 戻った 。 |||じぶん||へや||もどった Harry went straight back to his room. ロン は まだ 戻って い なかった 。 |||もどって|| Ron had not yet returned. ハリー は パジャマ に 着替え 、 ベッド に 入って ロン を 待った 。 ||ぱじゃま||きがえ|べっど||はいって|||まった Harry changed into his pajamas and went to bed to wait for Ron.

三十 分 も たったろう か 、 右腕 を さすり さ すり 、 暗い 部屋 に 銀 磨き 粉 の 強れつな 臭い を 漂わせ ながら 、 ロン が 戻って きた 。 さんじゅう|ぶん||||みぎうで|||||くらい|へや||ぎん|みがき|こな||きょうれつな|くさい||ただよわせ||||もどって| After what must have been 30 minutes, Ron returned, rubbing his right arm and smelling the strong odor of silver polish in the dark room.

「 体中 の 筋肉 が 硬直 しちゃった よ 」  ベッド に ドサリ と 身 を 横たえ ながら ロン が 捻った 。 たいちゅう||きんにく||こうちょく|しちゃ った||べっど||||み||よこたえ||||ねじった Every muscle in my body has gone rigid," Ron twisted as he slumped back onto the bed. 「 あの クィディッチ 杯 を 十四 回 も 麿 か せら れた んだ ぜ 。 ||さかずき||じゅうよん|かい||まろ||||| "I've been asked to play Quidditch 14 times. やつ が もう いいって 言う まで 。 |||い いって|いう| Until he says that's enough. そし たら 今度 は ナメクジ の 発作 さ 。 ||こんど||||ほっさ| And now we have an outbreak of slugs. 『 学校 に 対する 特別 功労 賞 』 の 上 に べっとり だ よ 。 がっこう||たいする|とくべつ|こうろう|しょう||うえ|||| It's right up there with the Distinguished Service to Schools Award. あの ネト ネト を 拭き取る のに 時間 の かかった こと ...... ロックハート は どう だった ?」 ||||ふきとる||じかん||||||| How long did it take you to wipe off that goo ...... and how did Lockhart do?"

ネビル 、 ディーン 、 シュー マス を 起こさ ない ように 低い 声 で 、 ハリー は 自分 が 聞いた 声 の こ と を 、 その 通り に ロン に 話した 。 ||しゅー|ます||おこさ|||ひくい|こえ||||じぶん||きいた|こえ||||||とおり||||はなした In a low voice, so as not to wake Neville, Dean, and Schumas, Harry told Ron exactly what he had heard.

「 それ で 、 ロックハート は その 声 が 聞こえ ないって 言った の かい ?」  月 明り の 中 で ロン の 顔 が 曇った の が ハリー に は わかった 。 |||||こえ||きこえ|ない って|いった|||つき|あかり||なか||||かお||くもった|||||| Harry could see Ron's face cloud over in the moonlight. 「 ロック ハート が 嘘 を ついて いた と 思う ? でも わから ない なあ ―― 姿 の 見え ない 誰 か だっと して も 、 ドア を 開け ない と 声 が 聞こえ ない はずだ し 」 と ロン が 言った 。 ろっく|はーと||うそ|||||おもう|||||すがた||みえ||だれ||だっ と|||どあ||あけ|||こえ||きこえ|||||||いった "I think Lockhart was lying," Ron said, "but I don't know - even if it was someone out of sight, you can't hear them unless you open the door. 「 そうだ よ ね 」 四 本 柱 の ベッド に 仰向け に なり 、 ベッド の 天 蓋 を 見つめ ながら 、 ハリー が つぶやいた 。 そう だ|||よっ|ほん|ちゅう||べっど||あおむけ|||べっど||てん|ふた||みつめ|||| I know," Harry murmured, lying on his back on the four-poster bed and staring up at the bed's canopy. 「 僕 に も わから ない 」 ぼく|||| "I don't know either."