×
Vi använder kakor för att göra LingQ bättre. Genom att besöka sajten, godkänner du vår
cookie-policy.
わた 買い
わた 買い
むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても とんち の 出来る 人 が い ました 。
さて 、 町 に は 、 とても 欲張りな わた 屋 が い ました 。
客 が 田舎 者 だ と 思う と 、 とても 高い 値段 で わた を 売り つけて は 喜んで いる のです 。
吉 四六 さん の 村 でも 、 この わた 屋 に だまさ れた 人 が 何 人 も いる ので 、 吉 四六 さん は 一 度 この わた 屋 を こらしめて やろう と 考えて い ました 。
そんな ある 日 の 事 、 おかみ さん に 『 わた を 買って 来て 欲しい 』 と 言わ れた ので 、 吉 四六 さん は 喜んで 、 その わた 屋 に 出かけ ました 。
「 これ は 、 いらっしゃい まし 」 「 すま ん が 、 わた の 実 を 売って もらえる か ?
」 「 わた の 実 ?
わた で は なく 、 実の 方 です か ?
」 「 そう だ が 、 都合 が 悪い の かい ?
」 「 いえいえ 、 いくら でも お 売り いたし ます よ 」 この 頃 の わた 屋 は 、 どこ でも 実 の 付いた まま の わた を 農家 から 買い 集めて 、 店先 で 実 を 落として いた のです 。
だ から 、 わた の 実は いくら で も あり ました 。
「 ところで 、 わた 屋 さん 。
わし は 、 わた から 落とし たて の 実 で なければ 、 都合 が 悪い のです よ 」 「 そう です か 。
では 、 今 すぐ 落として さしあげ ましょう 」 「 すま ん ね 。
では 、 五 升 (→ 九 リットル ) ほど 頼み ます 」 そこ で わた 屋 は 店 の 小僧 と 一緒に 十 貫目 (→ 三七・五 キロ ) も ある ような わた を 棚 から 降ろして 、 その実 を 落とし に かかり ました 。
わた の 実 なんか 誰 も 買わ ない ので 今 まで は 捨てて い ました が 、 その わた の 実 が 売れる と あって 、 わた 屋 は ニコニコ 顔 です 。
「 さあ 、 出来 ました 。
ちょうど 五 升 あり ます 」 わた 屋 は 実 を 、 吉 四六 さん の 前 に 置き ました 。
「 ありがとう 。
それ で 、 値段 は いくら だい ?
」 「 はい 、 十五・・・ 」 わた 屋 は 、 どうせ 捨てる 物 だ から 十五 文 も もらえば 十分 と 思って 、 十五 文 と 言い かけた のです が 、 吉 四六 さん を わた の 実 を 買い に 来る 変な 田舎 者 だ と 思い 、 高く 売り つけて やろう と 言い 直し ました 。
「 はい 、 百五十 文 で ございます 」 「 え えっ !
それ は 高い !
」 「 いえいえ 、 これ でも 大 勉強 で ございます よ 」 「 そう か 。
・・・ ところで 、 実 が 付いた まま の わた は 、 わた の 実 が 五 升 分 で 、 いくら する ん だい ?
」 「 はい 、 それ は 二百 文 で ございます が 、 じつは 近頃 、 落とし たて の わた の 実 が 大 人気 で 、 ほうぼう から 注文 が まいり ます ので 、 わた より も 実の 方 が 高く なった のです よ 」 欲張りの わた 屋 は 吉 四六 さん に 高い 値段 で 実 を 売り つけよう と 、 こんな うそ を つき ました 。
「 そう か 、 困った なあ 」 吉 四六 さん は 、 本当に 困った 様 な 顔 を し ました が 、 いきなり 、 「 では 仕方 が ない 。
残念だ が 、 今日 は わた の 方 だけ 買って いこう !
二百 文 から 実の 代価 の 百五十 文 を ひく と 、 五十 文 を 払えば いい んだ な 」 と 、 言って 、 わた 屋 の 主人 に 五十 文 を 投げ出し 、 実 を 落とした 後 の わた を 自分 で 大ぶろしき に 包んで 、 目 を 白黒 さ せて いる わた 屋 を 尻目 に 、 さっさと 帰って しまい ました 。
おしまい
わた 買い
|かい
buying cotton
わた 買い
|かい
むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても とんち の 出来る 人 が い ました 。
||きち|しろく|||いう||||できる|じん|||
さて 、 町 に は 、 とても 欲張りな わた 屋 が い ました 。
|まち||||よくばりな||や|||
客 が 田舎 者 だ と 思う と 、 とても 高い 値段 で わた を 売り つけて は 喜んで いる のです 。
きゃく||いなか|もの|||おもう|||たかい|ねだん||||うり|||よろこんで||
吉 四六 さん の 村 でも 、 この わた 屋 に だまさ れた 人 が 何 人 も いる ので 、 吉 四六 さん は 一 度 この わた 屋 を こらしめて やろう と 考えて い ました 。
きち|しろく|||むら||||や||||じん||なん|じん||||きち|しろく|||ひと|たび|||や|||||かんがえて||
そんな ある 日 の 事 、 おかみ さん に 『 わた を 買って 来て 欲しい 』 と 言わ れた ので 、 吉 四六 さん は 喜んで 、 その わた 屋 に 出かけ ました 。
||ひ||こと||||||かって|きて|ほしい||いわ|||きち|しろく|||よろこんで|||や||でかけ|
「 これ は 、 いらっしゃい まし 」 「 すま ん が 、 わた の 実 を 売って もらえる か ?
|||||||||み||うって||
」 「 わた の 実 ?
||み
わた で は なく 、 実の 方 です か ?
||||じつの|かた||
」 「 そう だ が 、 都合 が 悪い の かい ?
|||つごう||わるい||
」 「 いえいえ 、 いくら でも お 売り いたし ます よ 」 この 頃 の わた 屋 は 、 どこ でも 実 の 付いた まま の わた を 農家 から 買い 集めて 、 店先 で 実 を 落として いた のです 。
||||うり|||||ころ|||や||||み||ついた|||||のうか||かい|あつめて|みせさき||み||おとして||
だ から 、 わた の 実は いくら で も あり ました 。
||||じつは|||||
「 ところで 、 わた 屋 さん 。
||や|
わし は 、 わた から 落とし たて の 実 で なければ 、 都合 が 悪い のです よ 」 「 そう です か 。
||||おとし|||み|||つごう||わるい|||||
では 、 今 すぐ 落として さしあげ ましょう 」 「 すま ん ね 。
|いま||おとして|||||
では 、 五 升 (→ 九 リットル ) ほど 頼み ます 」 そこ で わた 屋 は 店 の 小僧 と 一緒に 十 貫目 (→ 三七・五 キロ ) も ある ような わた を 棚 から 降ろして 、 その実 を 落とし に かかり ました 。
|いつ|しょう|ここの|||たのみ|||||や||てん||こぞう||いっしょに|じゅう|つらぬ め|さんしち|いつ|きろ||||||たな||おろして|そのじつ||おとし|||
わた の 実 なんか 誰 も 買わ ない ので 今 まで は 捨てて い ました が 、 その わた の 実 が 売れる と あって 、 わた 屋 は ニコニコ 顔 です 。
||み||だれ||かわ|||いま|||すてて|||||||み||うれる||||や||にこにこ|かお|
「 さあ 、 出来 ました 。
|でき|
ちょうど 五 升 あり ます 」 わた 屋 は 実 を 、 吉 四六 さん の 前 に 置き ました 。
|いつ|しょう||||や||み||きち|しろく|||ぜん||おき|
「 ありがとう 。
それ で 、 値段 は いくら だい ?
||ねだん|||
」 「 はい 、 十五・・・ 」 わた 屋 は 、 どうせ 捨てる 物 だ から 十五 文 も もらえば 十分 と 思って 、 十五 文 と 言い かけた のです が 、 吉 四六 さん を わた の 実 を 買い に 来る 変な 田舎 者 だ と 思い 、 高く 売り つけて やろう と 言い 直し ました 。
|じゅうご||や|||すてる|ぶつ|||じゅうご|ぶん|||じゅうぶん||おもって|じゅうご|ぶん||いい||||きち|しろく|||||み||かい||くる|へんな|いなか|もの|||おもい|たかく|うり||||いい|なおし|
「 はい 、 百五十 文 で ございます 」 「 え えっ !
|ひゃくごじゅう|ぶん||||
それ は 高い !
||たかい
」 「 いえいえ 、 これ でも 大 勉強 で ございます よ 」 「 そう か 。
|||だい|べんきょう|||||
・・・ ところで 、 実 が 付いた まま の わた は 、 わた の 実 が 五 升 分 で 、 いくら する ん だい ?
|み||ついた|||||||み||いつ|しょう|ぶん|||||
」 「 はい 、 それ は 二百 文 で ございます が 、 じつは 近頃 、 落とし たて の わた の 実 が 大 人気 で 、 ほうぼう から 注文 が まいり ます ので 、 わた より も 実の 方 が 高く なった のです よ 」 欲張りの わた 屋 は 吉 四六 さん に 高い 値段 で 実 を 売り つけよう と 、 こんな うそ を つき ました 。
|||にひゃく|ぶん|||||ちかごろ|おとし|||||み||だい|にんき||||ちゅうもん||||||||じつの|かた||たかく||||よくばりの||や||きち|しろく|||たかい|ねだん||み||うり|||||||
「 そう か 、 困った なあ 」 吉 四六 さん は 、 本当に 困った 様 な 顔 を し ました が 、 いきなり 、 「 では 仕方 が ない 。
||こまった||きち|しろく|||ほんとうに|こまった|さま||かお|||||||しかた||
残念だ が 、 今日 は わた の 方 だけ 買って いこう !
ざんねんだ||きょう||||かた||かって|
二百 文 から 実の 代価 の 百五十 文 を ひく と 、 五十 文 を 払えば いい んだ な 」 と 、 言って 、 わた 屋 の 主人 に 五十 文 を 投げ出し 、 実 を 落とした 後 の わた を 自分 で 大ぶろしき に 包んで 、 目 を 白黒 さ せて いる わた 屋 を 尻目 に 、 さっさと 帰って しまい ました 。
にひゃく|ぶん||じつの|だいか||ひゃくごじゅう|ぶん||||ごじゅう|ぶん||はらえば|||||いって||や||あるじ||ごじゅう|ぶん||なげだし|み||おとした|あと||||じぶん||おおぶろしき||つつんで|め||しろくろ|||||や||しりめ|||かえって||
おしまい