釣り 舟 清次 の お札 つり|ふね|きよじ||おふだ

釣り 舟 清 次 の お 札 つり|ふね|きよし|つぎ|||さつ

むかし 、 江戸 の 海辺 に ある 古 長屋 に 、 清 次 ( せいじ ) と いう 漁師 が 住んで い ました 。 |えど||うみべ|||ふる|ながや||きよし|つぎ||||りょうし||すんで|| 清 次 は 海 に 乗り 合い の 釣り 舟 を 出して 暮し を たてて い ました が 、 お 客 の ない 時 は 自分 で 魚 を 釣って 売って い ました 。 きよし|つぎ||うみ||のり|あい||つり|ふね||だして|くらし|||||||きゃく|||じ||じぶん||ぎょ||つって|うって||

ある 日 の 事 、 その 日 は お 客 が なかった ので 、 清 次 は 朝 早くから 沖 へ 舟 を 出して キス と 言う 魚 を 百 匹 ばかり 釣り あげ ました 。 |ひ||こと||ひ|||きゃく||||きよし|つぎ||あさ|はやく から|おき||ふね||だして|きす||いう|ぎょ||ひゃく|ひき||つり|| そして 、 港 に 帰って くる と 、 「 ほ ほう 。 |こう||かえって|||| これ は 見事な キス じゃ な 。 ||みごとな|きす|| 一 匹 、 おれ に くれ ぬ か 」 と 、 えり の 立った 衣 を 着た 大 男 が 、 長い ひげ を なで ながら 言い ました 。 ひと|ひき|||||||||たった|ころも||きた|だい|おとこ||ながい|||な で||いい| 「 はっ 、 はい 」 　 清 次 が 魚 を 手渡す と 、 何と 男 は 大きな 口 を 開けて その 魚 を 生 の まま パクリ と 一口 で 食べて しまった のです 。 ||きよし|つぎ||ぎょ||てわたす||なんと|おとこ||おおきな|くち||あけて||ぎょ||せい|||||ひとくち||たべて|| 「・・・！ 」 　 びっくり した 清 次 が ぽか ん と 口 を 開けて いる と 、 男 が たずね ました 。 ||きよし|つぎ|||||くち||あけて|||おとこ||| 「 お前 の 名 は 、 何という んじゃ 」 「 はっ 、 はい 。 おまえ||な||なんという||| せっ 、 せっ 、 清 次 と 申し ます 」 「 そう か 。 ||きよし|つぎ||もうし||| 実は わし は 、 みんな に きらわ れて おる 疫病 神 ( やく びょうが み ) だ 。 じつは||||||||えきびょう|かみ|||| だが お前 は 、 そんな わし に 親切に して くれた 。 |おまえ|||||しんせつに|| こんな 事 は 、 初めて だ 。 |こと||はじめて| 魚 を もらった 礼 に 、 良い 事 を 教えて やろう 。 ぎょ|||れい||よい|こと||おしえて| よく 聞いて おけ よ 。 |きいて|| 『 釣り 舟 清 次 』 と 書いた 紙 を 家 の 戸口 に 貼って おけば 、 わし は その 家 に は 決して 入ら ない し 、 もし 入って いて も すぐ に 出て 行く だろう 」 「 ほっ 、 本当です か ！ つり|ふね|きよし|つぎ||かいた|かみ||いえ||とぐち||はって|||||いえ|||けっして|はいら||||はいって|||||でて|いく|||ほんとうです| ありがとう ございます 」 　 疫病 神 が 決して 来 ない なんて 、 こんな 良い 事 は あり ませ ん 。 ||えきびょう|かみ||けっして|らい||||よい|こと|||| 清 次 が 頭 を 深々と 下げる と 、 疫病 神 は もう どこ に も い ませ ん でした 。 きよし|つぎ||あたま||しんしんと|さげる||えきびょう|かみ||||||||| 家 に 帰った 清 次 は 、 さっそく この 不思議な 話 を 家族 や 長屋 の 人 たち に し ました 。 いえ||かえった|きよし|つぎ||||ふしぎな|はなし||かぞく||ながや||じん||||

それ から しばらく たった 、 ある 日 の 事 です 。 |||||ひ||こと| 長屋 の 奥 に 住む 藤 八 ( とう はち ) の おかみ さん が 、 はやり 病 に かかって 苦しみ 出した のです 。 ながや||おく||すむ|ふじ|やっ||||||||びょう|||くるしみ|だした| 藤 八 は 清 次の 話 を 思い出す と すぐ に 清 次の 家 に 行って 、『 釣り 舟 清 次 』 と 紙 に 書いて くれ と 頼み ました 。 ふじ|やっ||きよし|つぎの|はなし||おもいだす||||きよし|つぎの|いえ||おこなって|つり|ふね|きよし|つぎ||かみ||かいて|||たのみ| そして その 紙 を 自分 の 家 の 戸口 に 貼り 付ける と 、 不思議な 事 に おかみ さん の 病 は すでに 治って いた のです 。 ||かみ||じぶん||いえ||とぐち||はり|つける||ふしぎな|こと|||||びょう|||なおって|| 「 清 次 さん よ 、 わし に も 書いて おくれ 」 「 わたし に も 書いて くださ れ 。 きよし|つぎ||||||かいて|||||かいて|| お 金 なら 、 たん と 払い ます ので 」 　 うわさ を 聞いた 人 たち が 、 ひっきりなしに 清 次の 家 へ やって 来る ように なり ました 。 |きむ||||はらい|||||きいた|じん||||きよし|つぎの|いえ|||くる||| それ から 清 次 は 釣り 舟 を 出す の を やめて 、 毎日 毎日 『 釣り 舟 清 次 』 と いう 字 を 紙 に 書いて 、 疫病 除け の お 札 を つくる ように なった と いう 事 です 。 ||きよし|つぎ||つり|ふね||だす||||まいにち|まいにち|つり|ふね|きよし|つぎ|||あざ||かみ||かいて|えきびょう|のけ|||さつ|||||||こと|

おしまい