75. サンタクロース は いる ん だ - ニューヨーク ・ サン 紙 社説
サンタクロース は いる んだ - YES , VIRGINIA , THERE IS A SANTA CLAUS
ニューヨーク ・ サン 紙 社説 ( 担当 : フランシス ・ ファーセラス ・ チャーチ )- The New York Sun ( written by Francis Pharcellus Church )
大久保 ゆう 訳
ニューヨーク ・ サン 新聞 1897 年 9 月 21 日 社説 欄 本紙 は 、 以下 に 掲載 さ れる 投書 に 対して ただちに お 答え 申し上げる と ともに 、 このように まっすぐな 方 が 読者 に おら れる こと を 、 心から 嬉しく 思います 。 --
「 こんにちは 、 しんぶん の おじさん 。 ・・
わたし は 八 さ い の おんなのこ です 。 じつは 、 ともだち が サンタクロース は いない と いう のです 。 パパ は 、 わから ない こと が あったら 、 サン しんぶん 、 と いう ので 、 ほんとうの こと を おしえて ください 。 サンタクロース は いる のです か ? ・・
ヴァージニア ・ オハンロン 」
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ヴァージニア 、 それ は 友だち の 方 が まちがって いる よ 。 きっと 、 何でも うたがい た がる 年ごろ で 、 見た こと が ない と 、 信じられ ない んだ ね 。 自分 の わかる こと だけ が 、 ぜんぶ だ と 思って る んだろう 。 でも ね 、 ヴァージニア 、 大人 でも 子ども でも 、 何もかも わかる わけじゃ ない 。 この 広い うちゅう で は 、 にんげんって 小さな 小さな もの な んだ 。 ぼくたち に は 、 この 世界 の ほんの 少し の こと しか わから ない し 、 ほんとの こと を ぜんぶ わかろう と する に は 、 まだまだ な んだ 。 ・・
じつは ね 、 ヴァージニア 、 サンタクロース は いる んだ 。 愛 と か 思いやり と かいた わりと か が ちゃんと ある ように 、 サンタクロース も ちゃんと いる し 、 そういう もの が あふれて いる おかげ で 、 ひと の まいにち は 、 いやさ れたり うるおったり する 。 もし サンタクロース が い なかったら 、 ものすごく さみしい 世の中 に なって しまう 。 ヴァージニア みたいな 子 が この世 に い なく なる くらい 、 ものすごく さみしい こと な んだ 。 サンタクロース が いないって こと は 、 子ども の すなおな 心 も 、 つくりごと を たのしむ 心 も 、 ひと を 好きって 思う 心 も 、 みんな ないって こと に なる 。 見たり 聞いたり さわったり する こと で しか たのしめ なく なる し 、 世界 を いつも あたたかく して くれる 子ども たち の かがやき も 、 きえて なく なって しまう だろう 。 ・・
サンタクロース が いない だ なんて いう の なら 、 ようせい も いないって いう んだろう ね 。 だったら 、 パパ に たのんで 、 クリスマスイブ の 日 、 えんとつ と いう えんとつ ぜんぶ を 見はら せて 、 サンタクロース を まちぶせ して ごらん 。 サンタクロース が 入って くる の が 見られ ず に おわって も 、 なんにも かわら ない 。 そもそも サンタクロース は ひと の 目 に 見え ない もの だ し 、 それ で サンタクロース が いないって こと に も なら ない 。 ほんとの ほんとうって いう の は 、 子ども に も 大人 に も 、 だれ の 目 に も 見え ない もの な んだ よ 。 ようせい が 原っぱ で あそんで いる ところ 、 だれ か 見た ひとって いる かな ? うん 、 いない よ ね 、 でも それ で 、 ないって きまる わけじゃ ない 。 世界 で だれ も 見た こと が ない 、 見る こと が でき ない ふしぎな ことって 、 だれ に も はっきり と は つかめ ない んだ 。 ・・
あの ガラガラって おもちゃ 、 中 を あければ 、 玉 が 音 を ならして るって こと が わかる よ ね 。 でも 、 目 に 見え ない 世界 に は 、 どんなに 力 が あって も 、 どれ だけ たば に なって かかって も 、 こじあける こと の でき ない カーテン みたいな もの が かかって る んだ 。 すなおな 心 と か 、 あれこれ たくましく する こと ・ した もの 、 それ から 、 より そう 気 もち や 、 だれ か を 好きに なる 心 だけ が 、 その カーテン を あける こと が できて 、 その むこう の すごく きれいで すてきな もの を 、 見たり えがいたり する こと が できる 。 うそ じゃ ない かって ? ヴァージニア 、 いつでも どこ でも 、 これ だけ は ほんとうの こと な んだ よ 。 ・・
サンタクロース は いない ? いい や 、 今 この とき も 、 これ から も ずっと いる 。 ヴァージニア 、 何 ぜん 年 、 いや あと 十万 年 たって も 、 サンタクロース は いつまでも 、 子ども たち の 心 を 、 わくわく さ せて くれる と 思う よ 。
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※ その あと 、 ヴァージニア は ニューヨーク の 学校 の 先生 に なって 、 四七 年間 子ども たち を 教え つづけた そうです 。