Grisaia no Kajitsu Episode 11

一 姫 ひと|ひめ

佐久間 先輩 何 を なさって る ん です か さくま|せんぱい|なん||||||

お 天 音 か |てん|おと|

メール を 送信 し た まま 空 に 投げ れ ば めーる||そうしん||||から||なげ||

圏 内 に 入って 助け が 呼べ る ん じゃ ない か と 思った けど さ けん|うち||はいって|たすけ||よべ|||||||おもった||

一 度 も 成功 し なく て ひと|たび||せいこう|||

そう です か

森 に 入る なら 目印 を つけ ながら 行った ほう が いい よ しげる||はいる||めじるし||||おこなった||||

すぐ 迷う から |まよう|

分かり まし た わかり||

一 姫 一 姫 ひと|ひめ|ひと|ひめ

一 姫 どこ に いる の ひと|ひめ||||

人 の 名前 は あまり 大きな 声 で 叫ば ない で もらえ る じん||なまえ|||おおきな|こえ||さけば||||

一 姫 どこ 行って た の ひと|ひめ||おこなって||

トイレ よ といれ|

ついで だ から 食べ られ そう な 草 を 摘 ん で 来 た わ ほら |||たべ||||くさ||つま|||らい|||

とりあえず 朝食 は これ で 済ませ ま しょ う |ちょうしょく||||すませ|||

食 材 なら まだ 残って る けど しょく|ざい|||のこって||

日持ち する 物 は できる だけ 残し て おき たい の ひもち||ぶつ||||のこし||||

三 日 で ここ を 脱出 できる と は 限ら ない の だ し みっ|ひ||||だっしゅつ||||かぎら||||

そう か そう だ よ ね

そんなに がっかり し ない で

確かに 絶望 的 で は ある けど 助から ない と 決まった わけ で は ない から たしかに|ぜつぼう|てき|||||たすから|||きまった|||||

私 達 が 助かる 方法 って ある の わたくし|さとる||たすかる|ほうほう|||

ある に は ある けど まだ 無理 ||||||むり

今 は ただ じっと 耐える しか ない わ いま||||たえる|||

あ ち ょ 一 姫 |||ひと|ひめ

もう これ から は 勝手 に 一 人 で 行動 し ない で ||||かって||ひと|じん||こうどう|||

私 心配 し た ん だ よ わたくし|しんぱい|||||

あなた が 私 を ||わたくし|

そりゃ さ 私 ごとき が おこがましい と 思う けど ||わたくし|||||おもう|

いえ そういう 意味 で は なく て ||いみ||||

むしろ 私 を 心配 して くれる 人 が いる こと に 驚 い た と いう か |わたくし||しんぱい|||じん|||||おどろ|||||

でも そう ね ごめんなさい

そんな 顔 を し ない で |かお||||

大丈夫 あなた を 置 い て どこ に も 行き は し ない から だいじょうぶ|||お||||||いき||||

約束 やくそく

ええ 約束 する わ |やくそく||

ぜんぜん 揚がり ませ ん ね |あがり|||

いい 考え だ と 思った ん だ けど な |かんがえ|||おもった||||

もう ちょっと やって みよ う か

お 天 音 君 の 相方 見つかった かな |てん|おと|きみ||あいかた|みつかった|

あ はい 今 は 大 テント に ||いま||だい|てんと|

そ っか あの 風見 って 子 は ほうって おく と 拗ねる タイプ だ から |||かざみ||こ|||||すねる|たいぷ||

気 を つけ て あげ な よ き||||||

え まさか

あの 一 姫 です よ |ひと|ひめ||

分かっちゃ い ない ね 周防 天 音 わかっちゃ||||すおう|てん|おと

だったら 彼女 と 揉め た 時 こんな こと を 言って み な |かのじょ||もめ||じ||||いって||

一 姫 いる ひと|ひめ|

天 音 悪い けど 広岡 さん の タオル を 変え て あげて もらえ る てん|おと|わるい||ひろおか|||たおる||かえ||||

わ 分かった |わかった

ありがとう 風見 さん |かざみ|

私 じゃ ない わ 今 あなた を 見て いる の は 周防 天 音 よ わたくし||||いま|||みて||||すおう|てん|おと|

ありがとう 周防 さん |すおう|

そう 意識 を しっかり ね |いしき|||

呼吸 の タイミング を 忘れ ない よう に こきゅう||たいみんぐ||わすれ|||

うん ごめん ね

はい ごめんなさい

どうして も 我慢 でき ない 時 は 呼 ん で ください ||がまん|||じ||よ|||

その 時 は また 消毒 し ます |じ|||しょうどく||

先輩 たち の 携帯 つながら ない って せんぱい|||けいたい|||

この 全域 が 圏 外 で ある 可能 性 も ある し ね |ぜんいき||けん|がい|||かのう|せい||||

でも まだ 二 日 目 だ し ||ふた|ひ|め||

試せ る こと は 試し た 方 が いい ためせ||||ためし||かた||

ペア なんか 組ま ず に 皆 で 一丸 に なって 仕事 を しったり 試し たり し た 方 が いい の か な ぺあ||くま|||みな||いちがん|||しごと|||ためし||||かた|||||

集団 で 行動 すれ ば 必ず 怠け者 が 出 て くる しゅうだん||こうどう|||かならず|なまけもの||だ||

ペア 単位 で 何かしら 仕事 を 与え た ほう が 効率 が いい の よ ぺあ|たんい||なにかしら|しごと||あたえ||||こうりつ||||

よく 分から ない けど |わから||

一 姫 が そう 言う の なら そう な ん でしょ う ね ひと|ひめ|||いう||||||||

言い たい こと や 不満 が あれ ば いい||||ふまん|||

遠慮 なく 言い なさい えんりょ||いい|

ん あ ごめん

ただ 一 姫 の 言う こと なら 間違え ない か な って |ひと|ひめ||いう|||まちがえ||||

そういう 意味 で 言った だけ だ よ |いみ||いった|||

もし あなた が 私 と の ペア に 不満 が ある の なら |||わたくし|||ぺあ||ふまん||||

ほか の 子 と 代わって くれ て も 構わ ない の よ ||こ||かわって||||かまわ|||

何 あって なん|

大体 あなた どうして 私 と の ペア なんて 受け入れ た の よ だいたい|||わたくし|||ぺあ||うけいれ|||

それ は ね 一 姫 の こと が 一 番 好き だ から だ よ |||ひと|ひめ||||ひと|ばん|すき||||

はい

だから 私 は 一 姫 の こと が 一 番 好き だ から |わたくし||ひと|ひめ||||ひと|ばん|すき||

あなた と ペア を 組 ん だ の ||ぺあ||くみ|||

あ あ そう

一 姫 は 私 の こと 好き ひと|ひめ||わたくし|||すき

ほ 包帯 を 洗わ なきゃ |ほうたい||あらわ|

一 姫 ち ょ 嘘 ひと|ひめ|||うそ

あの 風見 一 姫 が 照れ て いる |かざみ|ひと|ひめ||てれ||

ね 一 姫 私 の こと を 好き な ん でしょ |ひと|ひめ|わたくし||||すき|||

それ も 大好き な の ね ||だいすき|||

う うるさい 私 は 今 忙しい の よ ||わたくし||いま|いそがしい||

一 姫 ひと|ひめ

ごめん

あなた ね

一 姫 ひと|ひめ

おい

助け て たすけ|

ここ です

おい

お 願い |ねがい

こっち です

助け て たすけ|

だめ だ 気づ い て もらえ ない よ ||きづ|||||

お 願い 気 が つい て |ねがい|き|||

どう だった こっち に 気 が つい た ||||き|||

そんな の 分か ん ない よ ||わか|||

でも 進路 変え まし た よ ね |しんろ|かえ||||

気 が つい たって こと な ん じゃ ない ん です か き|||||||||||

だったら なぜ 飛び去った の よ ||とびさった||

無線 と か で 連絡 を 取って いる かも しれ ない じゃ ない です か むせん||||れんらく||とって||||||||

そ そうです よ それ に 燃料 が 残り 少なく て 行った 戻った だけ かも しれ ませ ん |そう です||||ねんりょう||のこり|すくなく||おこなった|もどった|||||

また すぐに 戻って 来 ます よ ||もどって|らい||

結局 その ヘリ は 戻って 来 なかった けっきょく||へり||もどって|らい|

熱 さ で 鹿内 先輩 たち の 遺体 が 腐り 始め た ねつ|||しかうち|せんぱい|||いたい||くさり|はじめ|

越智 先生 が 三 人 を 森 へ 運 ん で いった おち|せんせい||みっ|じん||しげる||うん|||

助け が 来 た 時 たすけ||らい||じ

三 人 の 体 は そして 私 達 は どう なって いる だ ろ う みっ|じん||からだ|||わたくし|さとる|||||||

一 姫 弟 が いる の ひと|ひめ|おとうと|||

ええ いる わ よ

やっぱり その 子 も 頭 いい の ||こ||あたま||

バカ で は ない と 思う けれど ばか|||||おもう|

私 の 弟 って 時点 で どうして も 比較 さ れ て しまう し わたくし||おとうと||じてん||||ひかく|||||

ちょっと 頑張った 程度 じゃ 誰 も 認め て は くれ ない よ ね |がんばった|ていど||だれ||みとめ||||||

あの 子 に 失望 する 声 は 多い し |こ||しつぼう||こえ||おおい|

それ は 両親 で すら 例外 じゃ ない けど ||りょうしん|||れいがい|||

私 は あの 子 を とても 愛し てる わ わたくし|||こ|||あいし||

両親 か りょうしん|

本当 なら とっくに 家 に 帰って ご飯 いっぱい 食べ て ほんとう|||いえ||かえって|ごはん||たべ|

布団 で グーグー 寝 て た ん だ よ ね ふとん|||ね||||||

どうして こんな こと に なっちゃ っ た ん だ ろ う

天 音 周り を 見 て ご 覧 なさい てん|おと|まわり||み|||み|

今 は あなた と 私 しか い ない わ いま||||わたくし||||

帰り たい 私 帰り たい よ 一 姫 かえり||わたくし|かえり|||ひと|ひめ

ごめん 一 姫 |ひと|ひめ

ごめん ね 許し て ||ゆるし|

いい の よ 大丈夫 |||だいじょうぶ

いつか 必ず 私 が あなた を 家 に 帰し て あげる 約束 する わ |かならず|わたくし||||いえ||かえし|||やくそく||

食料 が 配給 制 に なった しょくりょう||はいきゅう|せい||

一 日 中 雨 ひと|ひ|なか|あめ

八 九 十 やっ|ここの|じゅう

どう しよ う

部長 少々 よろしい でしょ か ぶちょう|しょうしょう|||

何 か あった ん です か なん|||||

人参 が 一 本 足りない の にんじん||ひと|ほん|たりない|

数え 間違い で は なく て かぞえ|まちがい||||

そんな こと ない

間違え たら 部長 に 怒ら れる もの まちがえ||ぶちょう||いから||

と なる と 誰 か が 盗 ん だ 可能 性 が ある わけ です ね |||だれ|||ぬす|||かのう|せい|||||

盗ま れ た 誰 に ぬすま|||だれ|

厄介 な の は その 点 です やっかい|||||てん|

こんな 閉鎖 空間 で 犯人 探し でも 始めよ う もの なら 誰 も が 疑心 暗鬼 を 生む でしょ |へいさ|くうかん||はんにん|さがし||はじめよ||||だれ|||ぎしん|あんき||うむ|

ど どう しよ う 助け て よ 風見 さん ||||たすけ|||かざみ|

落ち着き なさい り っちゃ ん おちつき||||

いや り っちゃ ん って 先輩 だ ぞ |||||せんぱい||

私 に 考え が ある わ わたくし||かんがえ|||

ちょっと

いい から 落ち着 い て 見 て なさい ||おちつ|||み||

そして これ を

どう ほら これ で 十 一 本 ||||じゅう|ひと|ほん

嘘 ほんと に 十 一 本 ある うそ|||じゅう|ひと|ほん|

どう やった の

結構 有名 な パズル な ん だ けど 知ら ない けっこう|ゆうめい||ぱずる|||||しら|

風見 さん ありがとう かざみ||

この 恩 は 必ず 返す から |おん||かならず|かえす|

いい の よ り っちゃ ん 気 に し ない で ||||||き||||

小出 先輩 とんでもない 女 に 借り を 作った って 気 づい てる の か な こいで|せんぱい||おんな||かり||つくった||き|||||

いい加減 に し なさい いいかげん|||

こんな 食事 でも 食べ られ ない 子 も いる の よ |しょくじ||たべ|||こ||||

ほら 食べ なさい |たべ|

熱 が ある の なら なおさら 営 養 を ねつ||||||いとな|やしな|

食べ たく ない ん です たべ||||

そんな こと ない でしょ

お 願い し ます もう 許し て ください |ねがい||||ゆるし||

許し て って 何 よ ゆるし|||なん|

まるで あたし が あなた を いじめ てる よう じゃ ない

人 が 嫌がって いる 事 を 無理強い する の が いじめ 以外 の なん だ と 言う ん です じん||いやがって||こと||むりじい|||||いがい|||||いう||

弱者 を 相手 に いい 人 ごっこ を し て いる 姿 を 主張 し たい の なら じゃくしゃ||あいて|||じん||||||すがた||しゅちょう||||

少し は 他者 を 思いやる 姿勢 を 見せ て は いかが です か すこし||たしゃ||おもいやる|しせい||みせ|||||

ここ は もう 結構 です から ご 自分 の テント に お 戻り ください |||けっこう||||じぶん||てんと|||もどり|

か 一 姫 |ひと|ひめ

情けない 声 を 出さ ない で 頂 戴 なさけない|こえ||ださ|||いただ|たい

薬草 は ？ やくそう|

摘 ん で き た けど つま|||||

ありがとう

今日 は 外 に 出 て 日 に あたって ください きょう||がい||だ||ひ|||

お 世話 に なり まし た |せわ||||

さて 広岡 さん |ひろおか|

はい

なかなか 気づ い て あげ られ なく て ごめんなさい |きづ|||||||

な なん の こと です か

あなた が 食事 を とり た がら ない 理由 よ ||しょくじ||||||りゆう|

待って お 願い いや まって||ねがい|

恥ずかしい の は わかる けど このまま に し て は おけ ない でしょ う はずかしい|||||||||||||

天 音 悪い けど お 湯 を 沸かし て き て くれる てん|おと|わるい|||ゆ||わかし||||

うん わかった

急が ない で いい わ お 願い いそが||||||ねがい

広岡 さん 漏らし ちゃ った ん だ ひろおか||もらし||||

今 の 広岡 さん は 自分 の 足 で 立ち上がる こと も でき ない いま||ひろおか|||じぶん||あし||たちあがる||||

食事 を 拒み 続け た 理由 は 出し たく ない から 食べ たく ない しょくじ||こばみ|つづけ||りゆう||だし||||たべ||

と いう こと だった ん だ

気 に する こと は ない わ 生き て い れ ば 当たり 前 の こと な の だ から き|||||||いき|||||あたり|ぜん||||||

ち ぇ なん だ よ 一 姫 の やつ |||||ひと|ひめ||

私 に は あんな 優しい 顔 絶対 し ない くせ に さ わたくし||||やさしい|かお|ぜったい|||||

首 の ところ 血 が 出 てる わ くび|||ち||だ||

一 姫 ひと|ひめ

ヒル に 噛ま れ た の ね ||かま||||

天 音 私 は あなた を 一 番 信頼 し て いる し てん|おと|わたくし||||ひと|ばん|しんらい||||

一 番 頼って いる の も 事実 よ ひと|ばん|たよって||||じじつ|

私 が どこ へ 行 こ う と 結局 最後 に は ここ へ 帰って くる の だ から わたくし||||ぎょう||||けっきょく|さいご|||||かえって||||

あなた は どっしり と 構えて 待って い れ ば いい の ||||かまえて|まって|||||

な なに よ

血 が 止まって い ない じゃ ない ち||とまって||||

や ちょ っ 一 姫 そんなに 強く 吸ったら |||ひと|ひめ||つよく|すったら

越智 先生 が 明日 ここ を 出 て く そう よ おち|せんせい||あした|||だ||||

出て 行く って どうして でて|いく||

周辺 を 調べ て なんとか 下山 でき そう な 目 処 が 立った そう よ しゅうへん||しらべ|||げざん||||め|しょ||たった||

先生 が い なく なったら 私 達 は どう なる ん だ ろ せんせい|||||わたくし|さとる||||||

心配 は いら ない わ しんぱい||||

もしも 何 か を 犠牲 に し なけ れ ば あなた を 守れ ない と いう 状況 に なったら |なん|||ぎせい||||||||まもれ||||じょうきょう||

私 は すべて を 犠牲 に し て でも あなた を 守る から 大丈夫 わたくし||||ぎせい|||||||まもる||だいじょうぶ

愛し てる わ 天 音 あいし|||てん|おと

では 行く よ |いく|

先生 どう か お 気 を つけ て せんせい||||き|||

うん 必ず 助け を 呼 ん で くる |かならず|たすけ||よ|||

先生 大丈夫 かな せんせい|だいじょうぶ|

正直 あんまり 期待 し ない ほう が いい ね しょうじき||きたい||||||

食料 半分 も 持って行った ん です よ しょくりょう|はんぶん||もっていった|||

結果 を 出し て くれ なきゃ 困り ます よ けっか||だし||||こまり||

あなた 達 おしゃべり し てる 暇 が あったら |さとる||||いとま||

他 に やる べき こと が いくら で も ある でしょ う た|||||||||||

部長 ぶちょう

はい はい ごめん よ

なん かさ 坂下 を 見 てる と こういう 状況 で 怒鳴り 散らす だけ の 人間 が ||さかした||み||||じょうきょう||どなり|ちらす|||にんげん|

どれ だけ 惨め か って 思い知ら さ れる よ ね ||みじめ|||おもいしら||||

言い 方 は どう あれ いい|かた|||

坂下 部長 の 言葉 に 間違い が ない の も 事実 です さかした|ぶちょう||ことば||まちがい|||||じじつ|

私 達 の 食料 は 半減 し た の だ から 探し に 行か なけ れ ば わたくし|さとる||しょくりょう||はんげん||||||さがし||いか|||

今 は ただ 自分 に 出来る こと を する しか ない いま|||じぶん||できる|||||

そんな 言葉 で 自分 を 騙し て い て も 限界 は 近い よう な 気 が し て い た |ことば||じぶん||だまし|||||げんかい||ちかい|||き|||||

それ でも 私 は 一 姫 に 付いて行く こと しか 頭 に なかった ||わたくし||ひと|ひめ||ついていく|||あたま||

それ 以外 に どう すれ ば いい の か 考えよ う と も し て い なかった の だ |いがい||||||||かんがえよ|||||||||

また 雨 だ もう うんざり |あめ|||

雨 粒 が テント に 当たる 音 を 聞いて いる と イライラ し て くる あめ|つぶ||てんと||あたる|おと||きいて|||いらいら|||

満たさ れ ない 空腹 も また その 拍車 を かける みたさ|||くうふく||||はくしゃ||

天 音 あなた 日記 に 書 い てる こと を 声 に 出し てる けど てん|おと||にっき||しょ|||||こえ||だし||

ええ ウソ |うそ

自覚 なし 重症 ね 気 を つけ なさい じかく||じゅうしょう||き|||

ほら これ でも 食べ て 元気 を だし て |||たべ||げんき|||

もう で んで ん 虫 飽き た ||||ちゅう|あき|

てい うか 虫 以外 の もの が 食べ たい よ ||ちゅう|いがい||||たべ||

食べ たら 大 テント に 行き ま しょ う お 湯 と 雑炊 を 用意 し て ね たべ||だい|てんと||いき|||||ゆ||ぞうすい||ようい|||

お 湯 沸 い た よ |ゆ|わ|||

ありがとう 天 音 |てん|おと

そこ の 手拭い を 熱湯 で 消毒 し て 広岡 さん の 体 を 拭い て くれる ||てぬぐい||ねっとう||しょうどく|||ひろおか|||からだ||ぬぐい||

こっち は いい から 広岡 さん を ||||ひろおか||

ちょっと まって ね 今 は 暑い タオル で 拭い て あげる から |||いま||あつい|たおる||ぬぐい|||

たし … もう … に たい

うん なに なんて

私 もう 死に たい わたくし||しに|

大丈夫 だ よ ちょっと カビ が 生え た だけ じゃ ん だいじょうぶ||||かび||はえ||||

体中 が 痒 い の たいちゅう||よう||

気 が 変 に なり そう もう イヤ き||へん|||||いや

我慢 し て 今 綺麗 に し て あげる から がまん|||いま|きれい|||||

掻 い ちゃ ダメ って 言った のに か|||だめ||いった|

ごめんなさい 我慢 でき なく て |がまん|||

ありがとう 周防 さん 気持ち いい |すおう||きもち|

ごめん ね 面倒 ばかり かけ て ||めんどう|||

私 きっと もう すぐ 死ぬ から それ まで は ごめん ね わたくし||||しぬ||||||

そんな こと 言っちゃ ダメ だ よ ||いっちゃ|だめ||

体 を 拭い て あげる ぐらい いつ だって し て あげる から からだ||ぬぐい|||||||||

元気 出し て よ げんき|だし||

うん 私 この 恩 は 必ず 返す から |わたくし||おん||かならず|かえす|

そうして その ため に は 絶対 に 生き残ら ない と ね |||||ぜったい||いきのこら|||

私 死 ん で も 絶対 に この 恩 を 忘れ ない よ わたくし|し||||ぜったい|||おん||わすれ||

だから そういう こと は 言わ ない の ||||いわ||

大丈夫 死な ない から だいじょうぶ|しな||

あめ あめ ふれ ふれ かあさん が

うる せ ぇ ぞ 伊吹 ||||いぶき

ピッチ ピッチ チャップ チャップ ラン ラン ラン ぴっち|ぴっち|||らん|らん|らん

何 な ん だ ろ う ね あれ たまに ああ やって おかしく なる けど なん|||||||||||||

しばらく する と いつも の ブッ キー に 戻って る ん だ よ ね ||||||きー||もどって|||||

ダイエット に よる ビタミン 不足 に 加え だいえっと|||びたみん|ふそく||くわえ

今 の 深刻 な 滋養 不足 で 脳 の 機能 に 障害 が 出 始め てる ん じゃ な いかって 一 姫 が いま||しんこく||じよう|ふそく||のう||きのう||しょうがい||だ|はじめ||||||ひと|ひめ|

うち の 古 森 も だいぶ や ばい 感じ だ よ ||ふる|しげる|||||かんじ||

アリオン が 熱 出し て 自分 の 分 の 食料 まで やって る ん だ けど さ ||ねつ|だし||じぶん||ぶん||しょくりょう|||||||

あれ じゃあ あいつ が もた ない よ

みんな どんどん 弱って く ||よわって|

このまま あたし ら みんな 死ぬ ん だ ||||しぬ||

越智 先生 が ここ を 出 て 2 日 以上 が 経つ おち|せんせい||||だ||ひ|いじょう||たつ

相変わらず 救助 は 来 ない し 先生 も 戻って こ ない あいかわらず|きゅうじょ||らい|||せんせい||もどって||

先生 は 必ず 助け を 呼 ん で くる と 言って ここ を 出て 行った せんせい||かならず|たすけ||よ|||||いって|||でて|おこなった

そんな 言葉 を 信じ て いる 者 は 半分 も い なかった |ことば||しんじ|||もの||はんぶん|||

それ でも 誰 も が 心 の どこ か で もしかしたら と 信じ て い た し ||だれ|||こころ|||||||しんじ||||

期待 も し て い た きたい|||||

日 を 追う ごと に 薄く なる 期待 は やがて 冷酷 な 現実 に 取って代わる ひ||おう|||うすく||きたい|||れいこく||げんじつ||とってかわる

私 達 は ただ 死な ない ため に 生きる の で 精一杯 だった わたくし|さとる|||しな||||いきる|||せいいっぱい|

お腹 が 空け ば 雑草 や 虫 を 喰 み おなか||あけ||ざっそう||ちゅう||しょく|

喉 が 渇け ば 生水 を 飲む のど||か わけ||なまみず||のむ

食べ られる もの を 探しまわり たべ||||さがしまわり

その 以外 の 時間 は 下痢 し た お 腹 を さすり ながら ただ 寝 た ふり を する |いがい||じかん||げり||||はら|||||ね||||

運 良く 眠る こと に 成功 すれ ば 苦痛 を 忘れる こと が でき た うん|よく|ねむる|||せいこう|||くつう||わすれる||||

古 森 さん の アリオン が 死 ん だ ふる|しげる|||||し||

アー くん

せめて 手厚く 葬 ろ う |てあつく|ほうむ||

あら 食べ ない の |たべ||

食べる って 犬 を たべる||いぬ|

そう この 子 に 助け て もらう の ||こ||たすけ|||

そう … ね 彼女 の 意見 が 正しい わ 食べ ま しょ う ||かのじょ||いけん||ただしい||たべ|||

それ が アリオン の 最後 の 奉公 よ ||||さいご||ほうこう|

わかり … まし た

だったら 虫 が わく 前 に 肉 に し た ほう が いい わ ね |ちゅう|||ぜん||にく||||||||

皆さん ジャンケン って ご存知 みなさん|||ごぞんじ

い や ぁ 私 犬 を さ ばい た 経験 なんか ない |||わたくし|いぬ|||||けいけん||

しっかり し なさい 医者 の 娘 でしょ う |||いしゃ||むすめ||

そんな

見 てる 見 てる よ み||み||

絶対 無理 ぜったい|むり

これ でも う どこ が 目 な の か わから ない でしょ う |||||め|||||||

頑張り なさい がんばり|

こんな の こんな の ひど すぎる よ 私 に は でき ない |||||||わたくし||||

そして 一 姫 の 手 で 解体 さ れ た アリオン は 肉 と なり |ひと|ひめ||て||かいたい||||||にく||

私 達 は それ を 食べ た わたくし|さとる||||たべ|

久しぶり に 口 に し た 肉 の 味 は 目 の 前 が クラクラ する ほど 美味しかった ひさしぶり||くち||||にく||あじ||め||ぜん|||||おいしかった

一口 で なく なって しまう 程度 の 量 だった けれど ひとくち|||||ていど||りょう||

誰 も が その 滋養 に 涙 を 流し だれ||||じよう||なみだ||ながし

骨 まで 噛み砕く よう に し て 食べ た こつ||かみくだく|||||たべ|

古 森 さん も 顔 を くしゃくしゃ に し て 何度 も 鼻 を 啜 り ながら ふる|しげる|||かお||||||なんど||はな||せつ||

肉 に かぶり つい た にく||||

この 一口 の 肉 で 私 達 は 生き延び た |ひとくち||にく||わたくし|さとる||いきのび|

この たった 一口 の 肉 の 味 を 私 達 は きっと 一生 忘れ ない だ ろ う ||ひとくち||にく||あじ||わたくし|さとる|||いっしょう|わすれ||||