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地獄少女 三鼎, 地獄少女 三鼎 - 17

地獄 少女 三 鼎 - 17

山河 三 差 路 分かれ 道

守り たい の は 己 か 人 か

常 世 の 闇 か …

非だ の 乱れ は 貢が ない

終わる 事 ない 阿 鼻 の 芸

時に 分け入れ 扉 が 開く

晴らせ ぬ 恨み 晴らし ます

どなた ?

地獄 少女 呼んだ でしょ ?

貴方 が … ええ

山 童

ひかる ?

はい お 嬢

受け取り なさい

芦屋 さん って こと は 親父 の 代 から 馴染み で ね

いえ ちっちゃ ん の ところ かも しれ ない な

じゃ ご 夫婦 は 相当 …

八十 が 九十 年 たら 百 超え かも しれ ない

100?

でも 保険 は 入ら ない と 思う よ

どうして ?

子供 も 孫 も い ない から

いや 子供 が いた らしい けど なくなった と か

いつ の 話 ?

戦前 の それ から だって さ

世間 と 没 交渉 に なった の は

生物 学 者 芦屋 利三郎 博士 長男 ?

ひかる 君 の 安否

警察 および 消防 団 の 必死の 捜索 に かかわら ず

いまだ 知れ ず

ついに 捜索 終了 が 決定 と なる

おそらく 沼 に 沈んだ もの と 思わ れる

この あたり の 沼 の 多く が 底なし 沼 にて 過去 に ……

そい つ は いつ の 話 だい ?

小学生 の とき です よ

大阪 万博 や て ところ だった かな

林 の 中 で 昆虫 採集 して 道 に 迷った んです

そ したら 同じ 年 くらい の 男の子 が 現れて

出口 が 案内 して くれて

知ら ない 子 だった んで

うち どこ って 聞いた んです よ

すると あの 屋敷 を 指して あそこ って

うち 帰って その 子 と 話したら

そんな 子 は い ない って 言う んです よ

ホント ぞっと し ました よ

だ ろ なあ

仕事 よ 依頼 人 の 名 は 芦屋 富士子

じゃ 俺 が

その 仕事 僕 に !

俺 は 別に かまわ ない が

理由 は ? それ 次第

理由 は 早く みなさん の ように なれる よう

経験 を 積ま なきゃ と 思って

ほう そい つ は 感心な こった

いや

優等 生 ぶって 頭 出せ !

はい 姫

え ぃっ

いい でしょう か ?

いい わ

ありがとう ございます

ねじれて いる

突然 お邪魔 し まして 申し訳 あり ませ ん

私 御 景柚 木 と 申し ます

実は お宅 の お婆 ちゃ …

いえ お婆 さま に お 話 が あり まして

お婆 さま ?

はい 八十 歳 くらい の …

そんな 人 は い ない よ

この 家 に いる の は わたし と 妻 の 二 人 だけ

あら あなた ひかる は ?

ああ そう だった な ひかる も だ

わたくし たち の 子ども です の 男の子

は ぁ

どうした の ? 具合 でも

いえ え 大丈夫です

家 を 間違えた みたいです すみません

何 か が 変 何 か が

なん だった の かしら ?

さあ ね

あら

あなた は ?

きく り

さっき の 人 と 一緒に 来た の ?

違う

じゃ ひかる の お 友だち ?

遊び に 来て くれた の ね ありがとう

ひかる お 母さん わ よ 入る わ ね

ひかる お 友だち が 遊び に 来て くれた わ よ

きく り ちゃん

そう な の よかった わ ね

じゃ お 母さん 夕食 の 支度 が ある から

きく り ちゃん も 食べて って ね

な に やって んだ わ ろ わ ろ

寝て ます

その くらい わかって る !

あの おばさん

自分 の 子ども と 藁 人形 の 区別 も つか ない の か ぁ

違う んです 僕 は 昔 あの 人 の 子ども だった んです

なんだ ぁ そりゃ

窓 の 外 に 山 が 見え ます よ ね

僕 は あの 山 で 生まれ ました

生まれた 時 から ずっと 一 人 でした

親 も い ない 仲間 も い ない

たまに 人間 が 山 に 踏み 入って くる こと も あり ました

でも 僕 を 見る と …

そんな 時 です お 嬢 と 会った の は

一緒に 来 ない ? 寂しく ない の ?

なに が ?

ずっと 一 人 で

べつに

気 が 変わったら いつでも いらっしゃい

強 がって いた わけじゃ あり ませ ん

一 人 ぼ っち が 普通だ と 思って いた

人間 の 家族 を 見た の は それ が 最初でした

なんで 笑って る の か

当時 の 僕 に は 理解 でき ませ ん でした

それ が …

ひかる !!

最初 は 好奇心 でした

ふ ふ ふ もう すぐ 完成 だ

永遠の 生命 を 与える アンブロシア が

あと 少し で

それ から 長い 長い 年月 が たち ました

それ な んです の ?

わたし が 品種 改良 した 冬 虫 夏 草 だ

さ ぁ 飲み なさい

どう かね

少し 楽に なり ました わ

そう か

ひかる もう すぐ お 母さん も 逝き ます から ね

おか あ … さん

どうして そんな こと を した の か

自分 でも よく わから ない んです が

たぶん あの 人 が 死ぬ 前 に 夢 を 見せて あげよう と

ひかる …

誰 か と 触れ合った の は それ が 初めて でした

お 母さん

その 子 は ?

何 を 言って る です か ? あなた

ひかる です よ ひかる が 戻って きた んです

良かった サイズ が ぴったりで

ひかる お 母さん に お礼 は ?

はい ありがとう お 母さん

その うち 本当に 家族 の 一員 に なった

ような 気 が して き ました

君 どこ の 子 ?

あそこ

さよなら

町 の 人間 と の 接触 は 避けた ほう が いい な

え ?

それ が 人 あら ざる もの の 掟 じゃ ない の か ね ?

じゃあ あなた は それ を 知っていて どうして …

来た まえ

冬 虫 夏 草 と いって

蛾 や 蟻 など 昆虫 の 幼虫 に

寄生 する 菌類 だ

冬 は 虫 だった のに

夏 は 草 に 変化 する と 信じ られて

その 名 が 付いた

漢方 薬 の 原料 で も ある

冬 虫 夏 草 を 虫 以外 の 生物 に

寄生 さ せたら どう なる か が

わたし の 長年 の 研究 課題 で ね

色々 試して みた が なかなか 思う

ような 結果 を 出せ ず に いた

そこ で 君 に 頼み な んだ が

なん です ?

君 の 身体 に 寄生 さ せて もらえ ない か

科学 的に 不可能 と いう の なら

君 たち の ような 非 科学 的 存在 に こそ

成功 の 可能 性 が ある の かも しれ ない

頼む 妻 を 助け たい んだ

えっ

妻 の 命 は そう 長く ない

君 たち と 違って 人間 の 死 は 必定 だ が

それ でも 少し でも 妻 を

長生き さ せて あげ たい と 思う んだ よ

どう だろう ね ?

人間 って 生き物 が かわいそうに 思い ました

辛い こと から 逃げよう と

過去 に しがみついて いたり

到底 叶い そうに ない 夢 を 追って いたり それ で …

わかり ました 僕 で よければ

( 呪文 )

薬 が 効く おまじない だ よ

大丈夫 か ?

はい

どう だ ね ?

ちょっと 頭 が くらく らし ます

お 酒 入って ます ? でも 身体 に は いい みたい

ところが

その 薬 の 効果 は 想像 以上 の もの だった んです

ひかる

却下 !

却下 って ?

嘘 だ 人 が 若返る か !

でも さっき あの 人 を 見た でしょ

証拠 見せろ !

だったら 僕 の 身体 を 調べて みて ください

よ ー し

わ なんだ こりゃ

冬 虫 夏 草 です 信じて くれ ました か ?

うーん 取っちゃ え

触ら ないで ! 姫 に も 寄生 しちゃ う

え !

本当 か どう か わかり ませ ん が

その 危険 性 は 十 分

逃げよう

嫌です

命令 だ

姫 の 命令 でも 聞け ませ ん

なぜ だ ぁ ー

あの 人 も 昔 同じ こと を

お 母さん お 母さん どこ へ

逃げる の よ ひかる

え ?

見た んです

あの 人 が お前 の 身体 で 何 を して いる か

それ だったら 心配 ないで すよ

あの 人 も そう 言い ました

心配 ない

あの 子 は 人間 じゃ ない から って

いい んです

あなた が 人間 であろう が なかろう が

あなた は わたくし の 子

でも ここ に いて は いけ ませ ん

あの 人 に 何 を さ れる か

だから お 願い 逃げて ちょうだい

でも でも 僕 が い なかったら お 母さん は

わかって る わ でも あなた の ため な の

元気で ね ひかる

行き なさい 早く !

その 時 です

別れ の 辛 さ が 僕 に も わかった

もう 会え ない と

思って い ました

それ が こんな 形 で

人間 だ から 寿命 が 尽きる の は

仕方 ない と わかって い ます

でも 死んで 地獄 に 流さ れる の は

止める の か 地獄 流し

いえ そういう つもり は ないで す

もし 糸 を 解か れる なら 自分 を

意味 わかん ない ぞ !

僕 だって わかり ませ ん よ

ひかる 夕食 を 持ってき ました よ

ありがとう お 母さん

あら あら どうした の ? そんなに 汗 掻いちゃ って

わ ろ わ ろ は ひかる じゃ ない !

なん な の ?

地獄 通信 に 頼んだり する から

わ ろ わ ろ が 困って る ー

地獄 通信

あんた 依頼 した んでしょ

あの 人 が あの 人 が ひかる を …

あの 人 を 地獄 に !

ひかる の カタキ

嘘 だ わたし は ひかる を 殺して い ない し

人体 実験 に も 使って い ない

あれ は 事故 だ 悲しい 事故

じゃあ なぜ

人 あら ざる 者 が 必要だった

永遠の 命 の 研究 の ため に わたし の 研究 の ため に

じゃあ その 薬 を 作る ため に

わざと

しかし なぜ かな

そい つ に 冬 虫 夏 草 が 寄生 して いた の は

ま 手間 が 省けて よかった が

乾杯 しよう

この アンブロシア が ある 限り

我々 は 永遠だ

ひかる も 生きて いれば 飲ま せて あげ られた のに なぁ

どう 思う ? ひかる

駄目だ 糸 を 解いちゃ 駄目だ !

そう よね もう 嫌 よ ね やめ させよう ね

一緒に

怨み 聞き届けたり

わ ろ わ ろ 頭 出せ

はい 姫

な に して る の

わ ろ わ ろ が おし おき し たく ない って

あんた だって 怨み いっぱい ある でしょ

だったら ギッタギッタ に

お 言葉 です が 姫

僕 怨み なんて ないで す

口答え す んな !

どうして ?

だって 僕 人間 じゃ ないで す から

おう

それ より あの 人 の こと が 心配です

行って いい です か

いい わ

そんな !

つくづく 人間 は 悲しい 生き物 だ なって 思い ます

どうして そんな こと を する の か

理解 に 苦しむ こと も 多い です

地獄 通信 の 仕事 を 始めて

特に そう 思い ます

でも 昔 みたいに 人間 の いない 山 に

戻ろう と は 思い ませ ん

やっぱり 一 人 は 寂しい もの です

僕 の 中 で これ が 生き 続ける 限り

あなた の こと を 忘れる こと は ない でしょう

お 母さん

名前 は ?

浜野 知 理子

そんなに 面白い の かい その ラジオ 番組 は

丈 太郎 は わたし を 変えて くれた

シンデレラ の 魔法 で わたし は 変わった の

丈 太郎 は すごい

だから お 願い 地獄 へ 流して

怨み 聞き届けたり

地獄 少女 三 鼎 - 17 じごく|しょうじょ|みっ|かなえ JIGOKU SHOJI SANKIN - 17

山河 三 差 路   分かれ 道 さんか|みっ|さ|じ|わかれ|どう

守り たい の は   己 か 人 か まもり||||おのれ||じん|

常 世 の 闇 か … とわ|よ||やみ|

非だ の 乱れ は 貢が ない ひだ||みだれ||みつが|

終わる 事 ない   阿 鼻 の 芸 おわる|こと||おもね|はな||げい

時に 分け入れ   扉 が 開く ときに|わけいれ|とびら||あく

晴らせ ぬ 恨み   晴らし ます はらせ||うらみ|はらし|

どなた ?

地獄 少女 呼んだ でしょ ? じごく|しょうじょ|よんだ|

貴方 が …  ええ あなた||

山 童 やま|わらべ

ひかる ?

はい お 嬢 ||じょう

受け取り なさい うけとり|

芦屋 さん って こと は 親父 の 代 から 馴染み で ね あしや|||||おやじ||だい||なじみ||

いえ   ちっちゃ ん の ところ かも しれ ない な

じゃ   ご 夫婦 は 相当 … ||ふうふ||そうとう

八十 が 九十   年 たら 百 超え かも しれ ない はちじゅう||きゅうじゅう|とし||ひゃく|こえ|||

100?

でも   保険 は 入ら ない と 思う よ |ほけん||はいら|||おもう|

どうして ?

子供 も 孫 も い ない から こども||まご||||

いや   子供 が いた らしい けど   なくなった と か |こども|||||||

いつ の 話 ? ||はなし

戦前 の   それ から だって さ せんぜん|||||

世間 と 没 交渉 に なった の は せけん||ぼつ|こうしょう||||

生物 学 者 芦屋 利三郎 博士 長男 ? せいぶつ|まな|もの|あしや|としさぶろう|はかせ|ちょうなん

ひかる 君 の 安否 |きみ||あんぴ

警察 および 消防 団 の 必死の 捜索 に かかわら ず けいさつ||しょうぼう|だん||ひっしの|そうさく|||

いまだ 知れ ず |しれ|

ついに 捜索 終了 が 決定 と なる |そうさく|しゅうりょう||けってい||

おそらく 沼 に 沈んだ もの と 思わ れる |ぬま||しずんだ|||おもわ|

この あたり の 沼 の 多く が 底なし 沼 にて 過去 に …… |||ぬま||おおく||そこなし|ぬま||かこ|

そい つ は いつ の 話 だい ? |||||はなし|

小学生 の とき です よ しょうがくせい||||

大阪 万博 や て ところ だった かな おおさか|ばんぱく|||||

林 の 中 で 昆虫 採集 して 道 に 迷った んです りん||なか||こんちゅう|さいしゅう||どう||まよった|ん です

そ したら 同じ 年 くらい の 男の子 が 現れて ||おなじ|とし|||おとこのこ||あらわれて

出口 が 案内 して くれて でぐち||あんない||

知ら ない 子 だった んで しら||こ||

うち どこ って 聞いた んです よ |||きいた|ん です|

すると   あの 屋敷 を 指して   あそこ って ||やしき||さして||

うち 帰って   その 子 と 話したら |かえって||こ||はなしたら

そんな 子 は い ない って 言う んです よ |こ|||||いう|ん です|

ホント ぞっと し ました よ ほんと||||

だ ろ なあ

仕事 よ 依頼 人 の 名 は 芦屋 富士子 しごと||いらい|じん||な||あしや|ふじこ

じゃ 俺 が |おれ|

その 仕事 僕 に ! |しごと|ぼく|

俺 は 別に かまわ ない が おれ||べつに|||

理由 は ? それ 次第 りゆう|||しだい

理由 は 早く みなさん の ように なれる よう りゆう||はやく|||よう に||

経験 を 積ま なきゃ と 思って けいけん||つま|||おもって

ほう そい つ は 感心な こった ||||かんしんな|

いや

優等 生 ぶって 頭 出せ ! ゆうとう|せい||あたま|だせ

はい 姫 |ひめ

え ぃっ

いい でしょう か ?

いい わ

ありがとう ございます

ねじれて いる

突然 お邪魔 し まして   申し訳 あり ませ ん とつぜん|おじゃま|||もうし わけ|||

私   御 景柚 木 と 申し ます わたくし|ご|けいゆず|き||もうし|

実は お宅 の お婆 ちゃ … じつは|おたく||おばあ|

いえ お婆 さま に お 話 が あり まして |おばあ||||はなし|||

お婆 さま ? おばあ|

はい   八十 歳 くらい の … |はちじゅう|さい||

そんな 人 は い ない よ |じん||||

この 家 に いる の は わたし と 妻 の 二 人 だけ |いえ|||||||つま||ふた|じん|

あら あなた ひかる は ?

ああ そう だった な ひかる も だ

わたくし たち の 子ども です の 男の子 |||こども|||おとこのこ

は ぁ

どうした の ?  具合 でも ||ぐあい|

いえ え   大丈夫です ||だいじょうぶ です

家 を 間違えた みたいです すみません いえ||まちがえた|みたい です|

何 か が 変   何 か が なん|||へん|なん||

なん だった の かしら ?

さあ ね

あら

あなた は ?

きく り

さっき の 人 と 一緒に 来た の ? ||じん||いっしょに|きた|

違う ちがう

じゃ ひかる の お 友だち ? ||||ともだち

遊び に 来て くれた の ね ありがとう あそび||きて||||

ひかる   お 母さん わ よ   入る わ ね ||かあさん|||はいる||

ひかる お 友だち が 遊び に 来て くれた わ よ ||ともだち||あそび||きて|||

きく り ちゃん

そう な の   よかった わ ね

じゃ   お 母さん   夕食 の 支度 が ある から ||かあさん|ゆうしょく||したく|||

きく り ちゃん も 食べて って ね ||||たべて||

な に やって んだ わ ろ わ ろ

寝て ます ねて|

その くらい わかって る !

あの おばさん

自分 の 子ども と 藁 人形 の 区別 も つか ない の か ぁ じぶん||こども||わら|にんぎょう||くべつ||||||

違う んです 僕 は 昔 あの 人 の 子ども だった んです ちがう|ん です|ぼく||むかし||じん||こども||ん です

なんだ ぁ そりゃ

窓 の 外 に 山 が 見え ます よ ね まど||がい||やま||みえ|||

僕 は あの 山 で 生まれ ました ぼく|||やま||うまれ|

生まれた 時 から ずっと 一 人 でした うまれた|じ|||ひと|じん|

親 も い ない 仲間 も い ない おや||||なかま|||

たまに 人間 が 山 に 踏み 入って くる こと も あり ました |にんげん||やま||ふみ|はいって|||||

でも 僕 を 見る と … |ぼく||みる|

そんな 時 です お 嬢 と 会った の は |じ|||じょう||あった||

一緒に 来 ない ? 寂しく ない の ? いっしょに|らい||さびしく||

なに が ?

ずっと 一 人 で |ひと|じん|

べつに

気 が 変わったら いつでも いらっしゃい き||かわったら||

強 がって いた わけじゃ あり ませ ん つよ||||||

一 人 ぼ っち が 普通だ と 思って いた ひと|じん||||ふつうだ||おもって|

人間 の 家族 を 見た の は それ が 最初でした にんげん||かぞく||みた|||||さいしょでした

なんで 笑って る の か |わらって|||

当時 の 僕 に は 理解 でき ませ ん でした とうじ||ぼく|||りかい||||

それ が …

ひかる !!

最初 は 好奇心 でした さいしょ||こうきしん|

ふ ふ ふ もう すぐ 完成 だ |||||かんせい|

永遠の 生命 を 与える アンブロシア が えいえんの|せいめい||あたえる||

あと 少し で |すこし|

それ から 長い 長い 年月 が たち ました ||ながい|ながい|ねんげつ|||

それ な んです の ? ||ん です|

わたし が 品種 改良 した 冬 虫 夏 草 だ ||ひんしゅ|かいりょう||ふゆ|ちゅう|なつ|くさ|

さ ぁ 飲み なさい ||のみ|

どう かね

少し 楽に なり ました わ すこし|らくに|||

そう か

ひかる もう すぐ お 母さん も 逝き ます から ね ||||かあさん||いき|||

おか あ … さん

どうして そんな こと を した の か

自分 でも よく わから ない んです が じぶん|||||ん です|

たぶん あの 人 が 死ぬ 前 に 夢 を 見せて あげよう と ||じん||しぬ|ぜん||ゆめ||みせて||

ひかる …

誰 か と 触れ合った の は それ が 初めて でした だれ|||ふれあった|||||はじめて|

お 母さん |かあさん

その 子 は ? |こ|

何 を 言って る です か ?  あなた なん||いって||||

ひかる です よ ひかる が 戻って きた んです |||||もどって||ん です

良かった サイズ が ぴったりで よかった|さいず||

ひかる お 母さん に お礼 は ? ||かあさん||お れい|

はい ありがとう お 母さん |||かあさん

その うち 本当に 家族 の 一員 に なった ||ほんとうに|かぞく||いちいん||

ような 気 が して き ました |き||||

君   どこ の 子 ? きみ|||こ

あそこ

さよなら

町 の 人間 と の 接触 は 避けた ほう が いい な まち||にんげん|||せっしょく||さけた||||

え ?

それ が 人 あら ざる もの の 掟 じゃ ない の か ね ? ||じん|||||おきて|||||

じゃあ あなた は それ を 知っていて どうして … |||||しっていて|

来た まえ きた|

冬 虫 夏 草 と いって ふゆ|ちゅう|なつ|くさ||

蛾 や 蟻 など 昆虫 の 幼虫 に が||あり||こんちゅう||ようちゅう|

寄生 する 菌類 だ きせい||きんるい|

冬 は 虫 だった のに ふゆ||ちゅう||

夏 は 草 に 変化 する と 信じ られて なつ||くさ||へんか|||しんじ|

その 名 が 付いた |な||ついた

漢方 薬 の 原料 で も ある かんぽう|くすり||げんりょう|||

冬 虫 夏 草 を 虫 以外 の 生物 に ふゆ|ちゅう|なつ|くさ||ちゅう|いがい||せいぶつ|

寄生 さ せたら どう なる か が きせい||||||

わたし の 長年 の 研究 課題 で ね ||ながねん||けんきゅう|かだい||

色々 試して みた が なかなか 思う いろいろ|ためして||||おもう

ような 結果 を 出せ ず に いた |けっか||だせ|||

そこ で 君 に 頼み な んだ が ||きみ||たのみ|||

なん です ?

君 の 身体 に 寄生 さ せて もらえ ない か きみ||からだ||きせい|||||

科学 的に 不可能 と いう の なら かがく|てきに|ふかのう||||

君 たち の ような 非 科学 的 存在 に こそ きみ||||ひ|かがく|てき|そんざい||

成功 の 可能 性 が ある の かも しれ ない せいこう||かのう|せい||||||

頼む 妻 を 助け たい んだ たのむ|つま||たすけ||

えっ

妻 の 命 は そう 長く ない つま||いのち|||ながく|

君 たち と 違って 人間 の 死 は 必定 だ が きみ|||ちがって|にんげん||し||ひつじょう||

それ でも 少し でも 妻 を ||すこし||つま|

長生き さ せて あげ たい と 思う んだ よ ながいき||||||おもう||

どう だろう ね ?

人間 って 生き物 が かわいそうに 思い ました にんげん||いきもの|||おもい|

辛い こと から 逃げよう と からい|||にげよう|

過去 に しがみついて いたり かこ|||

到底 叶い そうに ない 夢 を 追って いたり それ で … とうてい|か ない|そう に||ゆめ||おって|||

わかり ました 僕 で よければ ||ぼく||

( 呪文 ) じゅもん

薬 が 効く おまじない だ よ くすり||きく|||

大丈夫 か ? だいじょうぶ|

はい

どう だ ね ?

ちょっと 頭 が くらく らし ます |あたま||||

お 酒 入って ます ? でも 身体 に は いい みたい |さけ|はいって|||からだ||||

ところが

その 薬 の 効果 は 想像 以上 の もの だった んです |くすり||こうか||そうぞう|いじょう||||ん です

ひかる

却下 ! きゃっか

却下 って ? きゃっか|

嘘 だ 人 が 若返る か ! うそ||じん||わかがえる|

でも さっき あの 人 を 見た でしょ |||じん||みた|

証拠 見せろ ! しょうこ|みせろ

だったら 僕 の 身体 を 調べて みて ください |ぼく||からだ||しらべて||

よ ー し |-|

わ なんだ こりゃ

冬 虫 夏 草 です 信じて くれ ました か ? ふゆ|ちゅう|なつ|くさ||しんじて|||

うーん 取っちゃ え |とっちゃ|

触ら ないで ! 姫 に も 寄生 しちゃ う さわら||ひめ|||きせい||

え !

本当 か どう か わかり ませ ん が ほんとう|||||||

その 危険 性 は 十 分 |きけん|せい||じゅう|ぶん

逃げよう にげよう

嫌です いや です

命令 だ めいれい|

姫 の 命令 でも 聞け ませ ん ひめ||めいれい||きけ||

なぜ だ ぁ ー |||-

あの 人 も 昔 同じ こと を |じん||むかし|おなじ||

お 母さん お 母さん どこ へ |かあさん||かあさん||

逃げる の よ ひかる にげる|||

え ?

見た んです みた|ん です

あの 人 が お前 の 身体 で 何 を して いる か |じん||おまえ||からだ||なん||||

それ だったら 心配 ないで すよ ||しんぱい||

あの 人 も そう 言い ました |じん|||いい|

心配 ない しんぱい|

あの 子 は 人間 じゃ ない から って |こ||にんげん||||

いい んです |ん です

あなた が 人間 であろう が なかろう が ||にんげん||||

あなた は わたくし の 子 ||||こ

でも ここ に いて は いけ ませ ん

あの 人 に 何 を さ れる か |じん||なん||||

だから お 願い 逃げて ちょうだい ||ねがい|にげて|

でも でも 僕 が い なかったら お 母さん は ||ぼく|||||かあさん|

わかって る わ でも あなた の ため な の

元気で ね ひかる げんきで||

行き なさい 早く ! いき||はやく

その 時 です |じ|

別れ の 辛 さ が 僕 に も わかった わかれ||しん|||ぼく|||

もう 会え ない と |あえ||

思って い ました おもって||

それ が こんな 形 で |||かた|

人間 だ から 寿命 が 尽きる の は にんげん|||じゅみょう||つきる||

仕方 ない と わかって い ます しかた|||||

でも 死んで 地獄 に 流さ れる の は |しんで|じごく||ながさ|||

止める の か 地獄 流し とどめる|||じごく|ながし

いえ そういう つもり は ないで す

もし 糸 を 解か れる なら 自分 を |いと||とか|||じぶん|

意味 わかん ない ぞ ! いみ|||

僕 だって わかり ませ ん よ ぼく|||||

ひかる 夕食 を 持ってき ました よ |ゆうしょく||もってき||

ありがとう お 母さん ||かあさん

あら あら   どうした の ?  そんなに 汗 掻いちゃ って |||||あせ|かいちゃ|

わ ろ わ ろ は ひかる じゃ ない !

なん な の ?

地獄 通信 に 頼んだり する から じごく|つうしん||たのんだり||

わ ろ わ ろ が 困って る ー |||||こまって||-

地獄 通信 じごく|つうしん

あんた 依頼 した んでしょ |いらい||

あの 人 が あの 人 が ひかる を … |じん|||じん|||

あの 人 を 地獄 に ! |じん||じごく|

ひかる の カタキ

嘘 だ わたし は ひかる を 殺して い ない し うそ||||||ころして|||

人体 実験 に も 使って い ない じんたい|じっけん|||つかって||

あれ は 事故 だ 悲しい 事故 ||じこ||かなしい|じこ

じゃあ なぜ

人 あら ざる 者 が 必要だった じん|||もの||ひつようだった

永遠の 命 の 研究 の ため に わたし の 研究 の ため に えいえんの|いのち||けんきゅう||||||けんきゅう|||

じゃあ その 薬 を 作る ため に ||くすり||つくる||

わざと

しかし なぜ かな

そい つ に 冬 虫 夏 草 が 寄生 して いた の は |||ふゆ|ちゅう|なつ|くさ||きせい||||

ま 手間 が 省けて よかった が |てま||はぶけて||

乾杯 しよう かんぱい|

この アンブロシア が ある 限り ||||かぎり

我々 は 永遠だ われわれ||えいえんだ

ひかる も 生きて いれば 飲ま せて あげ られた のに なぁ ||いきて||のま|||||

どう 思う ? ひかる |おもう|

駄目だ 糸 を 解いちゃ 駄目だ ! だめだ|いと||といちゃ|だめだ

そう よね もう 嫌 よ ね やめ させよう ね |||いや||||さ せよう|

一緒に いっしょに

怨み 聞き届けたり うらみ|ききとどけたり

わ ろ わ ろ 頭 出せ ||||あたま|だせ

はい 姫 |ひめ

な に して る の

わ ろ わ ろ が おし おき し たく ない って

あんた だって 怨み いっぱい ある でしょ ||うらみ|||

だったら ギッタギッタ に

お 言葉 です が 姫 |ことば|||ひめ

僕 怨み なんて ないで す ぼく|うらみ|||

口答え す んな ! くちごたえ||

どうして ?

だって 僕 人間 じゃ ないで す から |ぼく|にんげん||||

おう

それ より あの 人 の こと が 心配です |||じん||||しんぱい です

行って いい です か おこなって|||

いい わ

そんな !

つくづく 人間 は 悲しい 生き物 だ なって 思い ます |にんげん||かなしい|いきもの|||おもい|

どうして そんな こと を する の か

理解 に 苦しむ こと も 多い です りかい||くるしむ|||おおい|

地獄 通信 の 仕事 を 始めて じごく|つうしん||しごと||はじめて

特に そう 思い ます とくに||おもい|

でも 昔 みたいに 人間 の いない 山 に |むかし||にんげん|||やま|

戻ろう と は 思い ませ ん もどろう|||おもい||

やっぱり 一 人 は 寂しい もの です |ひと|じん||さびしい||

僕 の 中 で これ が 生き 続ける 限り ぼく||なか||||いき|つづける|かぎり

あなた の こと を 忘れる こと は ない でしょう ||||わすれる||||

お 母さん |かあさん

名前 は ? なまえ|

浜野 知 理子 はまの|ち|さとこ

そんなに 面白い の かい   その ラジオ 番組 は |おもしろい||||らじお|ばんぐみ|

丈 太郎 は わたし を 変えて くれた たけ|たろう||||かえて|

シンデレラ の 魔法 で わたし は 変わった の しんでれら||まほう||||かわった|

丈 太郎 は すごい たけ|たろう||

だから お 願い 地獄 へ 流して ||ねがい|じごく||ながして

怨み 聞き届けたり うらみ|ききとどけたり