三 姉妹 探偵 団 01 Epilogue
エピローグ
三 人 は 、 家 の 焼け跡 の 方 へ と 、 歩いて 行った 。
よく 晴れた 、 暖 い 日 である 。
「── パパ 、 生きて ない の か な 」
と 、 珠美 が 言った 。
「 その 長田 洋子 って 人 と 心中 でも した の かも ね 」
「 まさか あ ! 綾子 は 断固と して 、「 生きて る わ よ ! と 言い張って いる 。
「 でも 、 何も 言って 来 ない なんて 変じゃ ない ? 「 そりゃ まあ ね 」
「 もし 、 ずっと 戻って 来 なかったら 、 私 たち どう な ん の ? と 、 珠美 が 訊 いた 。
「 そりゃ 働いて 食べて く より 仕方ない わ ね 」
と 夕 里子 。
「 私 が 大学 やめて 働く 」
「 へえ 。 大丈夫 ? 「 大丈夫 よ ! コピー の 取り 方 なんか 、 名人 級 な んだ から ね 」
頼りない OL だ 、 と 夕 里子 は 思った 。
「 夕 里子 姉ちゃん 、 モデル に なれば ? 「 どうして よ ? 「 お 風呂 場 の ヌード 、 妖しい 魅力 が あった って 、 国友 さん 、 感激 して た よ 」
「 見て た の ね 、 あの 人 ったら ! 夕 里子 は 真っ赤に なって 怒った 。
「 いい 人 じゃ ん 」
と 珠美 は 口笛 を 吹いて 、「 でも 刑事 って 月給 安い の よ 。 あんまり いい 暮し は でき ない な 」
「 馬鹿 、 こんな 子供 、 本気で 相手 に し ない わ よ 」
「 本心 と は 思え ませ ん な 」
「 何 よ 、 この ──」
「 いて っ ! 暴力 反対 ! 「 おいおい 、 やめ ない か 」
と 、 声 が かかった 。
三 人 は 、 顔 を 見合わせ 、 それ から 声 の した 方 を 振り返った 。
「── パパ ! 「 や あ 、 いい 所 で 会った 」
佐々 本 は 、 背広 姿 に 、 大きな バッグ を 下げて 、 元気 そうに 笑って いた 。
三 人 は しばらく ポカン と して 突っ立って いた 。
「 おい 、 どうした ? パパ だ よ 」
「 パパ …… どこ に いた の ? と 夕 里子 が やっと 声 を 出した 。
「 すま ん 。 実は ある 女性 と 東南 アジア へ 行って た んだ 」
「 東南 アジア ? 「 そ したら 、 二 人 と も 熱病 で 倒れ ち まって な 。 しばらく は 意識 不明 さ 。 ── やっと 治って 、 帰って 来た んだ よ 。 帰り の 途中 から 電話 を かけた んだ が 、 つながら ない んだ 。 どうかした の か ? 三 人 は 顔 を 見合わせ 、 それ から 笑い 出した 。
「 おい 、 何 だ 一体 。 笑って ちゃ 分 らん じゃ ない か ! 佐々 本 も つられて 笑い 出した 。 「 さ 、 ともかく 家 へ 行こう 。 色々 話 が ある 」
と 、 さっさと 歩き 出す 。
三 人 は まだ 笑い転げて いた 。 そこ へ 、
「 夕 里子 ! と 声 が して 、 敦子 が 走って 来る の が 見えた 。
「 ああ ── 参った なあ 、 もう ! 「 笑い すぎて 涙 が 出ちゃ うよ 」
「 私 も 笑い 泣き ……」
と 綾子 が 涙 を 拭った 。
「 敦子 、 どうした の ? 「 これ 見て ! と 、 小さな 箱 を 出す 。
「 これ 、 何 ? 「 ほら 、 この 間 、 ママ の お 葬式 の とき に 、 うち へ 持って 来た 、 小包 」
「 ああ 、 忘れて た ! と 、 夕 里子 は 、 頭 を ポン と 叩いた 。
「 どうして か 分 ら ない けど 、 マガジン ラック の 中 に 落 っこ ち て た の よ 」
「 じゃ 、 ずっと そこ に ? 「 らしい の 。 さっき 整理 して たら ね 、 出て 来て 。 ── ほら 中 を 見て 」
箱 の 中 から 、 金色 の ライター が 出て 来た 。
「 パパ のだ わ 」
と 、 夕 里子 は 言った 。
「 やっぱり ! 敦子 は 肯 いた 。 「 そう じゃ ない か と 思った の よ 。 手紙 が ついて て ね 。 英語 な の 」
「 英語 ? 「 外国 から よ 。 どこ か の ホテル に 、 これ を 置き忘れた らしい わ 。 ホテル から 送って 来た の よ 」
と 敦子 は 熱心に 言った 。 「 ね 、 あなた の パパ 、 外国 に いる の よ 」
「 そう …… らしい わ ね 」
夕 里子 は 曖昧に 言った 。
「 急いで 警察 へ 届けて ──」
と 言い かけて 、 敦子 は 、 言葉 を 切った 。
佐々 本 が 、 やって 来る の が 目 に 入った のである 。
「 あの ……」
「 うん 、 帰って 来た らしい の 」
と 夕 里子 は 申し訳な さ そうに 言った 。
佐々 本 は 、 狐 に つまま れた ような 顔 で 、 三 人 を 見 ながら 、 言った 。
「 家 が なくなって る ぞ 。 おい 、 一体 何 が あった んだ ?