×
Vi använder kakor för att göra LingQ bättre. Genom att besöka sajten, godkänner du vår
cookie policy.
つかの間の二万両
つかの間 の 二万 両
ある 田舎 に 、 とても 貧乏な 男 が い ました 。
いくら 働いて も お 金 が たまらない ので 、 男 は おかみ さん を 家 に 残して 江戸 へ 出かせぎ に いき ました 。
何 年 も 頑張って 働き ました が 、 けれど お 金 が 貯まり ませ ん 。
「 どうした もの か 。
何 か 一 儲け 出来 ない か な ?
」 男 は 考え に 考えて 、 ある 名案 を 思いつき ました 。
「 そうだ 。
江戸 に は こんなに 人 が いる のだ から 、 漬け物 だって そうとうに 食う だろう 。
漬け物 作り に は 、 漬け物 石 が かかせ ん 。
よし 、 漬け物 石 を 売り 歩こう 」 漬け物 石 に する 石 は 、 川 に 行けば いくら でも 転がって い ます 。
元 が ただ だ から 、 もし 売れれば ぼろ も うけ です 。
男 は さっそく 、 元手 いら ず の 商売 を はじめ ました 。
けれど やっぱり 、 漬け物 石 は さっぱり 売れ ませ ん 。
「 困った な 。
もう 一 文 も 残って い ない し 。
・・・ ええ い 、 こう なれば もう やぶれかぶれだ !
」 男 は 拾って きた 石 の 中 から きれいな の を 選んで 、 ていねいに ふろしき に 包む と 、 立派な 宿屋 に あがり 込み ました 。
やけ を 起こした 男 は ここ で さんざん 贅沢 を して から 、 宿 代 を ふみ倒して 逃げる つもりです 。
「 お ほん 。
これ は 大事な 物 だ から 、 決して 誰 も さわら んで もらい たい 」 男 は 石 の 入った ふろしき 包み を 床の間 に 置く と 、 酒 と ごちそう を たらふく 食べ ました 。
さて 次の 朝 。
男 が 朝 風呂 に 入って いる 間 に 、 宿 の おかみ さん が 掃除 に き ました 。
そして 床の間 の ふろしき 包み を 、 置きかえよう と した とき です 。
むすび目 が とけて 、 中 の 石 が ゴロッ と 転がり 出 ました 。
する と その 石 が 朝日 を 反射 して 、 ピカピカ と 光り輝く で は あり ませ ん か 。
おかみ さん は ビックリ して 、 すぐさま 主人 に 知らせ ました 。
「 お 客 さん が 、 大きな 金剛 石 ( こんごう せき → ダイヤモンド ) を お 持ち です 。
是非 と も ゆずり受けて 、 家 の 宝物 に し ましょう 」 「 金剛 石 か !
よし わかった 」 主人 は さっそく 、 男 に 頼み ました 。
「 お 客 さま 。
どうか お 持ち の 石 を 、 千 両 ( せんりょう → 七千万 円 ) で お ゆずり ください 」 「 は あ ?
」 男 は 、 あっけにとられ ました 。
ただ で 拾って きた 石ころ が 千 両 だ なんて 、 いくら なんでも 高 すぎ ます 。
「 そんな 値段 で は 、 とても 売れ ませ ん 」 男 は 正直に 、『 これ は 拾って きた 物 です 』 と 言う つもりでした が 、 主人 は 勝手に 勘違い して 値 を つり あげ ました 。
「 では 、 一万 両 (→ 七億 円 ) で は いかがでしょう ?
」 「 いやいや 、 だ から 、 そんな 値段 で は とても 」 男 が うろたえる と 、 主人 は ますます 勘違い して 、 「 それでは 思い切って 、 二万 両 (→ 十四億 円 ) で どう でしょう ?
」 と 、 大変な 値 を つけ ました 。
「 よし 、 売った !
」 男 は 大喜びで 二万 両 を 受け取る と 、 大急ぎで 我が家 へ 帰り ました 。
ところが 家 は 空っぽで 、 誰 も いま せ ん 。
「 おかしい な 。
あいつ 、 どこ へ 行った んだ ?
」 いつまで 待って も おかみ さん が 帰って こ ない ので 、 男 が 近所 の 人 に 話 を 聞く と 、 何と おかみ さん は 男 が 出かけた 後 に 急な 病 で 死んで しまい 、 今 は お 墓 に 入って いる と の 事 です 。
「 何 だ 、 せっかく 大 金持ち に なって 帰って きた と いう のに 。
・・・ せめて 、 墓まいり を して やろう 」 男 が お 墓 に いく と 、 草 が ぼう ぼう です 。
「 まずは 、 草 むしり だ 」 男 が 草 を むしり はじめる と 、 「 いた たた たっ 」 と 、 声 が し ました 。
「 へんだ なあ ?
草 が もの を 言う わけ が ない し 、 気のせい だろう 。
もっと まとめて 引っこ抜いて やる か 」 男 が ひとまとめ に した 草 を 、 力まかせに 引き抜こう と する と 、 「 お前 さん !
あたし の 大事な 髪 の 毛 を 抜いて 、 どう する 気 だい !
ねぼけ ないで おくれ 」 と 、 聞き覚え の ある 、 おかみ さん の 声 が し ました 。
「 あれ ?
おれ の かみ さん は 、 とっくに 死んだ はずだ が ?
」 男 が 目 を こすって 見回す と 、 そこ は 我が家 の えんがわ でした 。
「 あちゃ ー 。
どうりで 話 が うま すぎる と 思ったら 、 昼寝 の 夢 か 」 男 は あくび まじり に 、 大きな ためいき を つき ました 。
♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )
つかの間の二万両
つかのま の にまん りょう
つかの間 の 二万 両
つかのま||にまん|りょう
ある 田舎 に 、 とても 貧乏な 男 が い ました 。
|いなか|||びんぼうな|おとこ|||
いくら 働いて も お 金 が たまらない ので 、 男 は おかみ さん を 家 に 残して 江戸 へ 出かせぎ に いき ました 。
|はたらいて|||きむ||||おとこ|||||いえ||のこして|えど||でかせぎ|||
何 年 も 頑張って 働き ました が 、 けれど お 金 が 貯まり ませ ん 。
なん|とし||がんばって|はたらき|||||きむ||たまり||
「 どうした もの か 。
何 か 一 儲け 出来 ない か な ?
なん||ひと|もうけ|でき|||
」 男 は 考え に 考えて 、 ある 名案 を 思いつき ました 。
おとこ||かんがえ||かんがえて||めいあん||おもいつき|
「 そうだ 。
そう だ
江戸 に は こんなに 人 が いる のだ から 、 漬け物 だって そうとうに 食う だろう 。
えど||||じん|||||つけもの|||くう|
漬け物 作り に は 、 漬け物 石 が かかせ ん 。
つけもの|つくり|||つけもの|いし|||
よし 、 漬け物 石 を 売り 歩こう 」 漬け物 石 に する 石 は 、 川 に 行けば いくら でも 転がって い ます 。
|つけもの|いし||うり|あるこう|つけもの|いし|||いし||かわ||いけば|||ころがって||
元 が ただ だ から 、 もし 売れれば ぼろ も うけ です 。
もと||||||うれれば||||
男 は さっそく 、 元手 いら ず の 商売 を はじめ ました 。
おとこ|||もとで||||しょうばい|||
けれど やっぱり 、 漬け物 石 は さっぱり 売れ ませ ん 。
||つけもの|いし|||うれ||
「 困った な 。
こまった|
もう 一 文 も 残って い ない し 。
|ひと|ぶん||のこって|||
・・・ ええ い 、 こう なれば もう やぶれかぶれだ !
」 男 は 拾って きた 石 の 中 から きれいな の を 選んで 、 ていねいに ふろしき に 包む と 、 立派な 宿屋 に あがり 込み ました 。
おとこ||ひろって||いし||なか|||||えらんで||||つつむ||りっぱな|やどや|||こみ|
やけ を 起こした 男 は ここ で さんざん 贅沢 を して から 、 宿 代 を ふみ倒して 逃げる つもりです 。
||おこした|おとこ|||||ぜいたく||||やど|だい||ふみたおして|にげる|
「 お ほん 。
これ は 大事な 物 だ から 、 決して 誰 も さわら んで もらい たい 」 男 は 石 の 入った ふろしき 包み を 床の間 に 置く と 、 酒 と ごちそう を たらふく 食べ ました 。
||だいじな|ぶつ|||けっして|だれ||||||おとこ||いし||はいった||つつみ||とこのま||おく||さけ|||||たべ|
さて 次の 朝 。
|つぎの|あさ
男 が 朝 風呂 に 入って いる 間 に 、 宿 の おかみ さん が 掃除 に き ました 。
おとこ||あさ|ふろ||はいって||あいだ||やど|||||そうじ|||
そして 床の間 の ふろしき 包み を 、 置きかえよう と した とき です 。
|とこのま|||つつみ||おきかえよう||||
むすび目 が とけて 、 中 の 石 が ゴロッ と 転がり 出 ました 。
むすびめ|||なか||いし||||ころがり|だ|
する と その 石 が 朝日 を 反射 して 、 ピカピカ と 光り輝く で は あり ませ ん か 。
|||いし||あさひ||はんしゃ||ぴかぴか||ひかりかがやく||||||
おかみ さん は ビックリ して 、 すぐさま 主人 に 知らせ ました 。
|||びっくり|||あるじ||しらせ|
「 お 客 さん が 、 大きな 金剛 石 ( こんごう せき → ダイヤモンド ) を お 持ち です 。
|きゃく|||おおきな|こんごう|いし|||だいやもんど|||もち|
是非 と も ゆずり受けて 、 家 の 宝物 に し ましょう 」 「 金剛 石 か !
ぜひ|||ゆずりうけて|いえ||たからもの||||こんごう|いし|
よし わかった 」 主人 は さっそく 、 男 に 頼み ました 。
||あるじ|||おとこ||たのみ|
「 お 客 さま 。
|きゃく|
どうか お 持ち の 石 を 、 千 両 ( せんりょう → 七千万 円 ) で お ゆずり ください 」 「 は あ ?
||もち||いし||せん|りょう||しちせんまん|えん||||||
」 男 は 、 あっけにとられ ました 。
おとこ|||
ただ で 拾って きた 石ころ が 千 両 だ なんて 、 いくら なんでも 高 すぎ ます 。
||ひろって||いしころ||せん|りょう|||||たか||
「 そんな 値段 で は 、 とても 売れ ませ ん 」 男 は 正直に 、『 これ は 拾って きた 物 です 』 と 言う つもりでした が 、 主人 は 勝手に 勘違い して 値 を つり あげ ました 。
|ねだん||||うれ|||おとこ||しょうじきに|||ひろって||ぶつ|||いう|||あるじ||かってに|かんちがい||あたい||||
「 では 、 一万 両 (→ 七億 円 ) で は いかがでしょう ?
|いちまん|りょう|しちおく|えん|||
」 「 いやいや 、 だ から 、 そんな 値段 で は とても 」 男 が うろたえる と 、 主人 は ますます 勘違い して 、 「 それでは 思い切って 、 二万 両 (→ 十四億 円 ) で どう でしょう ?
||||ねだん||||おとこ||||あるじ|||かんちがい|||おもいきって|にまん|りょう|じゅうよんおく|えん|||
」 と 、 大変な 値 を つけ ました 。
|たいへんな|あたい|||
「 よし 、 売った !
|うった
」 男 は 大喜びで 二万 両 を 受け取る と 、 大急ぎで 我が家 へ 帰り ました 。
おとこ||おおよろこびで|にまん|りょう||うけとる||おおいそぎで|わがや||かえり|
ところが 家 は 空っぽで 、 誰 も いま せ ん 。
|いえ||からっぽで|だれ||||
「 おかしい な 。
あいつ 、 どこ へ 行った んだ ?
|||おこなった|
」 いつまで 待って も おかみ さん が 帰って こ ない ので 、 男 が 近所 の 人 に 話 を 聞く と 、 何と おかみ さん は 男 が 出かけた 後 に 急な 病 で 死んで しまい 、 今 は お 墓 に 入って いる と の 事 です 。
|まって|||||かえって||||おとこ||きんじょ||じん||はなし||きく||なんと||||おとこ||でかけた|あと||きゅうな|びょう||しんで||いま|||はか||はいって||||こと|
「 何 だ 、 せっかく 大 金持ち に なって 帰って きた と いう のに 。
なん|||だい|かねもち|||かえって||||
・・・ せめて 、 墓まいり を して やろう 」 男 が お 墓 に いく と 、 草 が ぼう ぼう です 。
|はかまいり||||おとこ|||はか||||くさ||||
「 まずは 、 草 むしり だ 」 男 が 草 を むしり はじめる と 、 「 いた たた たっ 」 と 、 声 が し ました 。
|くさ|||おとこ||くさ|||||||||こえ|||
「 へんだ なあ ?
草 が もの を 言う わけ が ない し 、 気のせい だろう 。
くさ||||いう|||||きのせい|
もっと まとめて 引っこ抜いて やる か 」 男 が ひとまとめ に した 草 を 、 力まかせに 引き抜こう と する と 、 「 お前 さん !
||ひっこぬいて|||おとこ|||||くさ||ちからまかせに|ひきぬこう||||おまえ|
あたし の 大事な 髪 の 毛 を 抜いて 、 どう する 気 だい !
||だいじな|かみ||け||ぬいて|||き|
ねぼけ ないで おくれ 」 と 、 聞き覚え の ある 、 おかみ さん の 声 が し ました 。
||||ききおぼえ||||||こえ|||
「 あれ ?
おれ の かみ さん は 、 とっくに 死んだ はずだ が ?
||||||しんだ||
」 男 が 目 を こすって 見回す と 、 そこ は 我が家 の えんがわ でした 。
おとこ||め|||みまわす||||わがや|||
「 あちゃ ー 。
|-
どうりで 話 が うま すぎる と 思ったら 、 昼寝 の 夢 か 」 男 は あくび まじり に 、 大きな ためいき を つき ました 。
|はなし|||||おもったら|ひるね||ゆめ||おとこ|||||おおきな||||
♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )
BLACK FRIDAY SALE
Save 40%
Learn
a New Languagefrom
YouTube
Music
Podcasts
News
Books
Register and Save